「電気料金」値上げ…「45%以上」値上げ申請の電力会社も!? その背景は? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。今回の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「大手電力7社が電気料金の値上げを申請…その背景は?」。情報社会学が専門の学習院大学非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました(※放送当時の内容です)。


※写真はイメージです



◆相次ぐ電気料金の値上げ…その理由は?

吉田:東京電力ホールディングスなど大手電力会社7社は、1月26日(木)までに「規制料金」の3~4割程度の値上げを経済産業省に申請しました。塚越さん、まずは「規制料金」とは何なのか、改めて教えてください。

塚越:電力の家庭向け料金には「自由料金」と「規制料金」があります。「自由料金」は2016年の「電力小売全面自由化」によって新たにできたもので、主に新規参入した新電力などがおこなっており、価格は自由に決められます。対して「規制料金」は従来からあるもので、値上げするには国の許可が必要です。

各社が値上げ申請をしたのがこの規制料金ですが、一般家庭の過半数が規制料金で契約しています。東北電力や北陸電力といった5社が4月からの値上げを申請し、東京電力と北海道電力の2社は6月からの値上げを申請しています。値上げ幅は最終的に国の審査で決定しますが、各社が申請した時点では平均で28%~45%と、大きな値上げになります。

吉田:大手電力7社が、この「規制料金」の値上げを申請したわけですが、これにはどのような背景があるのでしょうか?

塚越:やはり、一番は燃料費の高騰です。規制料金も自由料金も「燃料費調整制度」と呼ばれる制度によって、電力会社は調達した液化天然ガスと原油、石炭の価格を自動で消費者の支払う料金価格に反映できます。2022年はロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で、例えば、2022年12月の天然ガスの輸入価格は、コロナ前の2019年12月に比べて2.5倍、石炭は5倍にもなっています。

ただし、規制料金は消費者保護のため、燃料コストを価格に反映するのに上限を設けています。しかし東京電力は2022年9月にその上限に達しており、超えた分の燃料費は会社負担になっています。

北海道電力も燃料調達コストがかさみ、2023年3月期の連結最終損益は9年ぶりの赤字転落 が見込まれています。こうした事情もあり、上限価格の引き上げ、つまり値上げを申請したということになります。ちなみに自由料金は上限価格がないですが、そのために多くの新電力では価格が高騰していて大変な状況です。

一方、関西電力は2023年3月期の連結最終損益を1,450億円の赤字 と見込んでおり、やはり状況は苦しいですが、現状では値上げを申請しない方向です。これには原発が関係しており、関電は多くの原発を稼働しているので、火力発電の比率が他の電力会社よりも低いです。

つまり、天然ガスなどの燃料の影響を受けにくいということです。今後、原発の稼働率を上げることなどで採算の改善が見通せるということで、値上げを申請しないということになります。こうした点から、「やっぱり原発が必要だ」といった声もあります。

関電ですが、先日、福井県の高浜原発4号機が異常検知 して自動停止をしてしまったことがありました。3.11もそうでしたが、原発はリスクもあって老朽化も進んでいるので、こうした事情から関電もこれから値上げする可能性があります。

世界的な再エネ化の動きもあるので、簡単に原発が良いとも言えないです。太陽光発電もいろいろ議論がありますが、メリット・デメリットを含め長期的な観点から考える必要があると思います。

◆政府による電気代負担軽減策が始まるものの…

ユージ:今回の「値上げの申請」が反映されるのは時間がかかるということで、2月の電気代は下がると言われていますよね?

塚越:政府は電気料金の負担軽減として「1月の電気使用量、つまり2月に請求される分」から補助をするということなので、平均的な家庭だと1月の請求分と比べて1,600円~1,800円ほど値下がりになります。ただし、早いところだと、「3月の電気使用量、つまり4月請求分」から、電気料金が値上げされるので、さらに3割程度値上がりするとすれば、政府の補助を超える分の値上げも予想されます。

さらに政府の負担軽減策も、9月使用分から段階的に縮小するとしており、補助が下がり、総合的に電気料金が上がることも考えられます。世のなかいろいろな動きがあって、円安などが落ち着いてきて燃料費の高騰も少し落ち着くんじゃないか、という議論もありますが、世界経済は見通せないので、皆さまも節電を個人でも考える必要があると思います。

※岸田文雄首相は2月24日(金)、電気料金の値上げ幅を圧縮するため、厳格に審査するよう西村康稔経済産業相に指示。当初の4月の電気料金値上げが先送りになる見通しが強くなりました。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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