TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、放送作家・倉本美津留さんと映画監督・樋口真嗣さん。ここでは、倉本さんが購入したという樋口さんのアイデア本「樋口真嗣特撮野帳 -映像プラン・スケッチ-」(パイ インターナショナル)の魅力を熱く語りました。
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(左から)倉本美津留さん、樋口真嗣さん
◆アイデアを記録するためにノートを携帯
倉本:僕「樋口真嗣特撮野帳 -映像プラン・スケッチ-」を買っちゃいました。
樋口:うわぁ、マジですか!? ありがとうございます。
倉本:でも、ここまで分厚くて重たい本とは思いませんでしたよ。
樋口:そうですよね、凶器になるぐらい(笑)。
倉本:(笑)。いやぁ、これを読んでびっくりしました。野帳とも違うというか、描かれているのは絵コンテですか?
樋口:絵コンテの前の段階ですね。アイデアみたいなものをとりあえず描き留めておいて……。
倉本:それにしては、めちゃくちゃ緻密に描いているじゃないですか。ここまで描かないと作れないんでしょうけども、労力がすごいですね!
樋口:これを毎回やっているんですよね。
倉本:野帳って“思いついたことをガッと描く”というイメージがあるんですよ。街なかでもどこでも、思いついた瞬間に“バババッ”と描くみたいな。そのイメージで読んだら、めちゃくちゃ緻密に描かれているので。
樋口:本当はここまで全ページみっちり描かないですよ。途中で“違う”と思っても、消しゴムで消す時間がもったいないから、次のページに描いちゃったりするので散らかるんですよね(笑)。
倉本:それ(メモした野帳)が何百冊とあるわけでしょ?
樋口:そうですね、今も持っていますよ。
倉本:そうなんですね!? いつ閃いても描き留められるように。
樋口:絶えず持っています。むしろね、(閃いたことを)そこで覚えようとしてもダメなんですよね。倉本さんも、“すごくいいアイデアを思いついた!”って瞬間はありますよね?
倉本:あります(笑)。
樋口:それを“こんな良い案は忘れるわけがない!”と高をくくって、メモらずにお酒を飲んだりして過ごしているうちに“……あれ?”って(笑)。
倉本:ええことを思いついているときに限って、そういうことをしちゃいますよね。
樋口:何が残念かって“良いことを思いついた”という輪郭だけは覚えていているのに、中身がまったく思い出せないという(笑)。
倉本:一番腹が立つパターンですよね(笑)。
◆書き留めることで脳の負担を軽減させる
倉本:“閃きを残しておく”ことを日常的にやることで、人生の厚みが絶対に変わっていきますよね。
樋口:大先輩(特撮研究所の矢島信男監督)が“メモ魔”だったんですよね。なぜかというと「記憶の手段に人間の脳を使ったらもったいない。閃いたり、考えたりすることに脳みそを使わないとダメだよ」って。
倉本:めちゃくちゃええ言葉やなぁ! 絶対にそうやわ。
樋口:例えば、2時間の映画を観ていて(印象に残ったことを)暗記しようとしても、だいたい10個が限界なんです。それで1回メモに取ってみたら、すごく楽になったんですよね。見ることに集中できて。その代わり、物忘れはもっとひどくなったけど(笑)。
倉本:(笑)。閃きのために脳を100%使えるってことやから、その考えはめちゃくちゃいいですよね。
樋口:負荷がかからなくなった感じですね。覚えることを放棄したらこんなに楽になるのかと。
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/speakeasy/