「AI普及率10%未満」の日本…AI導入が一気に加速する“条件”とは? 株式会社Recursive山田勝俊COOが分析

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。1月7日(土)の放送は、株式会社Recursive(リカーシブ)Co-Founder COOの山田勝俊(やまだ・かつとし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)山田勝俊さん、笹川友里


山田さんは、ディーキン大学経営大学院卒業後、日系、外資のIT業界の勤務経験を経て、エシカルファッションの日本市場立ち上げと2社の起業を経験。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボでセールスディレクターとしてAI-OCR「Tegaki」の立ち上げに関わると同時に、200社以上の企業にAI(人工知能)導入コンサルティングをおこなう。

2018年度からは、AI、ブロックチェーン、エンジニアスクール会社を日本、シンガポール、ベトナムで連続起業した後、2020年8月に株式会社RecursiveをCo-Founder CEOのティアゴ・ラマルと共同創業。現在、売上規模数百億円~数兆円の複数社の新規事業開発、AIプロジェクトのアドバイザーも務めています。

◆日本における「AI導入」の現状

Recursiveがおこなっている事業内容について「AIの研究開発やサステナビリティ(持続可能性)にまつわるソリューションを提供している」と山田さん。

“AI×サステナビリティ”という掛け合わせについて、笹川が「ありそうでなかった、意外な組み合わせ」と印象を語ると、山田さんは「設立当初は、いろいろな方々から『あまりイメージが湧かない』と言われていたが、私たちのなかでは確固たる自信とアイデアがあったので、一貫性を持ってブレずにやってきた」と胸を張ります。

また、RecursiveはAIを活用した持続可能な森づくりにも尽力しており、現在は、住友林業、IHIと一緒にインドネシアの森林保全にも取り組んでいます。
山田さんいわく、AIの普及率(導入率)は世界的に30~40%ぐらいと言われているなか、日本は10%未満とかなり低いのが現状で、「これには大きく2つの理由がある」と原因に言及します。

1つは、AIを使って何ができるのか、本当にAIが必要なのかというところの見極めがまだまだ困難なこと。もう1つは、AIを提供する企業側の課題で、「技術力不足に加え、AIを活用することでどのような課題解決ができるのか、どんな社会的インパクトを作り出せるのかなどの課題解決能力を提案できるところが不足している」とポイントを挙げます。

ほかにも、日本企業の場合、(AI導入など)新しいことに対する柔軟性、新しいものを受け入れることに対して、非常に慎重であるのに対し、海外企業は何事にも“トライしてみよう”という姿勢が強いと言います。

ただ、日本企業にも良い部分があり、「市場にある程度のトレンドができたり、成功事例ができたりしたときに、キャッチアップ(追いつく)するスピードは、世界的に見ても極めて速い。トレンドになったり、日本企業で成功事例が多数出てきたりした場合、たぶんAIの導入が一気に加速すると思う」と推測。

これらの現状を述べたうえで、「(AIは)普及していないがゆえに、私たちのような企業が参入できる市場がまだまだ大きくある」と力を込めます。

一方、サステナビリティについては、起業した2020年8月当初はビジネスとして捉えている企業は少ない印象だったものの、「2021年以降はニーズが急激に高まってきている。今後も間違いなく(ニーズが)加速する」と明言します。

山田さんによると、日本はハードウェアに強みがあるため、「今後さらにハードウェアとAIが融合していき、ロボティクスとAIと人間の共存する世界がより現実化されてきた場合、多くの日本の社会課題は解決されていくと思う」と予見。それは、飲食業界や介護業界などにおける労働者不足の解消だけでなく、「生産性向上についてや、工場やオフィスでの仕事のやり方も含めて効率化されてくるのでは」と期待を寄せます。

◆共同創業者ティアゴも実感する“日本のポテンシャル”

山田さんと共同創業したCo-Founder CEOでポルトガル出身のティアゴ・ラマルさんは、大学卒業後、DeepMindに入社し、シニアリサーチエンジニアとしてさまざまなプロジェクトに従事。そして、リードリサーチサイエンティストとしてコージェントラボに入社することとなり、ティアゴさんが来日した際に山田さんと出会いました。

そんな2人がなぜ日本で起業したのかというと、「私が日本人ということもありますが、日本企業、日本市場に精通していることも大きな理由です。あとは、ティアゴ自身が日本市場に対する可能性を非常に感じていた」と振り返ります。

また、「ティアゴ自身が持っている先端のAIの知識を、世界最高峰のハードウェアを持つ日本の技術と融合することで、日本から世界的な事例をたくさん作れると本気で信じている」と声を大にします。

そして、「彼の知的好奇心も含め、探究心に非常に感銘を受けましたし、彼の知識を日本企業とコラボレーションさせていただくことで、より新しい事例を作っていきたい。起業してから2年が経過しましたが、それが作れる形には徐々になってきている」と手応えを語っていました。

次回1月14日(土)の放送も、サノフィ株式会社ジェネラルメディスンビジネスユニット ポートフォリオリードの西龍彦さんをゲストに迎えてお届けします。フランスの製薬会社「サノフィ」の事業内容やヘルスケアの未来についてなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2023年1月15日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒ 詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

コンテンツ一覧

DIGITAL VORN Future Pix #205 音声

DIGITAL VORN Future Pix #205

DIGITAL VORN Future Pix #204 音声

DIGITAL VORN Future Pix #204

DIGITAL VORN Future Pix #203 音声

DIGITAL VORN Future Pix #203

DIGITAL VORN Future Pix #202 音声

DIGITAL VORN Future Pix #202

DIGITAL VORN Future Pix #201 音声

DIGITAL VORN Future Pix #201

DIGITAL VORN Future Pix #200 音声

DIGITAL VORN Future Pix #200

DIGITAL VORN Future Pix #199 音声

DIGITAL VORN Future Pix #199

DIGITAL VORN Future Pix #198 音声

DIGITAL VORN Future Pix #198

DIGITAL VORN Future Pix #197 音声

DIGITAL VORN Future Pix #197

三菱マテリアルが掲げる積極的なDX戦略「MMDX2.0」 推進基盤となる重要な“3つの要素”とは? 記事

三菱マテリアルが掲げる積極的なDX戦略「MMDX2.0」 推進基盤となる重要な“3つの要素”とは?

海外展開やリユース企業との提携を拡大。真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」が目指すビジョンとは? 記事

海外展開やリユース企業との提携を拡大。真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」が目指すビジョンとは?

「メルカリ」に商品の鑑定サービス“あんしん鑑定”を提供…AIを使った真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」の“強み”とは? 記事

「メルカリ」に商品の鑑定サービス“あんしん鑑定”を提供…AIを使った真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」の“強み”とは?

「日本はアナログの“価値大国”」平将明デジタル大臣が見据える“日本の未来”とは? 記事

「日本はアナログの“価値大国”」平将明デジタル大臣が見据える“日本の未来”とは?

平将明デジタル大臣が“マイナ保険証”のメリットを解説!「マイナ保険証でお薬情報などがわかる」「治療履歴と照らして適切な手当ができる」 記事

平将明デジタル大臣が“マイナ保険証”のメリットを解説!「マイナ保険証でお薬情報などがわかる」「治療履歴と照らして適切な手当ができる」

「バブルが弾けて以降30年以上に渡って…」三菱ケミカルグループCDOが指摘する“日本企業の弱点”とは? 記事

「バブルが弾けて以降30年以上に渡って…」三菱ケミカルグループCDOが指摘する“日本企業の弱点”とは?

「こんなにポテンシャルの高い会社はない」三菱ケミカルグループ・市村雄二がCDO就任後に最も感じたこととは? 記事

「こんなにポテンシャルの高い会社はない」三菱ケミカルグループ・市村雄二がCDO就任後に最も感じたこととは?

近い将来“都心一極集中”は解消する!? AIST Solutions・Vice CTOが見据える“日本の未来”とは? 記事

近い将来“都心一極集中”は解消する!? AIST Solutions・Vice CTOが見据える“日本の未来”とは?

産総研が100%出資する会社・AIST Solutions…社会と研究の橋渡しをする重要な役割とは? Vice CTOが解説! 記事

産総研が100%出資する会社・AIST Solutions…社会と研究の橋渡しをする重要な役割とは? Vice CTOが解説!