大成功で終えた「ツアー・オブ・ジャパン2023」!大会組織委員会委員長・栗村修が振り返る“数々のハイライト”

声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。6月25日(日)の放送は、前回に引き続き、一般財団法人「日本自転車普及協会」の理事であり、 UCI公認の日本最大の国際自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長・栗村修さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)栗村修さん、パーソナリティの野島裕史



◆世界最高峰の選手が涙…その意味とは?

野島:先週に引き続き、この方が来てくれました!

栗村:2023年、フルスペックの「ツアー・オブ・ジャパン」開催。全ステージが最高で感動していたんですが、今日は(前回のエンディングで)物申したいと言われ、ちょっとテンションが下がり気味の栗村修でございます。

野島:よろしくお願いします(笑)。初めてですね、この番組にいらっしゃってテンションが低くなるというのは(笑)。

栗村:主催者にとって“物申す”という言葉は破壊力満点ですが、やはり大会組織委員会委員長として、しっかりと反省点を聞かないといけないということでやってまいりました!

野島:5月21日(日)~28日(日)の8日間に渡って行われた国際自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン2023」が大成功で幕を閉じ、前回は大会の総括的な話を伺いましたが、今回はまず大会結果について、各所の詳しい解説を交えながらお話を伺っていきたいと思います。

最終日の東京ステージを制したのは、チームメイトの完璧なリードアウトを受けたTEAM BRIDGESTONE Cycling(チーム ブリヂストン サイクリング)の窪木一茂選手。素晴らしいスプリントでのフィニッシュでしたね。

栗村:そうですね。窪木選手は美濃ステージで、ルーク・ランパーティ選手に最後に刺され、悔しい思いをしていましたので、その悔しさを晴らす勝利でしたし、やはり「ツアー・オブ・ジャパン」、日本人選手の活躍は我々主催者も望んでいることですから、途中、岡篤志選手も頑張っていましたが、最後に日本人選手が締め括ってくれたのはうれしい瞬間でしたね。

野島:岡選手の活躍も今大会では目立っていましたね。

栗村:最終的に「個人総合時間賞」3位。総合の表彰台に日本人が上がるのは、とても価値のあることだと思います。

野島:その「個人総合時間賞(グリーンジャージ)」は、JCL TEAM UKYO(JCLチーム右京)のネイサン・アール選手でした。これはどんな賞なのか教えてもらえますか?

栗村:「ツアー・オブ・ジャパン」を含め、自転車ロードレースでは、この「個人総合時間賞」が最も名誉のある賞になります。世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」では、個人総合成績1位の選手に与えられる黄色いジャージが“マイヨジョーヌ”と呼ばれ賞賛されていますが、「ツアー・オブ・ジャパン」ではグリーンのジャージになります。

「ツアー・オブ・ジャパン」は8日間、毎日レースをおこない、その合計タイムが最も速かった選手がこの賞に輝くのですが、ネイサン・アール選手は2年連続で総合優勝。彼はかつて“チームスカイ”という世界最高峰のチームに所属していたトップ選手ですが、そんなネイサン・アール選手が富士山ステージで総合優勝に手をかけ、レース後に涙を流すシーンがありました。

正直うれしいですよね。海外のトップ選手が「ツアー・オブ・ジャパン」のためにしっかりと準備をし、勝って感情を爆発させて涙を流すというのは。「ツアー・オブ・ジャパン」の価値、そしてレースの過酷さを示してくれていると思いますし、彼のエモーショナルな姿は我々にとってご褒美となりました。

◆自転車ロードレースのタイトルを解説

野島:そして、「個人総合ポイント賞(ブルージャージ)」は、先ほども紹介したTRINITY RACING(トリニティ・レーシング)のルーク・ランパーティ選手。この賞はどんな賞になるのでしょうか?

栗村:「個人総合時間賞」は総合タイムを競いますが、これは各ステージで順位に対して付与されるポイントを競います。ですから、例えば、富士山ステージだけぶっちぎりで速く、その他のステージが50位でも「個人総合時間賞」は獲れます。

しかし、「個人総合ポイント賞」は、各ステージの順位が高ければ高いほど獲りやすい。そして、どんな選手が有利かというと、“スプリンター”と呼ばれる大集団でフィニッシュするときに優勝できる選手が強い。この賞は“スプリンターの証”と言ってもいいですね。

ランパーティ選手は20歳と若い、将来有望なアメリカ人選手で「ツアー・オブ・ジャパン」は初出場だったのですが、レース後に話をしたら「来年もまた来たい」と言っていました。将来「ツール・ド・フランス」に出るような選手が「『ツアー・オブ・ジャパン』は美しく、ロケーションが変わる魅力的なレースだ」と言ってくれたのはうれしかったですね。

野島:それはうれしいですね! 続いて、「個人総合山岳賞(レッドジャージ)」は、VICTOIRE広島(ヴィクトワール広島)のレオネル・キンテロ・アルテアガ選手でした。

栗村:この賞は、「個人総合ポイント賞」とは対極にあるような賞で、名前のごとく山登りが一番速い選手に贈られます。なので、この賞を獲るためには登り坂が速くないといけません。

野島:スプリンターと呼ばれる人よりも、「個人総合山岳賞」はわりとスリムな方が獲ることが多いですよね。

栗村:やはり登り坂は体重が軽いほうが有利ですから。“クライマー”と呼ばれる華奢な体の選手が獲ることが多いんですけど、今回のキンテロ選手は実はそうでもなく。

野島:そうなんですよね。登りも平坦な道もどちらも行ける雰囲気でしたね。あとは、兒島直樹(こじま・なおき)選手も頑張っていたんですけどね……。

栗村:日本人の活躍という意味では兒島選手。クライマーではなく、むしろトラック競技の選手で平地に強いんですけど、前半からポイントを積み上げて、8日間本当に戦い抜いてくれたので、最後(個人総合山岳賞を)獲らせてあげたいと思ったんですけどね……まあ、キンテロ選手ともども本気の戦いを見せてくれたのでうれしかったです。

野島:そして、「個人総合新人賞(ホワイトジャージ)」は、TRINITY RACING(トリニティレーシング)のリアム・ジョンストン選手でした。

栗村:これは「個人総合時間賞」の23歳以下版ですね。「U23賞」とも呼ばれていますが、若い選手のなかで個人総合時間が一番速かった選手に贈られます。

野島:最後、「団体総合時間賞」はJCL TEAM UKYO(JCLチーム右京)でした。

栗村:これも「個人総合時間賞」のチーム版なんですが、自転車ロードレースの場合、基本的に個人成績に重きが置かれますので、チームで個人成績を競う、ちょっと複雑で難しいところがあります。

野島:そこが他のチームスポーツとはちょっと違うところですよね。

栗村:そうなんです。団体総合時間の価値は、自転車ロードレースの世界では高いところに置かれていませんが、1位のチームは強いチームであることは間違いないです。今回のJCL TEAM UKYO(JCLチーム右京)は個人と団体、両方獲りましたので、やはり強かったということですね。

◆野島&番組スタッフが物申したいこととは?

野島:そして、ここからは、栗村さんが恐れている“物申したいこと”を伝えていこうと思います。今回、僕をはじめ、この番組のスタッフ一同は、来年の大会に向けて東京ステージで取材をさせていただきましたが、まずは僕と作家からの素朴な疑問です。今年のパレード走行、女性タレント枠の方が現場にいなかったのはなぜですか?

栗村:こういう質問なんですね! 正直安心しました(笑)。これに関しては前回もお話しましたが、今年は4年ぶりのフルスペック開催ということで、確実に、安全にやりきろうとイベント色を抑えての開催だったんです。ですので、華やかさという部分は来年以降にとっておこうと、ブッキングをサボりました(笑)。

野島:サボったんですか(笑)。では、来年に期待したいと思います。来年はぜひよろしくお願いします。次はディレクターからの質問です。東京ステージ、スタート前の選手が試走中、栗村さんがコースにボーッと立っていて轢かれそうになったのは本当なんですか?

栗村:本当です……ちょっとボーッとしていたら、脇を試走中の選手が結構いいスピードで走り抜け、久しぶりに鳥肌、サブイボ、ゾクゾクっとしました。みなさん、道路を渡るときは左右を確認し、自転車に乗っている方もボーッとしている人がいるかもしれないので、安全運転を心がけてください!

野島:続いてはADから。メイン会場のキッチンカー、ポテトフライが多すぎ。いろいろなポテトフライがあるのはいいんですけど、もう少しバラエティに富んでいてもいいんじゃないですか、と。

栗村:これは……完全に僕の趣味ですね。

野島:ポテトフライが大好きなんですね(笑)。

栗村:自転車ロードレースのメジャー国というとベルギーなんですよ。そのベルギーでは“フリッツ”というのですが、ポテトフライに大量のマヨネーズをかけたものを食べながら自転車ロードレースを観るんです。それが溢れ出てしまいましたね。

野島:ポテトフライだけじゃなくて、飲み物もレモネードとビールしかなかったのですが、それも(ベルギーに)通じるものがあったんですかね?

栗村:やっぱりビールといえばベルギーです。しかも、今回は審判長がベルギー人でしたから。彼とはレースが始まる前からベルギービールとポテトフライ、あとはムール貝とチョコレートの話で盛り上がりました(笑)。ただ、(次回は)ちょっと改善したいと思います。確かにキッチンカーの前を通りかかったら、ポテトが多かったですね。今、思い出しました(笑)。

野島:減らさなくてもいいので、(キッチンカーを)増やしていただきたいと思います。最後にもうひとつ質問なんですが、栗村さんは休んでいないですよね?

栗村:自転車でいうと、7月は「ツール・ド・フランス」が始まります。開幕まであと1ヵ月ぐらいなので、その盛り上げも頑張っていきたいと思いますので、(休みがなくても)大丈夫です!

野島:常に漕いでいくというスタイルですね。

栗村:素晴らしい! そうです。自転車は常に漕いでいないと倒れちゃいますから!

野島:くれぐれも健康と安全に気をつけて、これからのご活躍を期待しています!



7月2日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、6月4日(日)におこなわれた「富士の国やまなし 第19回Mt.富士ヒルクライム」特集をお届けします。お楽しみに!

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▶▶この日の放送内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!
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<番組概要>
番組名:サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国23局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ:野島裕史
番組Webサイト:http://www.jfn.jp/toj

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