松木安太郎「今だったら絶対に断っています」“Jリーグ元年”に35歳の若さで監督になった経緯を語る

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。6月17日(土)の放送は、前回に引き続き、サッカー解説者の松木安太郎(まつき・やすたろう)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)松木安太郎さん、藤木直人、高見侑里


1957年生まれ、東京都出身の松木安太郎さんは、小学4年生のころに現在の東京ヴェルディの母体である読売クラブに入団。16歳でトップチームに昇格し、読売クラブでは1983年の日本リーグ初優勝をはじめ、数々のタイトルを獲得。

日本代表としても、ワールドカップメキシコ大会の予選やアジア競技大会、ソウルオリンピック予選などに出場し、1990年に現役を引退。その後、読売サッカークラブのユースチームの監督、トップチームのヘッドコーチなどを経て、Jリーグ開幕元年の1993年に35歳でヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)の監督に就任。チームを初代Jリーグチャンピオンに導いています。

◆監督になることを躊躇した理由とは?

藤木:松木さんは、Jリーグ元年の1993年に初めて監督になったんですよね?

松木:当時のヴェルディ川崎もそうなのですが、読売クラブの頃から、ちょうど僕の世代が(サッカー界やチームの)節目節目でキャプテンになったり、初めて優勝できたり……そういう巡り合わせが多かったんです。そういう意味では、そこ(Jリーグ開幕)でも“チャンスが来た!”という感じはありましたね。

藤木:ヴェルディ川崎の監督になられたときが35歳。今のJリーグを見ても、35歳で監督になる方は少ないんじゃないですか?

松木:そうなんですよ、やりたくないですよね(笑)。今だったら、絶対に断っていますよ。当時も、10人に聞いて10人が「やめたほうがいい」と言っていました。

藤木:松木さんが現役時代のときは、監督と選手の関係性はどのような感じでしたか?

松木:それまでは外国人の監督が多かったので、良い付き合い方をしていましたね。また、監督になる前はコーチをしていましたから、外国人監督と選手のあいだに入る、といったこともしていました。

藤木:そのやり方を踏襲して(監督として)“やってみようかな”という感じだったのですか?

松木:“やってみようかな”なんて簡単に決断できることじゃなかったです。相当悩みましたし、サッカー人生としては、選手になり、コーチになり、監督になったら、その先はもう“(サッカーに携わるのを)やめるときだな”と考えていましたから。

だから、“(サッカー人生を)終えなければいけない”というタイミングを迎えるのが嫌だったことも、(監督になることを躊躇した原因の1つに)あるんですよね。

藤木:“(サッカー人生の)最終ステージが35歳で来るのか”という感じだったんですね。

松木:そうなんです。“もしうまくいかなかったら辞めなきゃいけないのか”という葛藤もありました。それに、(ヴェルディ川崎は)常勝チームでしたから、結果を出さなければ監督として低評価になってしまうので、そのプレッシャーもありました。

◆監督として優勝、そのときの心境は?

藤木:Jリーグができるということで、武田(修宏)さん、柱谷(哲二)さんなどメンバーも増えましたね。

松木:彼らは本当にいい選手ですから。監督をやって思いましたが、本当に選手に助けられたところがいっぱいありますし、また、当時のヴェルディのフロント(クラブを運営するスタッフ)は読売グループですから、(読売)ジャイアンツでの経験値を持った方々も、フロントに何人か入っていたんです。そういった人たちにもずいぶん助けられましたから、本当に良かったです。

藤木:Jリーグが開幕したら、ものすごく熱狂的に迎えられ、そのなかで年間王者にもなりました。

松木:もうホッとしました! 選手というのは、優勝すると、その次のシーズンの優勝が決まるまでは“優勝者”ですから(笑)。でも監督は“(優勝して)良かったな”と1~2日ほど余韻に浸ったら、もう次の仕事に移らなきゃならない。そういうつらさがありましたよね。ただこれは、どのスポーツでも同じだと思いますけど。

藤木:監督時代に、自分なりのカラーというか“こういうサッカーにしてみよう”と思われたことはありますか?

松木:最初に(Jリーグの)趣旨として言われていたのは、「日本の代表チームを強くしたい。強くなっていくことが大事だ」ということでした。それを考えると「日本の選手のためのリーグであるべき」ということは、1つ考え方として持っていました。

ですから、当時のカズ(三浦知良さん)や武田などの日本の選手たちが良いところでゴールをして、守備は必死に守ってくれる外国人選手が中心、そういうチーム作りをしたかった。

つまり僕は“日本の選手が主食になれば良い。そして、料理を作るスパイスが外国人選手であってほしい”というのが、当時のチーム作りとしてありました。

次回6月24日(土)の放送は、東京パラリンピック陸上男子100メートルのファイナリスト!トヨタ自動車所属の石田駆(いしだ・かける)選手をゲストに迎えてお届けします。

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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

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