モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。
3月16日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「ガーシー元議員、除名処分が正式決定」。情報社会学が専門の学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
※逮捕状請求前の放送となります
※写真はイメージです
ガーシーこと東谷義和元議員は、2022年7月の参議院議員選挙の比例代表で、当時の「NHK党」(現・政治家女子48党)から出馬して初当選。国会への欠席を続けてきたガーシー元議員に対し、参議院は15日におこなわれた本会議で「除名」処分を正式に決定しました。
◆72年ぶりの「除名」処分…ガーシー元議員の問題は?
ユージ:塚越さん、改めて今回の経緯のご説明をお願いします。
塚越:ガーシー元議員(以下、ガーシー氏)は、もともと暴露系YouTuberとして登場したこともあり、選挙はネットを利用したものでした。選挙時にはUAE=アラブ首長国連邦のドバイに滞在しており、当選後、去年8月に召集された臨時国会を欠席。ガーシー氏からは海外渡航届が出されていましたが、帰国日程が記載されていないので、全会一致で海外滞在を認めないことになりました。
その後も参議院は帰国を求めるも一度も出席せず、2月に懲罰となる「議場での陳謝」が決定しましたが、彼はこれも欠席しました。そして3月15日(水)、参院本会議で「除名処分」が決定。党の浜田聡政策調査会長は「不登院という事情をもって除名処分に至ることは違法だ」と述べています。
ユージ:「除名」処分になった国会議員は72年ぶりだそうですね。
塚越:除名処分は4つある懲罰のうちで一番重い処分です。懲罰を受けた議員は他にもいますが、除名処分を受けた国会議員は、ガーシー氏で戦後3人目とごくわずかです。他の2つの事例は、1つは1950年、本会議で予算案に反対の討論をしたにも関わらず、採決で賛成した参議院議員が除名。
2つは1951年、代表質問で当時の占領政策を批判する発言をしたとして、「陳謝」処分となりました。こちらは衆議院議員が陳謝を拒否したことで除名。いずれにせよ、70年以上前のことです。欠席を理由に除名処分となったのは今回が戦後初です。
ユージ:ガーシー氏の言い分としては、どのようなことを述べているのでしょうか?
塚越:ガーシー氏はさまざまな発言をしていますが、基本的に「帰国すると不当逮捕の恐れがある」から帰国しないと述べています。また、脅迫などを受けていて帰国に恐怖を感じるとも話しています。
ガーシー氏は、YouTubeで著名人や経営者に対する脅迫、名誉毀損をおこなった疑いで警視庁に捜査を受けています。警視庁は事情聴取を要請し、応じる姿勢を見せたこともありましたが、結局帰国していません。また当初から「当選しても帰国せずに海外で活動する」ことを公約に掲げて当選した、とも主張しています。
◆28万票あまりを獲得した背景
吉田:ガーシー氏は28万余りの票を集めて国会議員になりました。そのあたりも含めて、今回の処分を塚越さんはどうお考えですか?
塚越:ガーシー氏および旧NHK党の戦略は、SNSなどを駆使して主に浮動票、つまり特定の支持政党などがない人を狙ったものです。(公約など)中身の良い・悪いは別にしても、やはり“上手い”です。ルールの隙間を突いて驚くようなことをしかけ、既存政党を“既得権益層”として、対立軸を明確にしています。政治に興味がなかったり、政治に不信感を持っていたりする人を惹き付ける力があったのは事実で、現にガーシー氏は28万票あまりを獲得しました。
一方、ガーシー氏の主張には、やはり無理があります。オンラインでの議会参加はいいことですが、実際は逮捕を恐れてやっていることもわかっているわけで、(それがオンラインでの議会参加をしても良い)理由にはならないです。
そして、恐れるべきは、今回の除名で彼を支持する人々が「既得権益層が、また少数派を潰しにかかった」と感じることです。これは、内容は異なりますが、形式的には権力に抵抗する社会運動が潰されたと感じることと同じです。今後は、ガーシー氏やその周囲がより過激になることや、それが社会的な分断を生むことが社会全体としての今後の課題だと思います。
私はガーシー氏の意見には賛同しませんが、社会がもともと政治不信を抱えていますし、既得権益層が問題というのもみんな感じています。そこに、インターネットなどの力を使って“社会改革をする”というテーマが加わってでてきたのが、ガーシー元議員ということになります。そうすると、今後もこういったことが続きます。
既得権益を変えるという運動そのものは、みんな反対しないと思いますが、やり方次第で、いろいろな良い・悪いがこれからも出てくると思います。いろいろと難しい問題ですが、我々もその辺りの様子を見ながら考えないといけないと思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/