高齢者の「オンライン診療」への懸念を解消!? ファストドクター株式会社が取り組む“新たな診療スタイル”とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。3月11日(土)の放送は、ファストドクター株式会社 代表取締役の水野敬志(みずの・たかし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)笹川友里、水野敬志さん


水野さんは、京都大学大学院農学研究科修了後、外資系コンサルティングファーム、楽天株式会社にて戦略及び組織マネジメントの経験を積み、2017年よりファストドクターを含む複数ベンチャーを支援。2018年にファストドクター株式会社の代表取締役に就任しました。

◆“救急車の代替”を目指した新サービスを展開

2016年8月にファストドクター株式会社を設立し、医療プラットフォーム「ファストドクター」の運営をスタート。このサービスについて、水野さんは「夜間・休日の医療アクセスが困難な時間に、医師が患者さんのご自宅に救急往診し、その場で診察・処方を受けられます」と説明します。

さらに、「コロナ禍になってからは、地域の医療機関は、かかりつけの患者さんを診察してあげたくても、当初は発熱診療が感染症指定医療機関に限られていたり、院内感染防止の対応策が困難であることなどから発熱診療ができず、自治体も自宅療養者の急増で、保健所の力だけでは患者さんのフォローをしきれない。といったなかで、ファストドクターは“患者さんのご自宅に救急往診に行く”というヒト・モノ・コトをプラットフォーム化させていたので、医療機関や自治体向けにも機能を提供していきました」と話します。

ファストドクターは、医療へのアクセスが難しい夜間・休日に救急往診をおこなうことで、「救急車の代わりとなるサービスを提供しています」と水野さん。このような救急往診にフォーカスを当てたサービスをなぜ立ちあげたのかというと、老老世帯や高齢者の独居など世帯構造の変化から通院困難者が増え、比例して救急車の出動台数が年々増加し、病院に搬送されるまでの時間も延びている現状を知り、そうした課題を「解決していかなければならない」という思いが芽生えたそう。

しかし、「受け入れ側の病院についても、救急病院のリソース自体が不足してきていて、(大学の)医学部の定員にも限りがあるため、医者の数にも限りがある。そのなかで、救急のリソースをどう増やしていくかは、かなり難しい問題でした」と語ります。なお「ファストドクター」には、現在2,000人以上の医師が登録しており、北海道、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府、滋賀県、福岡県の対象エリアにて救急往診をおこなっています(※番組放送時/一部対応エリア外あり)。

◆医療分野におけるDX化で大切なことは?

昨今、さまざまな分野においてDX(デジタルトランスフォーメーション)化の必要性が叫ばれているなか、水野さんは「医療現場はまだまだアナログで、紙ベースや人力で頑張っているところが多いので、もっとデジタルの力を使うことで効率化できると思っています」と力を込めます。

その一方で、DXというと、どうしても効率化やコスト削減に目がいきがちですが、「DXでもう1つ重要なことは、特に医療においては“質”。なので、我々が投資してきたのは“(医療の)質を高めるにはどうすれば良いか”というところです」と水野さん。

そのため「ファストドクター」では、救急往診・オンライン診療を利用した患者さん全員に、担当した先生を評価してもらうことで、質の向上を図っています。「患者さんにショートメッセージでアンケートを取り、診察でご不満があったのはどの点だったのか、それが医師の診察に関わるところなのか、などの評価を定量的にデータとして取っています」と説明。これよって、データを可視化することができて、「先生側も納得して改善してくださっています」とメリットを挙げます。

◆オンライン診療の弱みを補う新サービス

ファストドクターは、医師の不足する地域に向けた新たな取り組みとして、2022年11月から「デジタル往診」なるモデル事業の検証を福島市で開始しました。地方部の患者さんのご自宅に、タブレット端末と医療機器を持参した地元の看護師が訪問し、都心部の医師が遠隔でオンライン診療をおこなうという、オンライン診療と訪問看護を組み合わせた新サービスです。

看護師が訪問することにより、救急往診を必要とする高齢者にとってハードルが高い“オンラインでの診療”が解消されるだけでなく、「看護師がその場で新型コロナの抗原検査をすることもでき、(医師による指示のもと)必要であれば点滴などもその場でできるので、実際の診察に近いような体験を、オンライン診療でも実現できます」と解説。これに笹川は「アイデアの発想力とITの力との複合的な新たな取り組みですね!」と感心しきりでした。

次回3月18日(土)も引き続き、水野敬志さんゲストにお迎えしてお届けします。水野さんの仕事術や医療業界の未来についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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聴取期限 2023年3月19日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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