バス・タクシーが荷物を運び、トラックは旅客を運送!「貨客混載」解禁、運転手不足・過疎地域への配達…打開策となるか

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月29日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「全国解禁! タクシー・バスの『貨客混載』」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



物流業界の課題となっている「2024年問題」。働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題に対応するため、国土交通省は6月30日(金)から、タクシー事業者や貸切バス事業者による「貨物輸送業」を全国で解禁。併せて、トラック事業者による「旅客運送業」も許可されます。
つまり、これまでは旅客を運ぶ専門の事業者が、旅客と一緒に荷物を運べるようになったり、荷物を運んでいたトラックに旅客を乗せて移動したりすることが可能になります。

◆バス・タクシーが荷物も運べる時代に

ユージ:改めて、物流業界の「2024年問題」とは、なんでしょうか?

塚越:働き方改革関連法によって、2024年の4月1日以降、トラックドライバーなど運転業務の時間外労働時間の上限が、年間960時間に制限されます。一般的な労働者の上限は720時間ですが、それでもまだトラックドライバーは労働時間が多いです。

働き方改革にはなりますが、(労働時間が減ることで)運送業界の収入が下がり、ドライバーの収入も下がってしまう可能性や、それを補うために運賃が値上がりする可能性があるため、私たちにも影響があります。

人手不足の解消も難しい状況にあるうえに、さらにドライバーの時間外労働の上限時間が短縮し、一般の労働時間と同じになる可能性もあるので、全体の構造的な変化が求められている状態です。

吉田:これまでは一部地域に限定していた「貨客混載」を、6月30日(金)から全国拡大とのことですが、あらためて「貨客混載」とは、どのような制度なのでしょうか?

塚越:貨客混載とは、乗客と荷物の輸送・運行を一緒に行う取り組みです。バスやタクシーといった人を運ぶ「旅客運送」と、トラックなどで荷物を運ぶ「貨物運送」は区別されていました。一方、鉄道や飛行機など、人も荷物も運ぶのが「貨客混載」です。路線バスなどでも、赤字路線の収益改善のために貨物の運送が認められるようになってきました。

2017年に制度の見直しがあり、貸切バスやタクシー、トラックも貨客混載の対象になりました。許可を得た上でなら、路線バスは全国で、タクシーやトラックは人口3万人未満の過疎地域で貨客混載が可能になりました。この背景には、運送業界の人手不足やネットショッピングによる日用品など小口の荷物の配送が多くなった事情があります。

ユージ:飛行機やフェリーは、貨物用のスペースがあるのでイメージしやすいのですが、タクシーやバス、トラックで荷物やお客さんを運ぶというのは、どのようにおこなわれるのでしょうか?

塚越:今回の見直しでは、これまで過疎地に限定されていた貸切バス、タクシー、トラック事業者も、路線バスと同じく全国で貨客混載ができるようになりました。条件としては、各地方公共団体と、旅客、貨物に関連する事業者などとの協議をしてくださいとのことです。つまり、事前に許可を取っていることが条件です。

タクシーは多くの荷物を載せられないのですが、小回りが利くので、医療品の配達や高齢者の買い物支援などにニーズがあり、事業者は収益が上がり、利用者にも便利になるメリットがあります。

バスについても、都市部から出発するバスに荷物を載せて、終点などで荷物を降ろしてトラック事業者に渡します。後はトラックドライバーが配達すれば、ドライバーの手間が省けます。トラックの場合、大きめのトラックになるとは思いますが、配達途中の経路に家があるお客さんを乗車させて、運ぶことができます。いずれも、これまで過疎地域に限定されていたものが、全国で解禁されます。

◆「自分には関係ない」と思わず、再配達を減らすなどの努力を

吉田:貨客混載のデメリット・課題は何でしょうか?

塚越:バスの場合は、お客さんが乗るスペースが減ります。また、荷物を乗せるのもテクニックが必要で試行錯誤するでしょうし、配送先ルートが変更される可能性もあります。最近だとネットなどで荷物の追跡ができますが、これができなくなる可能性もありますね。いずれにしても、関係者でルールを設定して頑張っていただきたいです。

ユージ:私たち一般消費者は「貨客混載」の時代に、どんな心構えが必要でしょうか?

塚越:物流業界が大変なのは、多くの国民が理解していると思います。ある程度失敗はあるかもしれませんが、寛容な態度が必要だと思います。「2024年問題」は大変なことで課題も多いですが、物流業界における「ラストワンマイル」(=最寄りの物流拠点から顧客の玄関先)と言われる荷物を届ける部分が重要になるので、「貨客混載」によって一定の効果が出ると思いますし、逆に効果を出さないといけません。私たちとしても「自分には関係ない」と思わず、置き配などを利用して再配達を減らす努力をするなど、全体で協力していくことが必要です。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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