スタメンより思い出。若新雄純が考える習い事での「親と子どもとの接し方」

市川美絵がパーソナリティをつとめるJFN系列のラジオ生放送番組「Seasoning~season your life with music~」(※2023年3月末で放送終了)。3月23日(木)放送のコーナー「若新雄純の『無責任相談所』」では、木曜レギュラーパートナーの若新雄純(慶應大学特任准教授などをつとめるプロデューサー)が、リスナーの相談に答えました。


木曜レギュラーパートナーの若新雄純



若新がリスナーからのお悩みに答えるものの、その回答には一切責任を取らないという斬新(!?)なコーナー。この日紹介したのは「子どもとの接し方」に悩んでいるというリスナーからのメッセージです。

<リスナーからの相談>
息子が少年野球をしているのですが、自分と嫁でよく言い争いになります。息子はお世辞にもスポーツの才能があるとは言えず、自分は息子に「スポーツの才能はない」とハッキリ言っています。

しかし、嫁は「頑張ったらうまくなる」と何度も言っています。自分は、子どもの頃に、過度な期待をされてつらかった経験があるので、息子に対しては現実を見てほしいと言って接しています。

子どもには現実を知ってもらうように接したほうが良いのか、まだ見ぬ理想を掲げて接したら良いのか、もしよろしければアドバイスをお願いします。

◆夢、理想、現実…子どもにはどう伝えるべき?

この相談に若新は「小さい頃の経験は、(例えば、この息子さんのように野球が)将来の職業につながらなかったとしても、ずっと思い出として残る。どんな記憶として、自分のなかに蓄積されるのかがすごく大事だと思う」と話します。

野球をしている子どもたちからすれば、プロ野球選手やメジャーリーガーがプレーする姿を見て、プロの世界に華やかな印象を持ったり、憧れを抱いたりすることは少なくありませんが、「少年野球や中高の野球部は、(髪型を)丸刈りにしなきゃいけないとか、監督が厳しかったり、上下関係がつらかったり、入部するのには覚悟が必要」と指摘したうえで、「もっと明るいイメージで、より参加しやすいものにしたら良いと思う」と自身の考えを述べます。

続けて「そうなった場合、『競技のレベルが下がるのでは?』と言う人がいるかもしれないけど、競技のレベルが全体で上がったとしても、全員がプロになるわけじゃない。(その競技が)いかに上手かどうかではなく、(子どもたちにとって)その競技をやっていたことが“とても良い思い出になった”となるのが理想だと思う」と語ります。

例えば、少年野球や野球部に所属している子どもたちが、「野球が下手でスタメン(やレギュラー)になれなかったら、“良い思い出が作れないんじゃないか?”と言うのは、大人の思い込みでは」と指摘します。

若新自身はというと、個人競技が好きで、スキーやテニスなどをかじった経験があり、なかでも人生で一番力を注いだ競技は、高校2年生~大学2年生ぐらいまで続けた「空手」だとか。「いま思い返してみても、空手をやっていたことがすごく良い思い出になっている」と振り返り、「だからといって強かったかというと、めちゃくちゃ弱かった(笑)。たった一度だけ出場した大会でも一回戦負け。でも、これが大事なポイント」と切り出し、現在も良い思い出として記憶に残っている理由について語ります。

若新自身、親から空手を強制されたことはなく、自発的に選んだことに加え、自分を道場に誘ってくれた友達は高校のときの県大会で2連覇するほどの実力の持ち主だったそうです。

「一番身近な所に、絶対に勝てないヤツがいた。少年野球もみんながスタメンになれるわけじゃないし、みんなが地区大会で勝てるわけじゃない。僕は道場のなかでもずっと弱かったけど、自分で(空手を)選んだし、誰かに『こうなれ』と期待されてやったわけじゃない。だから自分が『もういいや』と思うまで続けていた。“自分比”では少しは上達したと思うし、強くなれたから楽しかった」と当時を振り返ります。

そして、あらめて「うまくならなければとか、(試合で)勝たなければ良い思い出が作れないというのは、周りから見ている大人のエゴかもしれない」としたうえで、「親としては、自分の息子がスタメンに選ばれて監督に褒められて、大会で(優勝の)旗を持って……という思い出を作りたいかもしれないが、(大事なことは)子ども自身が、どういう思いをしているか」と熱弁。

ちなみに、若新の地元・福井では卓球が盛んで、小学生のときには大会で優勝したこともあったと言います。そのような状況にも関わらず、卓球を続けなかった理由については「当時、卓球がうまくて“優勝するのが当然”のように思われたから。小学5年生の頃は一番だったけど、6年生のときに、それが嫌になって中学ではやらなかった。誰かの期待に応えるということは、仮に上手でも良い思い出になるとは限らない」と実体験を交えて語り、今回の相談者に向けては「(息子さんと)一緒に楽しんであげればいいと思う。(レギュラーになれず)ベンチだったとしても、『ユニフォームかっこいいじゃん!』と言ってあげたり、(子どもからすれば)それで十分な思い出になると思う」とアドバイスを送りました。

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<番組概要>
番組名:Seasoning~season your life with music~
放送日時:毎週月曜~木曜 13:30~15:55
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国20局ネット
パーソナリティ:市川美絵、角田陽一郎(月曜)、副島淳(水曜)、若新雄純(木曜)
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/38286

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