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花に寄せて

駅前商店街の外れにある「花屋さくら」。店主の佐倉実憂は、気になっていた。かれこれ三年近く、花を買いに来るサラリーマン風のその男性。彼は毎月、必ず十八日に来店する。
桃の節句も過ぎた三月十八日。いつものように訪れた彼に、実憂は思わず問いかけた。「なぜ毎月十八日に」。「母にとって忘れてはいけない日」との彼の答えに、実憂の悲しい記憶が蘇る。十八日は、実憂にとっても忘れられない日だった。