公道走行可能に!「自動配送ロボット」交通ルールは“歩行者同様”…活用方法・今後の課題は? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月5日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「4月からロボットが公道を走行可能に 活用法と課題は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



◆自動配送ロボットが公道走行…これから世の中、どう変わる?

改正道路交通法が施行され、4月1日(土)から自動配送ロボットが公道で走行可能になりました。

吉田:塚越さん、公道を走行できるのはどういったロボットなのか、大きさや走行速度などを教えてください。

塚越:公道を走行できるのは「遠隔操作型小型車」に該当するロボットです。近くに人を配置しなくても、ある程度、自律して動くことができますが、同時に離れたところからの遠隔監視、遠隔操作が可能であることが必要なロボットになります。

大きさは高さ120cm、幅70cm、奥行き120cm以下。「電動で動き、時速6kmを超える速度が出ないこと、鋭利な突出部がないこと」という要件があります。「電動車イス」くらいと考えてよいです。ちなみに、成人の歩く速度は平均で時速4kmと言われているので、最大時速6kmは“早歩き”や“小走り程度”です。

ロボットが走行できる場所は、歩行者とほぼ同じで歩道や路側帯などです。交通ルールも歩行者とほぼ同じですが、「ロボットは歩行者に進路を譲らなければならない」とされています。

事業者がロボットを走行させるには、管轄の公安委員会への届け出が必要になります。経済産業省は、自動配送ロボットが公共空間である歩道を走行するには、通行者がこのロボットを知ることが重要と述べており、まずはロボットの存在の認知向上を図る狙いがあります。

◆公道を走るロボット…どのような活用を想定?

吉田:公道を走ることができるロボットは、どのように活用されることを考えているのでしょうか?

塚越:経済産業省と開発メーカーなどで作られた「一般社団法人ロボットデリバリー協会」の資料によれば、できることとして大きく3点が挙げられます。

1つ目は「物流」。人手が不足する早朝・夜間にロボットが働きます。荷物の配送だけでなく、集荷も可能です。置き配などを深夜から明け方におこなってくれるなら便利ですよね。

2つ目はフードデリバリーなど、Uber Eatsのようなサービスをロボットがおこないます。さらに、自治体による生活必需品の配送など、高齢世帯等に対する買い物支援などができる、“ラストワンマイル”(顧客に物・サービスが到達する、物流の最後の接点)です。

3つ目は「商業地での移動販売」。荷物を持って商業地や観光地を動いて、飲食物などを非対面・キャッシュレスで販売できます。

ロボットデリバリー協会の理事によれば、自動配送ロボットがUber Eatsのように役立つという認識が広がり、ビジネスとして展開していくことが重要だと捉えています。他にも、使っていくなかで新しい使い方が登場する可能性もあり、期待が高まっています。

◆コストなどの課題も…

ユージ:公道を走ることができるロボットには、コストなどの課題も指摘されています。塚越さんは、どのように受け止めていますか?

塚越:自動配送ロボットは、経産省と産業界による2019年の官民協議会から始まったもので、基本的には国も積極的に取り組んでいます。配送分野はドローンも注目されていますが、実用までに、まだ時間がかかります。

一方で、今回のロボットはすでに利用可能です。特に地方の高齢世帯に日用品を届けるなど、公共的なサービス分野でも期待できると思いますが、問題はコストです。

まず、ロボット本体の費用がかかりますし、遠隔オペレーターの人間の監視も必要になってくるので、ここで(人件費などの)コストがかかると考えられています。

ユージ:ロボットは初期投資がかかっても、あとでコストが回収できれば問題ないですが、ロボットを監視するために人が必要となると、結局、人件費がかかってきますよね?

塚越:現在では1人のオペレーターが4台を監視するケースなどが見られますが、今後は1人で10台ぐらいのロボットを監視できるシステムの構築や、安全性を守りつつコストを下げていくことが重要になってくると思います。

もう1つの問題点は配送スピードです。(ロボットの走行速度が)“小走り程度”っていうのは、やはりちょっと遅いですよね。デリバリーサービスには自転車やバイクを利用したサービスがあるなかで、少し範囲が微妙かな……というところがあります。

配送速度が遅いことに加え、こうした配送だけだと、まだマネタイズ(収益化)ができないとも言われています。まずは利用者が増えることで運用コストが下がっていく。そして、商業地での移動販売や近くのコンビニから商品を運ぶなど、いろいろな細かいサービスが普及したり、運用をしながらユーザーの望む新しいサービスができたり、実際に動かしながら新しいサービスが出ていくとマネタイズもできるのではないかと思うので、このあたりも期待したいですね。

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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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