たとえば、こんな一篇
春
てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。
安西冬衛『詩集 軍艦茉莉』「戦役」からの一篇
こんな一篇も、俳句ですが
水枕ガバリと寒い海がある
西東三鬼句集『旗』第三章より
なんとも美しく、激しく想像がふくらむ刺激させられる詩です。
そしてもの哀しさも。
それぞれ単独の詩集および句集は入手困難です。
自分が出会ったのはそれぞれ他の著者のエッセイ等からの引用でした。
それぞれの一篇が収録された書籍でその後に入手したものは以下のもの。
『言語空間の探検』全集・現代文学の発見第十三巻 学藝書林 2004年に新装版
いずれも図書館で借りるかでしょうね。
ここには50名ほどの詩人のまさに美しい造型ともいうべき詩的実験作品が収録されています。
または単独では
安西冬衛詩集 (現代詩文庫)思潮社 2002年
西東三鬼は
現代俳句の世界9 西東三鬼集 朝日文庫 など
この文庫には主な句集のほかに自伝的小説も併録されていて、それも傑作で三回は読んでます。
「第二次世界大戦下の激動の時代に、神戸に実在した雑多な人種が集まる“国際ホテル”と、山手の異人館での何とも不思議なペーソス溢れる人間模様を描く『神戸』『続神戸』
コスモポリタン三鬼のダンディズムと詩情漂う自伝的作品」
埼玉県 / 男性 2021/10/23 21:59