青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。6月25日(日)の放送では、厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課長の西嶋康浩(にしじま・やすひろ)さんに、「最新花粉症対策」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、西嶋康浩さん、足立梨花
◆約4割の人が「花粉症」!?
花粉症とは、木や雑草などの花粉に対して人間の体が起こすアレルギー疾患のことで、主な症状は、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎と目のかゆみなどのアレルギー性結膜炎です。
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の「鼻アレルギー診療ガイドライン」(2020年版)によると、学会が2019年に約2万人を対象に実施したアンケート調査で、何かしらの花粉症が「ある」と答えた人の割合は42.5%、そのなかで、日本で最も多い「スギ花粉症」の割合は38.8%で、これらの数字は10年間で10ポイント以上増加しているそうです。
この10年で花粉症に悩んでいる人が増えている理由について、西嶋さんは「花粉症の原因としては『花粉の飛散量が増えたこと』『食生活が欧米化したこと』『腸内細菌の変化』『感染症の減少』『喫煙』『黄砂』など、実にさまざまです」と解説。1人の患者に複数の要因が重なってしまうため、どれが一番影響しているのか評価するのは難しいといいます。
また「スギ花粉症がある」と答えた人の割合を都道府県別で調べてみたところ、最も高かったのは65%の山梨県で、栃木県、埼玉県、京都府、長野県と続きます。
もはや“国民病”と言っても過言ではない現状を受け、今年4月に政府が花粉症に関する関係閣僚会議を開き、「花粉症は日本の社会問題」として今後10年先を視野に入れた対策を立てていくこととしました。その3本柱として、
・スギの伐採の加速、花粉の少ない苗木の生産拡大などを進める「発生源対策」
・スーパーコンピュータやAI(人工知能)を活用した予報内容の充実やスギ花粉の飛散を防止する薬剤の実用化などを進める「飛散対策」
・治療法の開発・普及などを進める「発症・曝露(ばくろ)対策」
上記を掲げ、5月に農林水産省、環境省、国土交通省、厚生労働省などが対策を取りまとめたところです。
◆“花粉症の最新の治療法”について
花粉症の治療は、基本的には花粉以外の原因によるアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎に対する治療と同じです。例えば、スギの花粉症の場合、治療には“対症療法”“アレルゲン免疫療法”、重症の方なら“手術療法”の3つがあります。また、花粉そのものを浴びないようにすることも重要です。
西嶋さんいわく、マスクの着用や衣服に気を配るだけでも花粉の影響を大きく減らすことはできるものの、それでも症状が出てしまうときもあるそう。そのような場合には「適切なタイミングで“対症療法”“アレルゲン免疫療法”をおこなうことが大事」と声を大にします。
対症療法とは、病気の原因を取り除くのではなく、あらわれた症状を抑えるための治療法のこと。医療機関で花粉症に対して処方される代表的な薬といえば、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や鼻の炎症を抑えるステロイドの点鼻薬などがありますが、これらは薬の効果が切れると症状が同じように出てくることが欠点です。
また、抗ヒスタミン薬を内服すると、倦怠感や眠気といった副作用が出るケースもあるため、車を運転するときなどは服用しにくいというデメリットもあります。
一方「アレルゲン免疫療法」は、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少しずつ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。日本では現在、スギ花粉症に対してこの免疫療法が実用化されており、アレルゲンを注射で投与する「皮下免疫療法」と、舌の下に投与する「舌下免疫療法」の2つがあります。
皮下免疫療法は1960年代からおこなわれてきたのに対し、2014年頃から始まり、利用者が増えているのが舌下免疫療法です。当初は液体を舌の下に数滴たらす方法でしたが、2018年に登場した錠剤タイプで治療がおこなわれるようになったことから、以前よりも利用しやすくなっています。
ただし、錠剤タイプの場合は1日1錠を3年以上、毎日服用し続けることが必要で、さらに内服前後2時間は、激しい運動や入浴、飲酒ができないなどの制限もあります。
「対症療法が効かなかった患者さんや、症状が強かった患者さんにおいても一定の効果が認められているようなので、舌下免疫療法を終了しても効果が持続すると言われています」と西嶋さん。
さらに、舌下免疫療法の良い点は、うまく薬が飲める子どもなら5歳から利用できる点です。舌の下に錠剤を入れて1分間キープする必要がありますが、親に見てもらいながら慣れていけば、子どもでも問題なく服用できるそうです。ただし、「皮下免疫療法にしても、舌下免疫療法にしても、人によって合う・合わないがありますから、治療する際には医師とよく相談してください」と注意を促します。
なお、厚生労働省では、
Webサイト「アレルギーポータル」を通じて、花粉症治療も含めたアレルギー疾患対策の情報を発信しており、「花粉症に悩まれている方は、ぜひご覧になってください」とアピールしました。
足立は、自身も花粉症に悩まされてきたことから「アレルゲン免疫療法」を知っていたそうですが、「そのなかでも『舌下免疫療法』に錠剤タイプがあるというのがすごく心に残っている」と話します。さらに、錠剤タイプは5歳から利用できるということを知り、「それだけ小さなお子さんでも花粉症になっていることにビックリしました」と感想を口にします。
一方、青木は“38.8%がスギ花粉症”と言う現状に驚いたようで、「私もスギ花粉症に悩まされているので、同じ悩みを抱えている人がそれだけいるということは、その症状の改善や解消を望んでいる人がそれだけいるということを意識したい」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2023年7月3日(月) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒
詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/