約60%がキャリア採用…中外製薬株式会社 上席執行役員・志済聡子が考える“理想のリーダー像”とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月6日(土)の放送は、前回に引き続き、中外製薬株式会社 上席執行役員デジタルトランスフォーメーションユニット長の志済聡子(しさい・さとこ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)志済聡子さん、笹川友里


志済さんは、1986年に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。官公庁システム事業部、ソフトウエア事業部などで部長を歴任後、ニューヨークのIBM Corporationに出向し、帰国後、2009年に執行役員公共事業部長に就任。その後も執行役員としてセキュリティー事業本部長や公共営業本部長を歴任した後、2019年に中外製薬に入社。デジタル・IT統轄部門長を経て、2022年より現職に就いています。

◆デジタルトランスフォーメーションユニットを統括

中外製薬では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現を加速するための組織として、2022年よりデジタルトランスフォーメーションユニットを設置。ユニット内には、主にデジタル戦略を推進するデジタル戦略推進部とIT戦略を推進するITソリューション部があり、ユニット全体でおよそ100名が在籍しています。

ユニット内には、志済さんと同様に2019年以降にキャリア採用で入社した人財が多く、「ユニット内の約60%がキャリア採用なのも特徴」と話します。また、IT業界だけではなく、アパレル業界や放送局、広告代理店などさまざまな職種からの転職者も多いそうで、「みんな、やりたいことや実現させたいことが自分のなかにあって、“会社が課題を与えてくれるだろう”という指示待ちタイプではなく、“自分にはこういうスペシャリティがあって、前職でこういうことをやってきて成功しているので、ぜひ(やらせてください)”と手をあげるような(アクティブな)人が多い」と語ります。

社内におけるDXの事例として、コロナ禍になったのを機に在宅勤務ができる体制の構築に着手。電子署名やネットワークの整備を進めるなど、「“(わざわざ)出社しなければならない”ということを極力廃止していき、基本的にはオンラインでほとんどの作業ができるようになっています」と成果を語ります。

◆社内のDX化を通して感じたこと

ユニット長として社内のDX化を推し進めていくなかで、「社員の人たちがデジタルに触れたり、チャレンジできたりするような場の提供や雰囲気づくりが重要だと感じました」と志済さん。そこで、社員が何らかの形でデジタルに関われる施策として「Digital Innovation Lab(DIL)」を開始。そこではアイデアの種を公募し、PoC(Proof of Conceptの略称/概念実証)を積極的に実施することで、挑戦しやすい風土を形成しています。

立ち上げ当初は、社員たちから公募があるのか不安があったものの、蓋を開けてみると「(公募が)すごく多かった。中外製薬の社員って好奇心旺盛だなと思いました」と目を細めます。

とはいえ、社内のDX化に着手したばかりの頃は、「部門によって(DXに対して)温度差があった」と志済さん。しかし、そうした課題に直面しても、悲観的になるのではなくポジティブに捉え、「まずは“一緒にやろう”と手をあげてくれたところと良い事例を作っていく。そうすれば、それがうまくいったときに、(DXに)温度感がなかった他の部門の人たちも“そこができるなら、うちもできる”といった流れを作っていこうと。そこが最初に苦労した部分でもあり、工夫したところです」と振り返ります。

◆志済聡子の“仕事の流儀”とは?

ここで笹川が“リーダーとして仕事をするうえで、大切にしていること”について伺うと、志済さんは、「チームが何を目指して、どうあるべきなのか、指し示す方向のようなものをリーダーは語らなければならないと思うんです。その方向性を社員やチームと共有することで、“私たちは何のために仕事をしていて、リーダーがどう思っているのか”を明確に分かってもらうようにすることが重要だと思います」と話します。

さらには、“これをやりなさい”“あれをやりなさい”と指示をして、その方向に向かせるのではなく、「自分の言葉で(方向を)しっかり語ることによって、“それっていいな”“自分も参加してみたい”というような共感が生まれると、人ってものすごく力を発揮してくれるんです。そういうリーダーでありたいと思っています」と言及します。

ただし、志済さんがチームメンバーと働くなかで危機感を抱くことがあるとも言います。「もし、会社がやっていることに対して“面白くない”“自分の成長に役立たない”と思われてしまうと、(退職して)どんどん次にキャリアチェンジしていくと思うんですね。つまり“定年までいてほしい”という話がまったく通用しないのが今の人財ですので、そういう人財を惹きつけ続けること。そして、彼らの成長につながるような働き方や助言などの場をどう提供していくのかというのは、私にとって大きなチャレンジだと思っています」と語りました。

次回5月13日(土)の放送は、株式会社カミナシ代表取締役CEOの諸岡裕人(もろおか・ひろと)さんをゲストに迎えてお届けします。現場改善プラットフォーム「カミナシ」のお話や諸岡さんの“仕事の流儀”についてなど、貴重なお話が聴けるかも!?

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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