笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月20日(土)の放送は、シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長の中川いち朗さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)中川いち朗さん、笹川友里
中川さんは、1985年に慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。2001年から2年間のニューヨークでのIBM本社勤務を経て、2007年に日本アイ・ビー・エムの事業統括理事に就任。2010年には日本ヒューレット・パッカードに入社。執行役員ソフトウェア事業責任者に就任し、2012年には常務執行役員に就任。2014年にシスコシステムズ日本法人、専務執行役員 エンタープライズ事業統括に就任し、2018年に副社長 情報通信産業事業統括を経て、2021年から現職に就いています。
◆シスコとはどんな会社?
シスコは、1984年に米カリフォルニア州のシリコンバレーで生まれ、1990年代に誕生したインターネットの驚異的な成長を支えたIT企業で、世界の7割のネットワークを支えています。そのため、「GoogleさんやFacebookさん(現:Meta)、 Amazonさんなどは、私どものお客さまでもあります」と中川さん。
また、会社の特徴としては、「(過去の)成功モデルに捉われることなく、今でもベンチャーのように変化をチャンスと捉えて、失敗を恐れずリスクテーキングすること(リスクを踏まえたうえで挑戦すること)を奨励しています。これまで私が働いてきた会社と比べても、すごくダイナミックでスピード感にあふれる会社です」と語ります。
そして、「すべての人にインクルーシブ(包摂的)な未来を実現することを会社としてのパーパス(存在意義)とし、誰もが分け隔てなく受け入れられ、認められていると実感できる社会を、ITやデジタルで実現することを目指しています。さらに、230以上の企業を買収したり、売上の13%を研究開発費に投資するなど、常にイノベーション(革新的な価値を創造すること)を追い求めているのも特徴の1つ」と力を込めます。
そうしたなか、昨年で(日本法人)創立30周年を迎えたシスコジャパン。“Changing the Way We Work, Live, Play and Learn(人々の働き方、生活、娯楽、学習のあり方を変える)”を会社のビジョンとして掲げ、「“つなぐ”をコンセプトに、最先端テクノロジーとイノベーションにより、人、モノ、情報をつなぐことで新たな価値を提供し、日本の働き方、生活の仕方、遊び方、学び方を変えてきました」と言います。
シスコジャパンは、2018年、2021年に続いて、今年、日本での「働きがいのある会社」大規模部門第1位に選ばれました。「働きがいを高めるには、“働きやすさ”に加えて、自分が何のために仕事をしているか、“やりがい”が欠かせません。シスコでは、まず多様性を受け入れコラボレーションし合う企業文化が大切で、そして、それを支えるプロセス、テクノロジーの3つに一体的に取り組んでいます」と中川さんは秘訣を明かします。
◆「Digital Divide(情報格差)」を解消するために
インターネットは、私たちの生活において必要不可欠なものになりましたが、「実は、世界のなかで29ヵ国しか十分なブロードバンド環境が整っておらず、30億人の人々がインターネットにアクセスできない、アクセスしにくい状況にある」と現状を説明。
そこにはDigital Divide(情報格差)があるとされ、そうした情報格差を解消するためにも、「インターネットの経済性を再定義する必要があり、新しいネットワークテクノロジーの開発、システム全体の設計思想の変革に着手しています」と話します。
また、日本に関しても、企業のDXはもとより、「社会全体のデジタル化において遅れを取っていることが露呈してしまった」と指摘。現に「世界デジタル競争力ランキング2022」では、日本は63ヵ国中29位と過去最低の順位となったことに触れ、「日本でもデジタル化は加速していますが、世界はもっと速いスピードでデジタル変革が進んでいる」と危機感を募らせます。
その一方で「日本にとっても、コロナというピンチをぜひチャンスに変えて、再度、世界を引き続きリードしていく国にする最後のチャンスだと考えています」と強調します。
さらに、現在求められているSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の取り組みに関しては、シスコは2040年までに“ネットゼロ(温室効果ガス実質排出量ゼロ)”を公約しており、「これは、日本をはじめとする多くの国が目標として定める2050年を、10年前倒しをして達成するものです」と中川さん。
すでに米国やヨーロッパ諸国では、再生可能エネルギーからの電力使用は100%を達成しており、グローバルでも85%に達しているほか、循環型経済への取り組みとして、回収製品の99.9%以上のリユースを達成し、廃棄率は0.1%未満に抑えています。
最後に、シスコの今後の展望について伺うと、「個別のソリューションを一つひとつご提供するだけでなく、すべてのITポートフォリオを駆使して、ネットワーク自体をプラットフォームとしてご提供していくことを戦略としています。例えば、ハイブリッドワークを実現するためのプラットフォーム、企業全体のセキュリティを担保するプラットフォーム、クラウドからデバイスまですべてを可視化するプラットフォームなどをご提供し、パートナー各社とのエコシステムを構築することによって、この戦略を実現していきます」と語っていました。
次回5月27日(土)の放送も、引き続き中川いち朗さんをゲストに迎えてお届けします。中川さんの仕事の流儀など、貴重な話が聞けるかも!?
----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2023年5月28日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒
詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/