音楽と言葉を電波に乗せて、東京の空へ。
大相撲解説者、舞の海秀平さんとの両国散歩。
2回目は、隅田川にかかる両国橋のたもとからスタートです。
在籍していた日大相撲部の合宿所は中央線沿線。
学生時代から、出稽古で両国に来ていた舞の海さんにとって、
隅田川を渡るという行為は、
自分のモードを切り替えるスイッチのような役割を果たしていました。
入門すると、さらにその度合いは強まります。
夜の自由時間、街に繰り出すとき。
あるいは地方巡業のバスで、部屋を出発するとき。
両国橋を渡れば、日頃のプレッシャーから解放されたという舞の海さん。
逆に、戻るときは、勝負の世界にふたたび戻ってきた、と心を締める、
現実と非現実を結ぶ橋でもあったのです。
振り返って、「現役時代は本当に心に余裕がなかった」という舞の海さんに対し、
出羽海部屋の師匠、佐田の山親方は、“ある言葉”をかけたのでした。
両国橋から隅田川沿いにあるいて5分ほどで見えてきたのが、
太鼓櫓を脇に従えた、ブロンズ色の大きな屋根、両国国技館です。
大学卒業間際に一念発起して、相撲道を進み始めること3か月あまり。
舞の海さんは、1990年5月場所、ここ国技館で初土俵を踏みました。
若貴を中心にした相撲ブームの真っ只中、
勝負に臨む舞の海さんの心に去来したのは「怖い」という気持ちでした。
これは現役の間、変わることなく、自分の中にいる弱気の虫と、
強気で向かっていこうという、もうひとりの自分とのせめぎ合いが続きました。
いまでも、土俵から10メートル先まで飛んでいく夢を見ることもあるそうです。
稽古で負けていたら、本場所でも勝てない。
そんな思いから、すべての勝負に全力で挑んでいた日々、
勝つことで何を得ようとしていたのか、両国の地で語ります。
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次回、2月14日の『True Stories』は、
佐野史郎さん吉祥寺を散歩します。