モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月15日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「プレミアムフライデー復活の背景」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
2017年に経済省と経団連が提唱した「プレミアムフライデー」。毎月最終金曜日を「プレミアムフライデー」と位置づけ、仕事を15時に終えることを推奨。「この日は仕事を早く終わらせてプライベートを充実させよう」という名目のもと、個人消費を喚起する目的で提唱されました。
この「プレミアムフライデー」に合わせて、飲食店・小売店はセールやキャンペーンなどをおこなってきましたが、いつの間にかフェードアウト。しかし、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」になったことをきっかけに、全国の飲食店・小売店で「プレミアムフライデー」が復活の兆しを見せています。
◆「早めに仕事を終えよう」と提唱したものの…
吉田:「プレミアムフライデーで、どんなサービスが受けられるの?」と、すでに忘れている方もいるかもしれません。そこで「プレミアムフライデー」の基礎知識から、復活に至った背景について塚越さんに解説していただきます。
ユージ:そもそも「プレミアムフライデー」とは、何のことでしょうか?
塚越:2017年に経産省と経団連が共同で始めたキャンペーンで、個人消費を後押しするのが目的です。月末の金曜日は午後3時をめどに仕事を終え、買い物や旅行などで“豊かな週末”を過ごそうというものです。仕事を早めに終えることでプライベートの時間を確保すれば、結果的に消費が伸びることを目的にしています。
また、働き方改革も目的にしています。実際のところ午後3時の退社は難しいのですが、「この日はノー残業デーとする」など、早く退社することを目指したものです。飲食店や小売店もこの流れに連動して、キャンペーンをおこなうところもあります。
吉田:実際に効果はあったのですか?
塚越:導入直後の2017年のデータでは、そもそも制度を導入している企業も数%レベルだったのですが、積極的に制度を導入した一部の企業では、前の週と比べて20%ほど上がったデータもあるそうです。
経産省によれば、認知度は導入から1年経った時点で約9割と高く、早く帰宅する早期退社率も10%ほど。他の日への振替等を含めると20%と、消費喚起だけでなく、働き方改革としても一定の効果があったと経産省は資料で述べています。
一方で、金曜の消費が増えても、別の日の消費がそのぶん下がっており、トータルでは変わっていないという指摘もあります。NHKの記事によれば、プレミアムフライデーが始まった2017年当初、経産省は広告会社に1億8,200万円を出して広報やPR戦略の立案と実施などを委託しました。さまざまなお金もかけているなかで、どれほどの効果があったのかといえば、「微妙だなあ」と思う部分があります。
ユージ:なぜ、いつの間にかフェードアウトしてしまったのでしょうか?
塚越:認知度自体はかなり高かったのですが、実際に導入した企業は多くなかったことです。そして、なによりの問題がコロナ禍です。プレミアムフライデーどころではなくなったことで、経産省のプレミアムフライデーの告知ページも更新がストップしてしまいました。
◆なぜ今になって復活?
ユージ:「プレミアムフライデー」はなぜ、今になって復活することになったのでしょうか?
塚越:やはりコロナが5類に移行したことが大きく、売上アップに期待しようということです。経産省のサイトでは「普段は行けない2.5日旅へ」「『アフター3エンタメ』を楽しもう」といった言葉が出ています。
また、当初からプレミアムフライデーで売上を伸ばした飲食店「串カツ田中」は、プレミアムフライデーに料金を変えず、串かつの量を倍にするキャンペーンを復活させています。
吉田:復活させるのも良いですが、アフターコロナの時代に合った新しいキャンペーンもあればいいなと思います。
塚越:個人のライフスタイルに即した「プレミアム」を提案する時代だと思うのですが、そんななかで一律で「金曜に早く仕事を終えよう」という提案自体が古いですね。そもそも、コロナ禍を経た時代にもう一度このキャンペーンをしようと思うこと自体、はっきり言ってナンセンスだと思います。
プレミアムフライデー制度を開始して1年が経過した2018年時点で、プレミアムフライデーに早く帰宅したという人は平均11.2%と少なく、大企業だと16.4%、中小零細企業は10.2%になります。余裕のある人だけが早く帰れるという結果が出ています。
コロナ禍によって経済的に厳しい方もいますし、在宅ワークが普及して、まさに働き方が多様になりました。金曜以外でも、いろいろな時間に休める社会を後押しするべきだと思います。古いタイプの飲み会キャンペーンが増えてしまう可能性もあるので、さまざまな雇用形態で働いている人のためになるのか? 令和の時代にどうなんだろう? と思っています。だったら、金曜日は在宅勤務にして、自宅の用事を済ませるほうがいいのではないかと個人的に思います。
<今日のユジコメ>
コロナ禍によって働き方は大きく変わりましたし、「みんなで金曜日に早上がりして飲みに行くぞ」という方は少なくなったように思います。さらに、金曜日だけに制限してしまうと働き方が多様な人たちが恩恵を受けられず、寂しさを感じると思います。そういう意味では、例えば月末の週を“プレミアムウィーク”にしてみるなど少し変化を加えて、なおかつ、幅広い業種の人が楽しめる制度にしてみても良いのではないでしょうか。
国を挙げて盛り上げたいのであれば、飲食店や小売店へ何か還元できる制度や、会社を後押しできるようなバックアップ体制が整備されればもっと盛り上がると思いました。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/