白井晃「少し自惚れた気持ちがあったんです」“音楽”の道を諦めた理由とは?

俳優・石丸幹二がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko THE NATURE OF TIME」(毎週土曜12:00~12:25)。各界で活躍するゲストを迎え、毎週1つのキーワードから“自分を支えている本質”を掘り下げて伺っていきます。2023年4月のマンスリーゲストは、演出家・俳優の白井晃さん。この記事では、好きな音楽や学生時代の話を伺った4月8日(土)放送の模様を紹介します。


石丸幹二、白井晃さん


白井晃さんは、早稲田大学卒業後、遊◎機械/全自動シアター(ゆうきかいぜんじどうシアター)を主宰。演出家として独立後は、ストレートプレイから、ミュージカル、オペラまで幅広い作品を発表する一方、俳優としても活躍しています。昨年には、世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任されました。そんな白井さんは、いったい何を大切にしているのでしょうか?

◆白井晃が“癒される”音楽

石丸:このサロンでは、人生で大切にしている“こと”や“場所”についてお伺いしています。今日はどんなお話をお聞かせいただけますでしょうか?

白井:“自分が大切にしている楽曲、音楽”についてです。

石丸:どんな楽曲を特に大切にしていらっしゃいますか?

白井:ノンジャンルなんですよ。本当にいろんなものが好きで、クラシックからジャズ、民族音楽みたいなのも好きですし、ロック、ファンクなども聴きます。(自分に)フィットする音楽なら何でも。

石丸:自分の感性に合うものだったら何でも聴くということですね。例えば今、チェンバロの曲、(フランソワ・)クープランの「神秘の障壁」がオンエアされていますが、この曲はどんなところに惹かれますか?

白井:メロディーがどこか切なく、過去を回想するような印象を持っているので、ちょっと気分的にブルーになったときに聴いて、心を癒していますね。

石丸:自分を慰めたり労わる音楽なのですね。ほかには何かありますか?

白井:もちろん、本当に数限りなくあると思うんですが、どちらかと言うと(音楽というものは)ちょっと癒されたいときに、どっぷり浸ることのほうが多いかもしれないです。

そんななかで、私がときどき聴いて、気分的にも“よし、頑張ろう!”と思う曲が、(ピアニストの)キース・ジャレットとヤン・ガルバレクというサックス奏者が制作した『My Song(マイ・ソング)』というアルバムに同名曲があって。

学生の頃、ちょうど演劇をやっているときにみんなと聴いて「いい曲だな」とか思って、その曲を芝居に使ったりしていたんです。そういう思い出もあるからかな……余計に“あの頃の原点に戻って頑張ろう!”と思える曲なんです。

石丸:そういう“自分を見つめる曲”もありますよね。

◆“音楽の道”を諦めた理由

石丸:白井さんは音楽と関わりが深かったそうですが、はじめは習いごとのような形でスタートしたんですか?

白井:5歳ぐらいのときから、近所のオルガンピアノ教室みたいなところに親が(私を)通わせるようになって。それで1年くらいオルガンをやった後、ピアノに移行しました。

石丸:電子オルガン? エレクトーンみたいな?

白井:はじめはそうでした。その後、ピアノにすぐ移行して。

石丸:私も同じなんですよ。幼稚園のときにエレクトーンを1年やって、小学校に上がったら、なぜかピアノになっていました。

白井:当時は、そういう流れだったのかもしれませんね。

石丸:(ピアノを習って)“音楽家になりたい”という思いは湧き上がりましたか?

白井:はじめはそんなつもりはなくて、ピアノを辞めてからそういうことを思い始めたかなぁ。だから、音楽に対してすごく憧憬(しょうけい)というかリスペクトが大きくて。音楽を続けている人たちに対する尊敬の念が絶えないんですよ。

石丸:結構(ピアノは)弾かれたのですか?

白井:中学3年生までやっていたんですけれど……実は中1のときに、ピアノの全国大会に出場したんです。

石丸:うわ! すごい!

白井:出場したんですけど、その当時、大阪府の公立中学校って(男子は)丸坊主にしなきゃいけなかったんですね。今は(そんな風習も)なくなっていると思いますが。

石丸:そういう時代だったんですか。

白井:そうなんです。(ピアノの腕は)ちょっと自信があったんですけど、それまで、かわいい女の子たちがドレスを着て(ステージに)立っているなかで、学生服を着た坊主頭の僕が出て行ったんです。

そうしたら、女の子の笑い声がちょっと聞こえたんですよ。それが、ちょっと気になってしまったんでしょうね。そこでミスタッチをしてしまったんです。それで舞い上がってしまって……2曲目とか、自分が何を弾いたのか覚えていないぐらい(緊張していました)。

前日のリハーサルのときには、周りの人たちの(演奏を)聴いて“もしかしたら優勝できるかも!?”なんて、少し自惚れた気持ちがあったんです。優勝すると、音楽大学の付属高校に推薦入学できるという魅力的な話もあったので。でも、結局そこでミスタッチをしてしまい、悔しくて1週間くらい泣き続けていましたね。 

石丸:そうでしたか。でも、音大生を目指していたわけですから、相当に高いレベルだったのではないかと思います。

白井:いや、そんなことは全然ないと思いますよ。ただ、たとえ優勝はできなくても、失敗していなかったら“音楽の道に進みたい”と思っていたかもしれない。悔しすぎて“音楽を辞める!”と思って、ピアノの稽古とかも一時期しなかったんですよ。

だけど、やっぱり好きだったから、ときどき弾いたりしていくうちに、高校生ぐらいの頃からまた“音楽家になりたかったな”という思いが芽生えてきましたけどね。

石丸:でも、そのときにはもう“音楽家の道”よりも、また別のものを探しながら過ごされていた、ということですか。それが演劇につながっていくわけなんですね。

白井:そうですね。ピアノの失敗がなかったら、演劇をやっていなかったかもしれないです。

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<番組概要>
番組名:Grand Seiko THE NATURE OF TIME
放送日時:毎週土曜 12:00~12:25
パーソナリティ:石丸幹二
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/nature/

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