「銭湯がお休みの日の1日で描き上げないといけない」銭湯絵師・田中みずき 絵描きに必要なのはとにかく“スピード!”

放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。6月18日(日)の放送は、銭湯ペンキ絵師の田中みずきさんをゲストに迎えてお届けしました。


(左から)小山薫堂、田中みずきさん、宇賀なつみ



◆現在、日本に3人しかいない“銭湯絵師”

田中さんは、現在、日本に3人しかいないと言われている“銭湯絵師”の1人です。基本的に赤、青、黄の3原色と白の計4色のペンキで描いていくため、銭湯ペンキ絵を描く際には「色を作って塗るというところから始まります」と説明します。

デザインについては、「描く前に銭湯の店主の方とご相談をして、イメージ図を作って選んでいただいたり、部分的に変更したりという形で絵を描いていきます」と田中さん。本人いわく、これまで月に3軒ぐらいのペースで約10年間描き続けており、「正確な数はわからないんですけど、おそらく300から400ぐらい描いています」と話します。

そもそも、田中さんが銭湯ペンキ絵師になろうと思ったきっかけは、大学生のとき。「美術史で美術の見方や歴史を勉強していたんですけど、卒業論文で何を書こうかと迷っていて、当時大好きな現代美術の作家さんのお名前を紙に書き出していたところ、何人かのアーティストの方が銭湯をモチーフにした作品を作っていて……」と振り返ります。

そして“制作の現場を見てみたい”と思い立った田中さんは、後に自身の師匠となる中島盛夫(なかじま・もりお)さんの元を尋ねることに。そのときに、「(中島さんは)踊るように一瞬一瞬で絵が変わるようにして描き進めていて、それがすごく面白くて。日常生活でこんなにみんなを楽しませる絵があるんだとビックリして、そこから一気に惹かれていきました」と師匠との出会いを回顧。

卒業論文を仕上げるために、何度か中島さんの制作現場に足を運んでいた田中さんは、「絵の描き方を(中島さんに)習うことはできないでしょうか?」と弟子入りを志願。21歳から銭湯ペンキ絵を学び始めて、独り立ちできるまで約9年かかり、40歳となった今でも最初に描かせてもらったときのことは「はっきりと覚えています」と田中さん。

それはかつて品川区豊町にあった「豊湯(ゆたかゆ)」という銭湯で、「それまで弟子入りをしてから、ちょっとずつ描かせていただいてはいたのですが、全部を自分1人でやるのが“こんなに大変なのか”とビックリしたのを覚えています」と懐かしそうに振り返ります。

田中さんによると、師匠の中島さんは壁面1つを描き切るのに費やしていた時間は大体2~3時間。

作品を描く際のスピードが求められるのも銭湯ペンキ絵ならでは。「(ペンキが)乾いてしまうので、グラデーションをつけるために素早く描くというのと、銭湯がお休みの日の1日で描き上げないといけないので、とにかく効率良く描いていきます」とその理由について言及。

そんな知られざる銭湯ペンキ絵の世界に、宇賀は「へぇ~!」と驚きの声を上げ、感心しきり。

ちなみに、田中さんが独り立ちをして初めて1人だけで描いた「豊湯」のときは、朝8時ぐらいからスタートして夜中の12時ぐらいまでかかったといいます。

そんな田中さんにとって、これからの夢は「銭湯のペンキ絵を描き続けていくこと」。とはいえ、銭湯の数の減少が続いている今、小山が「どうしたら銭湯を守れるんですかね」と尋ねると、「昭和の頃ですと、お家にお風呂がなくて銭湯に行かれる方が多かったと思いますが、だんだんお家にお風呂があるのが当たり前になってきているので、若い層の方には、何かイベントのような形で、とにかく楽しんでいただくためのお風呂というものが求められているのかなと思います」と答えます。

さらには、「一方で、結構な高齢化で、お年を召されている方も増えてきていて。そういう方は、いろいろな方と銭湯でお話をするのを楽しんでいらっしゃる方が多いと聞いているので、幅広い層の方に銭湯をまずは一度楽しんでいただけると、そこから銭湯に通い始める方が増えていくのではと願っています」と話していました。

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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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