“給与の支払い”が「電子マネー」に!? “2023年のデジタル界”はどうなる!? IoT NEWS代表・小泉耕ニが予測

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2022年12月31日(土)の放送は、IoTNEWS代表の小泉耕ニ(こいずみ・こうじ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)小泉耕ニさん、笹川友里


小泉さんは、1973年生まれ、京都府出身。大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、テックファーム株式会社などを経て、2005年より現職に就いています。

◆2022年のデジタル界の動きを総括

2022年のデジタル界において、最も見聞きするようになった言葉として、小泉さんは“Web3(ブロックチェーン技術によって構築される次世代の分散型インターネットの総称)”を挙げます。

「“メタバース(インターネット上の仮想世界・仮想空間サービスの総称)”という方向からWeb3を語る人と、“NFT”“仮想通貨”からWeb3を語る人がいて、概念がすごく難しい」と言いつつ、「私のなかでのWeb3は、いわゆる仮想空間のなかに“現実社会を投影する”ことだと思います。

ここでの“現実社会”というのは、経済活動ができたり、モノが買えたり、自分の所有しているデジタルデータを自分のモノとして意思表示できる、ということが基本にあり、それに加えて“契約が存在して、それに従う”といった社会のルールも実現できるなど、社会を構成するうえで基本的なコトが揃ってきたことが、Web3の(が発展した)はじまりではないか」と説明する。

2022年後半には、イーロン・マスク氏によるTwitter買収と従業員の大量解雇、Meta(メタ)を取り巻く環境など不安定なニュースを数多く耳にしました。また、“GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の勢いが落ちてきたのでは?”という見方をする人もいるなか、小泉さんは「いきなり全部がなくなることは、まずあり得ない。GAFAがやっているメインの事業に関しては、これからも進化していくと思うし、ある段階までくれば、また新しい要望がユーザー側に芽生えてきて、それを叶えてくれるサービスに移っていってしまうもの」と話します。

その最たる例として、ショートムービープラットフォーム「TikTok」の躍進を挙げ、「ユーザー側にとって“これは新しい!”“面白い!”と思えるものがポンと出てきたときに、そういうものが流行りだすことはありますが、1つのプラットフォームで世界中の人たちのやりたいことを全部叶えてあげられる(モノを作る)なんてあり得ないですから、そういう意味では、これからもいろいろなモノが出てくるのではないか」と予見します。

◆2023年のデジタル界はどうなる?

次に、小泉さんが予想する2023年のデジタル界の動きについて挙げたのは“給与のデジタル払い”。企業がこれまで現金または銀行振込でおこなっていた給与支払いの新たな手段として、いわゆる「○○ペイ」などスマートフォンの決済アプリや電子マネーを利用して給与の支払いが可能になると言います。

昨今、現金を持ち歩かなくてもクレジットカードやスマートフォンさえあれば決済できる場所が増えるなど、「かなり利便性が高まってきていると思うので、いいタイミングなのでは」との見解を示します。ただ、なかには給与のデジタル払いに恐怖感を抱いている人もいるため、「受け取る従業員側の選択制になるのでは」とも。

また、マイナンバーカードについては、「今後、マイナンバーカードにたくさんのサービスが紐づいてくるようになる」と小泉さん。例えば、運転免許証や健康保険証をはじめ、銀行のキャッシュカードや「○○ペイ」などとも紐づく可能性はゼロではなく、「マイナンバーカードによって“人の特定”ができるので、マイナンバーカードを使って、いろいろなサービスの認証をするという可能性は相当あると思います」と話します。

ただ、1つに集約することで、紛失したときの不安などを口にする人も少なくありませんが、「“(いろんなものが)集まっていて怖い”という議論はナンセンス。それよりも“利便性”がすごく大事だし、統一された方式で認証できるようになっていると、セキュリティ面を考えるうえでも、(管理するものが)複数あるよりも、(マイナンバーカードで)1つにまとまっているほうがメリットは大きいと思う」と声を大にします。

そして最後に、小泉さんが想像する5年先の未来について伺うと、「すごく進んだ技術というのは、それが紹介された瞬間は話題になって盛り上がるが、実際にそれが技術的にこなれてきて、我々の社会のなかに実装されていくには数年かかる。ですから、5年先というと、今まさにこの番組で取り上げているような旬のキーワード(Web3、メタバースなど)が、やっと我々の生活のなかに普通に入ってくる期間だと思っていただくといいのではないか」と話していました。

次回1月7日(土)の放送は、株式会社Recursive Co-Founder COOの山田勝俊(やまだ・かつとし)さんをゲストに迎えてお届けします。Recursiveの事業内容や日本でも注目を集めている“ESG経営”についてなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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