地震、台風、活火山の噴火…“自然災害の多い日本”だからこそ取り組むべき「災害に強い国づくり」とは?

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。4月2日(日)の放送では、内閣官房 国土強靱化推進室 参事官の馬場裕子(ばば・ゆうこ)さんに、「みんなですすめよう! 災害に強い国づくり」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、馬場裕子さん、足立梨花



◆“災害に強い国づくり”を目指して

私たちが暮らす日本は災害が多い国です。特に近年、気候変動の影響で大雨が降り、亡くなる方が出てしまうような災害が毎年のように起こっています。

気象庁によると、2011年から2020年の10年間における「1時間に50mm以上の雨」が発生した年間の件数平均は334回。また、同じ期間に震度5以上の地震が発生した年間の平均件数は約19回だそうです。

ひとたび災害が起こると、津波や火事、家屋の倒壊などで多くの人が亡くなったり、大雨による浸水、土砂崩れなどで家屋が使えなくなったり、電気や水、食料などの供給が止まって生活できなくなるなど、私たちの暮らしに大きなダメージを与えます。さらに、農地や企業がダメージを受けると、国土が荒廃したり、経済活動が滞って国際競争力が低下するなど、日本全体が危機に直面する恐れもあります。

そのためにも「国土強靱化」をする必要があると言えます。国土強靱化について、馬場さんは「地震や津波、台風、活火山の噴火など、こうした自然災害に強い国づくり、地域づくりを目指す取り組み」と説明します。

また、日本はこれまでさまざまな大規模自然災害を経験し、そのたびに甚大な被害を受け、長期間にわたり復旧や復興に向けた対策を余儀なくされてきましたが、「これまでの大災害を教訓にして、事前に災害に強い国づくりをすることで、命を最大限に守り、被害を少なく暮らしも経済も速やかに回復させる。そんな“強さとしなやかさ”を備えた国づくり・地域づくりを目指しています」と馬場さん。

ただそれは、行政だけが頑張っても実現できるものではなく、「企業、地域個人での取り組みも非常に大切」と補足。堤防を作るなどハード面の整備や強化のほか、「防災情報の発信や防災教育の実施、防災訓練への参加など、ソフト面の取り組みも進めていくことが重要です」と力を込めます。

◆“災害に強い国づくり”のための取り組み

“災害に強い国づくり”のための取り組みは、2011年に発生した東日本大震災を受けて制定された「国土強靱化基本法」に基づいて計画され、すでにさまざまな取り組みが進められています。なかには実際に被害を軽減することができた事例も。

まず、国や自治体がおこなった事例を紹介します。宮崎県、大分県、熊本県の3県を流れる五ヶ瀬川の流域は、梅雨や台風による降雨が原因で、洪水により、数年ごとに亡くなる方や行方不明になる方が発生する状況が続いていました。

そこで、流域に位置する宮崎県延岡市では、川の底を掘削して広げて堤防を築くことで、川の水をあふれにくくしました。さらに、大雨に備え、電力会社などとも協力して、ダムに貯めていた水をあらかじめ減らすことで、水をより多く蓄えることができる状態に。

これによって、2022年9月に発生した台風では、同規模の降雨により大規模な被害が発生した2005年の台風と比較して、浸水戸数が約96%も減少しました。このように、事前に防災や減災対策をしておくと、被害そのものが抑えられるため、被害額や回復にかかる費用を安く抑えることができます。

そのほか、民間の企業やNPO法人などでも防災対策が積極的に進められており、ある企業では、災害時に自社の体育館を一次避難所や津波避難ビルとして地域住民に開放することを想定して、体制や設備を整備しています。そして有事の際に気兼ねなく避難してもらうため、日ごろから食堂や体育館を開放しています。

また、在留外国人が多い地域のコミュニティー・エフエムでは、2019年に上陸した台風をきっかけに、防災・防犯情報を中心に地域の在留外国人に向けた複数言語での情報伝達を開始しています。その放送には、日本語の文章をすぐに外国語に翻訳して自動音声で放送するサービスを導入し、刻々と変化する状況に対して、外国語でもきちんと情報発信できる体制を整えているそうです。

◆減災のために私たちができること

私たち一人ひとりが防災や減災のために事前にできることといえば、「家具や家電の固定」「事前にハザードマップを見て避難所や避難経路の確認する」「食料や飲料水、携帯トイレなどの備蓄」などが挙げられますが、馬場さんは「水や食品、携帯トイレ以外の備蓄品もしっかり備えておくことが大事」と話します。

女性の場合は生理用品、赤ちゃんがいる家庭ならおむつや離乳食、高齢の方の場合は介護用おむつや薬などが必要になり、「そうしたアイテムは、他と比べて備蓄の数が少なく、避難所で不足する可能性も想定できます。ぜひ、ご家庭に必要なアイテムを精査して、備蓄をおこなってください」と注意を促します。

また、いざ使用するときに消費期限が切れていて慌てるようなことがないように、古い備蓄品から使っていき、新たに買い足していく“ローリングストック”が大切です。

ほかにも、「例えば、街を散歩しながら、避難場所や避難経路を確認するなど、いざというときのイメージをしたり、家を整理整頓して、安全で避難しやすい家にしておくことも、もしものときに身を守る行動につながります」と馬場さん。

最後に、「日本は今後、南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、マグニチュード7~9クラスの巨大地震の発生が予想されています。また、大雨、津波、活火山の噴火など、自然災害はいつ起こるか予想できません。ですから“いつかやろう”ではなく、まずは、日々の生活のなかでできることから始めてみてください」と呼びかけました。

今回の話に足立は、「国づくりと聞くと“私たちに関係あるのかな?”と思ってしまいがちですけど、私たちにもできることがあるということで、水や食品、携帯トイレ以外の備蓄品もしっかり備えておくことが大事だと知ることができた」と話し、備蓄品についても、「性別や年齢、家庭環境などに応じて自分なりに使いやすいようにストックしておくことが大事だと思いました」と気づきがあった様子。

青木は、みんなが一丸となってハード面もソフト面も防災・減災対策を講じることの大切さを痛感したようで、「『防災対策』『国土強靱化』と聞くと、行政の仕事と任せっきりになっていたけど、そうではなく、民間企業もそうですし、私たちの日々の暮らしのなかでも、できることがたくさんあるなと思いました」と話していました。


(左から)青木源太、足立梨花



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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

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