「議員報酬が少ない」地方議員 人口減少、高齢化も…立候補者不足、政治家の“なり手不足”が起こる理由は?

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月20日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「統一地方選挙で浮き彫りになった“候補者不足問題”」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです



4年に一度おこなわれる「統一地方選挙」。多くの自治体で議会議員選挙の候補者が定数に満たず、選挙戦でお互いの政策について意見を戦わせることなく、「投票なし」で全員当選という事態が各地で起きています。

◆全国的に立候補者が不足…その原因は?

吉田:この問題は、住民が少ない地方に限ったことではなく、東京・中央区の区長選でも対立候補が現れず、無投票で当選が決まるなど、都市部でも起きている現象です。この問題には、どういった背景があるのでしょうか?

ユージ:全国的に立候補者が不足しているということですが、この実態は、どのような状況なのでしょうか?

塚越:4月9日(日)に投開票された「41道府県議会選挙」は、939選挙区でおこなわれましたが、うち348選挙区、37.1%が無投票での当選となっています。

また、16日(日)に告示された市議選では、長野県岡谷市が定員18名に対して、立候補者が17名と定員に満たない、いわゆる「定員割れ」で、全員が無投票で当選となりました。この定員割れは、1936年の市制施行以来、初めての事態だそうです。

立候補者が少ないのは、特に小規模な町や村です。16日に告示された294の市議選では、先ほどの岡谷市を含めた14市、計237人の無投票当選が決まったということです。

総務省によると、4年前の統一地方選挙では、8つの町と村の議員選挙で定員割れが起きたのですが、市議会ではなかったということで、より大きな単位の選挙でも定員割れが起きているということですね。

◆候補者不足、政治家の“なり手不足”が起こる理由は?

吉田:なぜ、このような事態になってしまっているのでしょうか?

塚越:まず挙げられるのは、「人口が減少」していることです。それから「高齢化」が進んでいる町村の「議員報酬の低さ」などがあります。個人的には、政治家に憧れを抱く人が少しずつ減ってきているのかな、という気もします。

また、朝日新聞が地方議会におこなったアンケート調査で「候補者不足が課題」と答えた議会に、その理由を訪ねました。多い順に「議員報酬が少ない」「仕事との両立が難しい」、あとは「有権者の関心が低い」などが挙がっています。

ユージ:報酬が少ないという意見がありますが、具体的にはどのくらいなんですか?

塚越:人口の多い自治体の議会議員は、月額で100万円近い報酬のところもありますが、人口が少ない自治体だと月10万円台だったり、場所によっては数万円だったり……という所もあるそうです。

2018年の町村議会の月額報酬の平均は21.4万円。これが市議会議員になると約40.7万円、都道府県の議会議員だと約81.3万円ということで、小さい単位になってくると厳しいかな、というところはあると思います。

吉田:候補者不足の解決策は、なにかあるのでしょうか?

塚越:参議院が発行している調査報告誌「立法と調査」2019年の報告によると、やはり「議員報酬が低い」ことや、経費に関する「交付税措置額が低すぎる」ことが国会内でも議論されています。人口が少ないので税収が少なく、結果的に議員報酬を賄いきれないという話です。

地方議員は、一般的に兼業は禁止されていないのですが、地方公共団体の常勤の職員などとの兼業は禁止ということになっています。なので、公務員は一部の例外を除いて、公職の選挙に立候補した時点で職を失う決まりになっています。

そこで例えば、地方公務員が、自分が務める自治体以外の自治体で議員になった場合は、兼業を認めるなど、そうした条件を緩和することも必要なのでは、という声も上がっています。

そして実際、今年の3月に(個人事業主と地方議員の兼業規制を緩和する)「改正地方自治法」が施行されました。これまでは、自治体と継続的な取引がある個人事業主は兼業禁止でしたが、これを年間の取引額が300万円までなら兼業を認めるようになりました。

いろんな意味で生活も仕事も大変ですので、そうでもして兼業を認めないと、議員が増えないということですよね。他にも、さまざまな調査で「夜間や休日の議会を開催」「議員との兼業を認めるよう企業に要請」なども必要なのでは? という声も上っています。

いろいろと課題は多いのですが、明るい話もあります。女性の立候補者が増えていて、18日(火)に告示された373の町村議会議員の選挙では、女性の候補者は前回より91人多い667人となっており、立候補者数全体の14.6%を占め、これまでで最も高い数字になりました。いろいろな方が立候補するのは素晴らしいので、こういう話はいいことだと思いますね。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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