お父さんエピソード

僕と父は全く似ていません。

とても小柄でずんぐりむっくりな体型、休日には昼間からお酒を飲み、ダラダラしているばかり。勉強も苦手で、車の免許の試験も何十回と落ちて車の運転もできない。
もちろん僕自身が思春期特有の反抗期のせいもあったかもしれませんが、中高生の頃、僕は父があまり好きではありませんでした。なので父に対する態度も悪かったのです。

そんな高校3年生のある夜、母親にお願いして本屋さんに車で連れて行ってもらった時に、本屋さんに向かう車中で突然母親が「今まで黙っていたんだけど」と父親の話を始めました。

その話を聞いてみると、今いるお父さんは僕の実の父親じゃないという事実を知らされました。
突然の話に僕が驚いていると、母親は今に至るまでの話を続けました。
東京で未婚のまま僕を身ごもり、地元の秋田に戻ってきた事。この子に父親がいないのは可哀想だと思い、今の父と結婚した事。

18年間一緒に過ごしてきたのに、父は一度も僕の事を連れ子だと感じさせるような素振りはありませんでした。だから僕も父が実の父ではないなんて微塵も考えた事がありませんでした。

母親から聞いた真実を知って、それまで僕が父親に対してとっていた態度がとても恥ずかしくなり、そしてどれだけ父が凄い人物なのか分かりました。

これまで実の息子のように接してくれた事。
小さい頃海や山に連れて行ってくれてたくさん遊んでくれた事。
態度の悪い僕に対しても見限らず接してくれた事。
僕が困っている時に「自分の子供が困っていたら助けるのは当たり前だろ」と助けてくれた事。

実際に血が繋がってなくても、父にたくさんの愛情を注がれていた事を知り、僕は父に対する態度を改めて、尊敬するようになりました。

父の背中がどれだけ大きいか実感したのです。

今ではいつか父のようなお父さんになる事が目標です。

lotta

東京都 / 男性 2022/5/13 02:05