マイナカードめぐるトラブル続出…相次ぐ問題の原因は? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。5月17日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「マイナンバーカードをめぐるトラブル…相次ぐ問題の原因は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



マイナンバーカードと一体化した健康保険証「マイナ保険証」に、誤って別人の情報が紐づけされたケースが2021年10月~2022年11月末までに、全国でおよそ7,300件あったことがわかりました。

マイナンバーカードをめぐっては、他にも「公金受取口座に別人の口座を誤って登録」「マイナポイントを誤って別人に付与」「コンビニの証明書交付サービスで別人の住民票や戸籍謄本の写しが発行される」「登録を抹消した古い印鑑登録証明書が発行される」などのトラブルが全国で相次いでいます。

◆マイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブル

吉田:塚越さん、まずはマイナ保険証に別人の情報が紐付けられていた問題の原因について、わかっていることを教えてください。

塚越:健康保険組合などの医療保険の運営者が、加入者の保険証とマイナンバーカードを連携させる際に、入力ミスしたことが原因です。河野太郎デジタル大臣も、記者会見で人為的なミスと述べています。

詳しく説明すると、まずマイナンバーカードと保険証を一体化させる作業は、大企業などの従業員が加入する「健康保険組合」や、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ(全国健康保険協会)」、その他公務員や自営業者が加入する医療保険の運営の職員などがおこないます。

厚生労働省によると、その際に職員が申告したマイナンバーと異なる数字を間違って入力してしまいました。また、本人と違う情報が登録されたことがわかった場合は、その都度データを修正しますが、今回発覚したケースでは、修正前に名前や生年月日、医療費や処方された薬といった情報が閲覧されてしまったということです。

誤った登録は7,300件もあったので、修正前にもっと閲覧されていた可能性もありました。また、今回判明したケースはすべて情報修正されたとのことですが、もしかしたら、まだ誤ったままのものもありそうです。

◆相次ぐトラブルの原因は?

吉田:マイナンバーカードをめぐっては、コンビニで証明書を取得できるサービスでトラブルが起きています。こちらは、どのようなトラブルなのでしょうか?

塚越:マイナンバーカードを使って、コンビニで住民票の写しなどが受け取れるサービスでトラブルが起こりました。別人の証明書が誤って交付されたケースが、東京・足立区と神奈川県・横浜、川崎、徳島県・徳島の4市区で計14件確認されています(※放送時点)。

河野大臣によると、この問題の原因は「システムの不具合」ということで、調査や再発防止のために、運営会社の「富士通Japan」にシステムの一時停止を要請しました(※その後、不具合がなければ順次再開)。

こうしたシステムは自治体ごとに構築されているのですが、今回のケースは富士通の子会社である富士通Japanが運営しており、全国約200の自治体が使用しています。富士通Japanはお詫びした上で真摯に対応すると述べています。

また、マイナンバーカードを使った印鑑登録証明書のコンビニ交付サービスで、登録を抹消したはずの証明書が誤って交付されるトラブルも発生しています。今回の不具合でも、富士通Japanのシステムが使われているということです。

ユージ:マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることに対して、塚越さんは、どのように受け止めていますか?

塚越:私としては政府の「急ぎすぎ」が原因だと思います。政府はマイナンバーカードを普及させるためにマイナポイントを使って、いわば「ゴリ押し」をしているわけです。昨年6月時点で5,950万件だった申請件数は、今年3月末時点で約9,614万枚と人口の76.3%まで普及したということで、さらに保険証との紐づけも進んでいます。一気に申請が増えて、マイナンバーカードを使ったサービス利用も増えることから、人の負担もシステムの負担も増えました。

さらに人間がカードの番号を調べて手入力するということなので、当然ダブルチェックなどの確認作業が必要になります。一気に申請が増えたのでミスも増えるのかな、というところです。

政府は、来年の秋には現行の健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一本化する方針があります。自治体からするとやることが多くなるので、それに比例して、問題が出てくるのではないか? と考えられます。

本来であれば、そうした問題を解決するのがマイナンバーカードシステムやITなのですが、「ITの自動化」というものができていません。システムが大変なことは理解できますが、ここまでゴリ押ししてこういう結果になると、ますます「政府への信頼」が揺らいでいきます。1回信頼を失ってしまうとなかなか回復は厳しいので、なし崩し的にシステムを動かすのではなくて、今のうちに力を入れて対応すべき問題です。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ


<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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