青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。6月11日(日)の放送では、国税庁 課税部軽減税率・インボイス制度対応室 課長補佐の小倉啓太郎(おぐら・けいたろう)さんに、“インボイス制度”をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、小倉啓太郎さん、足立梨花
◆10月からスタートする「インボイス制度」
私たちは日ごろから消費者として商品を買ったり、サービスの提供を受けたりすると、10%もしくは8%の消費税を払っています。こうした消費税は、消費者が負担して事業者が申告と納付をしています。つまり、私たちが支払った税金は、事業者を通じて国に納められています。
一方、小売店である洋服屋も、洋服をメーカーから仕入れる際にメーカーに消費税を支払います。そして、そのメーカーは洋服屋に消費税を含めて販売しているため、メーカーも消費税を国に納めることになります。
その際、洋服屋が消費者に販売した際に受け取った消費税額は、洋服屋がメーカーから仕入れた際に払った消費税額も含まれていることになるため、このまま洋服屋が消費税額を国に納めると、2重に国に消費税が納付されてしまいます。このため、洋服屋が国に納める消費税額は、洋服屋がメーカーに支払った消費税額を差し引く仕組みになっています。
しかし、軽減税率制度の導入によって、8%、10%と税率が2つあるなかで、消費税を正しく申告するためには、売手と買手で税率や消費税額を正しく認識するための仕組みが必要となります。そのために、今年の10月からスタートするのが“インボイス制度”です。
例えば、消費者が洋服を購入する際、支払った消費税を洋服屋が国に納めるという流れのなかで、洋服屋は、メーカーからの仕入れの際に支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」と言います。
この仕入税額控除の適用を受けるためには、取引の内容を記載した帳簿と取引先から受け取った請求書の保存が必要となります。小倉さんは「この請求書に記載しなければならない内容について改正があったというのが今回のポイント」と言います。
正確には適格請求書のことを指すインボイス。では、今までの請求書とどこが違うかというと、以下の3つの内容が追加されるイメージです。
1.インボイス発行事業者であることを示す登録番号
2.税率ごとに区分して合計した金額と適用税率
3.税率ごとに区分して合計した消費税額
そして10月1日(日)からは“インボイスをもらえなければ仕入税額控除ができない”ということになります。ただし、インボイスを発行するためには、まず、インボイス発行事業者として登録する必要がありますが、その前に1つ気を付けなければいけないポイントがあります。それは、インボイス発行事業者になると“消費税の申告と納付が必要になる”という点です。
2年前の消費税の課税対象となる売上が1,000万円以下であれば、申告納税義務が免除されます。このような事業者を「免税事業者」と呼ぶ一方で、消費税の申告納税義務がある事業者のことを「課税事業者」と言います。インボイス発行事業者になった方は、免税事業者であっても課税事業者となり、消費税の申告納税義務が免除されません。
また、フリーランスの方や小規模な商店を経営されている方のなかには、免税事業者の方が少なくないため、登録するかどうか悩まれる方もいることが予想されますが、小倉さんは「登録は任意となっていますので、絶対に登録をしなければならないというわけではありません」と補足します。
◆負担を軽減するための補助金制度も
事業者の方は、自身の事業の状況に応じて登録するかどうか判断していただく必要があるものの、制度が円滑にスタートできるように、事業者の方の事務負担や税負担の軽減に関するさまざまな措置が設けられています。
インボイスの保存がないと仕入税額控除ができなくなりますが、「制度開始の10月からいきなり全額が控除できなくなるわけではありません」と小倉さん。
例えば、インボイス発行事業者ではない方からの仕入れで、インボイスの発行が受けられない場合でも、制度開始後最初の3年間は80%、その後の3年間は50%の消費税額を控除することができます。また、制度開始後6年間は、インボイスがなくても、ある程度の控除ができるので、免税事業者は、そのあいだに登録するかどうかを周りの状況を見ながら判断することもできます。
また、登録すると申告のための計算などが大変なのでは? と思う方も少なくありませんが、そうした負担を軽減するための補助金制度などもあります。例えば、会計ソフトや決済ソフトのほか、それらのソフトと一体となって使われるレジや券売機といったハードウェアの導入費用なども支援するIT導入補助金制度があったり、インボイス制度開始を機に免税事業者から課税事業者になった方を対象として、新たに事務負担や税負担を軽減するための経過措置が設けられました。
なお、インボイス発行事業者の登録を受けるためには申請が必要で「登録の申請は書面でもできますが、ぜひ簡単かつ便利な『e-Tax』をご利用ください。個人事業者の方は、スマホから申請できますので、非常に使い勝手がいいと思います」と小倉さん。今年の9月30日(土)までに申請すれば、制度開始の10月1日(日)から登録を受けることができます。
ただし、登録通知が届くまでには一定の期間がかかるため、登録を受けると決めた方は、お早めの申請をおすすめします。なお、制度開始後も登録を受けることができます。
最後に、「詳しくは国税庁や中小企業庁のWebサイトをご覧ください。また、国税庁の公式サイト内に
「特集 インボイス制度」というページがあり、そこでは制度に関する動画やQ&Aなどのほか、一般的なご質問を受け付けるインボイスコールセンターの電話番号(0120-205-553 ※土日祝除く9:00~17:00)もご案内していますので、気軽にご活用いただければと思います」と呼びかけました。
今回“インボイス=適格請求書”であることを初めて知ったという足立は、「今までの請求書と違う部分を説明していただいたので、もう一度(インボイス制度特設サイトなどを)詳しく見てみたい」とコメント。
一方、青木が印象に残ったのは、負担を軽減するための補助金制度などがあること。ハードウェアの導入費用などを支援するために、IT導入補助金制度があることに触れつつ、「こういったことも知らせていくことが大事」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/