モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。5月25日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「麻しん(はしか)の基礎知識」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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日本国内で「麻しん(はしか)」の感染者が増加中です。コロナ禍の影響で海外への渡航者が減ったため、近年の感染者数は非常に少なく推移していたものの、渡航制限がほぼなくなった今は「海外からウイルスが持ち込まれ、感染者が増えるのではないか?」と懸念されています。
◆「麻しん(はしか)」の感染者が増加中
吉田:「そもそも『麻しん(はしか)』の症状は?」「予防するためにはどんな方法があるのか?」などの基礎知識を塚越さんに解説していただきます。
ユージ:まず、どうして「麻しん」と「はしか」と呼び名が異なるのですか?
塚越:「麻しん」は一般的には「はしか」と呼ばれています。「はしか」は江戸時代頃には使われていた言葉で、かゆいことを「はしかい」と呼ぶところから由来しています。昔から存在していた病だと考えられます。
現在の日本の感染症法では「麻しん」と呼び、新型コロナウイルスと同じ5類に分類されている感染症です。ちなみに、「麻しん」は中国由来の言葉で、発疹の形などが麻の実に似ているところからつけられています。
ユージ:今、感染者が増えていますが、具体的にどのくらい増えているのですか?
塚越:日本では2007~2008年に10代~20代を中心に流行し、2008年には感染者が1万1,013人に増えました。その後、2009年にワクチン接種の機会を設けたことで患者数は激減して、2015年には35人まで減りました。
その後、2019年に700件を超える感染がありつつも、2020年からはコロナ禍の影響で感染者数も激減したのですが、海外との往来が増えたことで、海外から帰国した人などを中心に感染が確認されはじめています。
東京都内でも2020年以来、3年ぶりに感染が確認されました。一昨年と去年の感染者数が6人ですが、今年5月の時点で7人となります。数としては少ないですが、注意が必要です。世界全体だと2019年は約54万人が感染し、その後コロナ禍の影響もあり2021年は約6万人と感染者は減ってはいますが、世界全体でも再び増えると考えられます。
◆感染したら症状は? 症状が出たらどうすればいい?
吉田:あらためて「麻しん(はしか)」とは、どんな病気なのでしょうか? 感染すると、どんな症状が現れるのか? 感染経路なども含めて、教えてください。
塚越:「麻しん(はしか)」は感染経路が空気感染、飛沫感染、接触感染と、人から人へ感染します。非常に感染力が強く、免疫を持たない人が「麻しん(はしか)」の患者に接すると、9割を超える人が発症すると言われています。
ただし、一度感染して発症すると生涯免疫が持続すると言われています。特に、感染者の呼吸器から排出されたウイルスは、2時間は存在するので空間感染する可能性があります。
新型コロナで有名になった「基本再生産数」(=感染症に感染した1人の感染者が、誰も免疫を持っていない集団に加わったとき、次に平均で何人にうつすかを表した指数)だと、インフルエンザが1~2人、コロナが2~3人に比べて、「麻しん(はしか)」は12~18人と非常に感染力が高いです。
感染後、10日ほど経つと2~3日熱が続き、咳や鼻水が出ます。その後39℃以上の高熱と発疹が現れます。また肺炎や中耳炎を合併しやすく、先進国でも1,000人に1人が亡くなる病気です。合併症が出なければ、7~10日後くらいで回復します。
ユージ:もしも、似たような症状が出たらどうしたらいいのでしょうか?
塚越:発疹・発熱といった「麻しん(はしか)」のような症状がある場合は、医療機関に電話などで伝えてください。医療機関に移動する際はマスクをし、できれば公共交通機関の利用を避けることなどが望ましく、医療機関の指示に従うことが大事です。
◆有効なのは「ワクチン接種」 子どもの頃の接種歴の確認を
ユージ:予防法はあるのでしょうか?
塚越:手洗いやマスクでの予防にも限界がありますので、最も有効な予防法は「麻しん(はしか)」の予防接種です。ワクチンを接種することで、95%の人がウイルスに対する免疫を獲得できます。接種は2回です。実際、2006年度からは1歳児と小学校入学前の子どもの2回接種制度がはじまり、2008~2012年度に限り、中学1年生と高校3年生に2回のワクチンが定期接種として導入されています。
「麻しん(はしか)」には特効薬はなく、特に幼い子どもは合併症で亡くなるケースもあるので、注意が必要です。過去の病気として侮ってはいけません。
吉田:妊娠されている方は、心配ですよね?
塚越:妊婦の方はワクチン接種ができないので、過去に接種されていない方は注意が必要です。妊婦の方が感染すると、合併症のリスクが高く、流産や早産の可能性も指摘されています。国内では、まだ感染者の報告は少ないですが、感染力が強いので侮れません。「自分がワクチン接種をしたか?」「子どもの頃に発症したか?」を確認してほしいです。
子どもの頃に接種した人が多いので、母子手帳で確認ができます。母子手帳を確認できない・接種したかどうか分からない人は、抗体があるかどうかを病院で調べることもできます。さまざまな感染症に関する情報を、これを機会に見直していただければいいかな、と思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/