青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。6月4日(日)の放送では、公正取引委員会 事務総局 経済取引局 取引部 企業取引課長の守山宏道(もりやま・ひろみち)さんに、「私たちの利益を守るために! 目指せ適正な価格転嫁」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、守山宏道さん、足立梨花
◆公正取引委員会の役目
公正取引委員会は、独占禁止法を運用するために設置された行政機関で、独占禁止法に違反する行為を未然に防止し、かつ素早く発見するため、市場や経済の動き、事業者の活動などを常に監視しています。そして、違反行為を発見した場合には、厳しく取り締まるとともに、その違反内容に応じた措置がとられます。
独占禁止法について、守山さんは「私たちの経済が民主的で健全に発達すること、そして、消費者の利益を確保することを目的に、自由経済社会において企業が守らなければならないルールを定めた、公正かつ自由な競争を促進する法律です」と解説。さらに、独占禁止法を補うための「下請法」という法律もあり、「公正取引委員会は、主にこの2つの法律を運用しています」と補足します。
◆“優越的地位の濫用”の禁止
“適正な価格転嫁”の実現に向けて、いま私たちが知っておくべきルールとして守山さんが挙げたのは「“優越的地位の濫用”の禁止」です。このルールについて、「取引上、優越した地位にある事業者が、取引先に対して不当に不利益を与える行為をしてはいけないというものです」と説明。
例えば、取引上、その地位を利用して、一方的に著しく低い対価で取引を要請することを禁止しています。また、下請法でも、発注する物品やサービスに通常支払われる対価に比べて、著しく低い下請代金を不当に定めることを“買いたたき”として下請法違反になります。
また、公正取引委員会では、日ごろから中小事業者などへの不当なしわ寄せを防止するための取り組みをおこなっているなかで、「近年、労務費、原材料価格、エネルギー費などのコストの急激な上昇などにより、買いたたきなどの不当なしわ寄せが中小事業者に起こりやすい状況にあります」と案じます。
そのため、コスト上昇分の取引価格への反映の必要性について、明示的に協議することなく、従来通りに取引価格の据え置きなどをおこなうと、独占禁止法上の“優越的地位の濫用”や下請法上の“買いたたき”の要件の1つに該当する恐れがあることを明確化しました。
つまり、「取引価格を据え置くこと」も、場合によっては問題になる可能性があるということです。
物品を作るコストが上がれば取引価格も上がるのは当然のことですが、受注者が発注元に「取引価格を上げたい」とは言い出しづらいもの。しかし、それでは受注者である下請事業者にしわ寄せが生じてしまうので、そうならないように問題となる恐れのある行為を明確に示したというのが、その背景にはあります。
また、受注者側が「コストが上がった分、取引価格を引き上げたい」と求めたにもかかわらず、それに応じない理由を書面や電子メールなどで回答することなく、従来通りに取引価格を据え置くことも、ルールに違反する恐れがあることも明確化しています。
◆価格転嫁のための積極的な協議を
昨年、公正取引委員会は“優越的地位の濫用”に関する緊急調査を実施。受注者約8万社、発注者約3万社の計約11万社に対する書面調査や、一部では書面調査などを踏まえた立ち入り調査もおこなわれました。
その結果、明示的に協議することなく従来通りに取引価格を据え置くことや、取引価格引上げの要請があったにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面などで回答することなく、従来通りに取引価格を据え置く行為が、4,030社もの事業者で認められたと守山さん。
このため、公正取引委員会では、この4,030社に対して具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付したそうです。
さらに、守山さんによると、適正な価格転嫁の実現に向けて、6月には再び“優越的地位の濫用”に関するさらなる調査を昨年に上回る規模で実施するそうで、「書面が届いた事業者は、ご協力をお願いします。また、公正取引委員会のWebサイトにも調査票を掲載しますので、書面が届いていない事業者の方も、インターネットを利用してご報告いただけます。ぜひ、公正取引委員会のWebサイトをご確認ください。公正取引委員会では、これからも公正かつ自由な競争を促進するためにさまざまな活動をおこないます」と力を込めていました。
今回の話に、足立は、「“(公正取引委員会が定めた)発注者側が取引価格を据え置くならば、その理由を文字化して回答しなければならない”というのは、いろいろな人を守ってくれる部分だなと思いました。(話し合いや協議の場を設けることが)大事なんだなと、勉強になりました」と感想を述べます。
青木は、受注者からの要請の有無に関わらず、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくことが発注者に求められている点に着目。「発注者側から『(取引)価格を上げる必要はありませんか?』と提案するべきということ。これまであまりなかったことですよね」と投げかけると、足立が「これを機に、受注者側も『コストがかかっているので、少し値上げしてください』と言える勇気というか、当たり前にお互いに言い出せるような世界になってほしいですね」と望んでいました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2023年6月12日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/