モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月22日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「大学入試に加わる新しい科目“情報”」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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◆「情報」が入試科目に
全国の中学・高校で1学期の期末テストシーズンを迎えます。そうしたなか、全国の大学が2025年度入学の学生に向けて入試概要を発表しています。なかでも、2022年4月から高校の科目に加えられた「情報」への扱いが注目されています。教える側の高校、そして受験生はどう備えたらいいのか? そもそもなぜ「情報」という科目が加わるようになったのか、情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
ユージ:まだ来年の入試も終わっていない段階で、なぜ今、2年後の受験概要が発表されているのですか?
塚越:2年後の2025年の入試を受けるのは、現在の高校2年生の方々です。これは文部科学省が定めている「2年前ルール」というものに関係しています。「2年前ルール」とは、大学が入学者選抜のルール、つまり試験のルールを大きく変更する場合は、受験者の準備を考えて、2年前には予告しましょうというものです。
現在のところ、国立大学は98%の大学で2025年の入試科目を公表しています。私立大学も3分の1程度が公表しており、いわゆる有名私立大はおおむね公表している状態です。
ユージ:そもそも「情報」とは、どんなことを学ぶ科目ですか?
塚越:まず、2022年4月から高校では情報科目の「情報Ⅰ」が必修科目になっています。これはICT(情報通信技術)の基礎知識や、いわゆるネットリテラシーのスキル、データ分析やプログラムを動かすためのプログラム言語を学んだりするものです。公開されている情報からグラフを作成したり、場合によってはスマホアプリを作ったりもします。
ユージ:なぜ、新たな教科・受験科目として「情報」が加えられることになったのでしょうか?
塚越:もともと「情報」という教科が必修化されたのは2003年度です。そのときはプログラミングを学ぶ「情報の科学」と、プログラミングは学ばず、情報リテラシーを学ぶ「社会と情報」のいずれかを学ぶものでした。
ただ、ほとんどの人がプログラミングを学ぶ「情報の科学」を選択していませんでした。これを選択した方は2割程度です。2022年度から、プログラミングも含めて学ぶ「情報Ⅰ」が必修となり、さらに専門的なことを学ぶ「情報Ⅱ」が選択科目になりました。
吉田:情報を受験科目に加える大学は、どのような問題を出題する予定ですか?
塚越:共通テストの「情報」問題は、プログラミングの穴埋め問題やデータ分析に関する考え方を問う60分のマークシート方式になる見込みです。2025年から共通テストに情報が加わるのですが、「情報」科目の配点をめぐって、大学ごとに大きな差があるということも問題になっています。
国立大学ではほとんどが必修科目になるので、今の高校2年生は情報科目の受験対策が必要になるのですが、そのままなら全体のなかでの配点は10%程度です。国立大学の約半数は全体の中での配点が10%未満になっています。場合によっては、試験はしますが、合否の参考程度の扱いで配点がゼロや数点と極端に低いところもあります。
逆に情報科目の比重を重くしているところもあります。受験生とっては、目標とする大学の配点をみて情報科目にどれくらい勉強量を割くかを考えるわけですが、現状では情報の比重は多くありません。
高校で学ぶ国語や数学といった科目全体で情報が占める割合は5%程度なので、少なくとも5%程度は共通テストでも配分する必要がある、という声もあります。いずれにしても、今の高校2年生の方々は、情報をチェックする必要があるかな、と思います。
◆10年、20年先を見据えて勉強を
ユージ:教える側の高校と受験生はどう備えるべきでしょうか?
塚越:以前もこの番組で伝えたように、「情報」を教える教員不足が問題になっています。一方でプログラミングなど、社会が大きく変化するなかで、対応しなくてはならないのも事実です。私も大学で教えていますが、人によってリテラシーの開きがあります。「WordもExcelもあまりよく分からない」という方もいれば、得意な方もいるので、そうした意味ではこうした情報の科目でいろいろと勉強していくことが必要なのかな、と思います。あとは、「プログラミングが大事」と言っている方が多いですね。
ユージ:よく聞きます! 幼児教室でもプログラミングを教えるところがあります。
塚越:プログラミングは大事だと思う一方で、生成AI(人工知能)が出てきたことにより、それらがちょっとしたことだったらプログラムを組んでくれるような世の中にもなっています。
ユージ:プログラミングのコードなどを覚えなくても、簡単に作れるようなプログラムが出来上がっているのですね。
塚越:そうなんです。そうなると「どこまで自分でやるか」ということを考えなければいけません。今はキーボードを使わないといけないけれど、スマホネイティブの世の中で「どこまでキーボードを操作できないといけないの?」「10~20年経ったらどうなるか?」など、結構問題があります。そのため10~20年先を見据えて勉強したり、リテラシー全体や世の中を考えたりしてもらえたらいいな、と思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/