青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。7月9日(日)の放送では、厚生労働省 雇用環境・均等局 総務課 雇用環境政策室の堀泰雄(ほり・やすお)さんに、「安心して働ける社会に! フリーランス新法」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、堀泰雄さん、足立梨花
◆フリーランスの割合と現状
特定の企業や組織に属さずに働く人のことを“フリーランス”と呼び、最近は個人の働き方が多様化していることから、どの業界・職種においても、フリーランスで働く方が多くなっています。また最近は、副業でフリーランスをしている方も増えており、明確な数を把握することは難しいものの、すべての働く人のうちの約5%が、本業および副業でフリーランスをしているとの調査結果があります。
フリーランスと聞くと、自分の仕事のスタイルで働けて、働く時間や場所も制約が少なく、何より自分の能力や資格を活かせる働き方ができる、というイメージがあります。
その一方で、個人で仕事をするため、仕事の発注者、つまり契約先が会社組織の事業者である場合など「個人」対「組織」となると、一般的に個人であるフリーランスは弱い立場に置かれることが多いため、トラブルも少なくないのが現状です。ある調査によると、取引先の事業者とトラブルを経験したことのあるフリーランスは4割以上もいるとのことです。
そこで、フリーランスの方を守るための法律「フリーランス新法」が、今年5月12日(金)に公布され、2024年秋頃までに施行される予定です。
◆「フリーランス新法」とは?
フリーランス新法とは“特定受託事業者にかかる取引の適正化等に関する法律”のことで、「特定受託事業者」がフリーランスのことを指します。
これまでは、企業など特定の組織に雇用されて働く「労働者」を守る法律はありましたが、フリーランスはこれに当てはまらず、法的な保護が不十分でした。そのために、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備することを目的とした、今までにない新しい法律として成立しました。では、具体的にフリーランス新法ではどんなことが定められているのでしょうか? 下記に基本的な部分を紹介します。
・取引条件の明示義務
事業者がフリーランスに対して業務委託をした場合、業務の内容や報酬の額などを、書面またはメールなどにより、あらかじめ明示することが義務づけられます。
・期日における報酬の支払義務
これまで、発注事業者の支払いが遅かったり、契約で決められた日までに報酬が支払われないなどのトラブルが多く発生していたことから、発注事業者は、原則として業務が完了してから60日以内の支払期日を設定し、その日までに報酬を支払うことが義務づけられます。
・禁止行為
発注事業者がフリーランスに対して、一定期間継続する業務委託をした場合、次の7つの行為が禁止されます。
1.フリーランス側に責任がないのに、できあがったものの受け取りを拒否すること。
2.一方的に報酬を減額すること。
3.できあがったもの返品すること。
4.通常の相場に比べて著しく低い報酬額を一方的に定めること。
5.正当な理由なく、発注事業者側の指定する物の購入やサービスの利用を強制すること。
6.発注事業者側に金銭やサービス等を提供させることによって、フリーランスの利益を不当に損ねること。
7.フリーランス側に責任がないのに業務内容を変更したり、やり直しさせたりすることによって、フリーランスの利益を不当に損ねること。
この禁止行為は、今まで法律では決められていなかったこともあり、堀さんは「(フリーランスの方だけでなく)フリーランスの方に業務委託をされる発注事業者の方は、こうした点を改めて確認していただければ」と注意を促します。
◆働く環境整備への配慮も…
次に紹介するのは、働く環境整備に関するルールについてです。
・募集情報を的確に表示する義務
Webなどに業務委託の募集情報を出すときは、虚偽の表示や誤解を生じさせるような表示をしてはならないこと。また、正確かつ最新の内容に保たなければならないことが、それぞれ義務づけられます。
・育児・介護などへの配慮義務
フリーランスの方が、育児や介護などと両立して業務をおこなえるように、発注する事業者側は、フリーランスの方からの申し出に応じて必要な配慮をすることが求められます。なお、具体的にどのような配慮が求められるのかについては、今後、分かりやすく示していくとしています。
◆ハラスメントから守るために…
続いては、「ハラスメント対策」についてです。
企業に勤める正社員や契約社員などの「労働者」に対するパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどについては、現在、法律でその防止措置を講じることが全事業者に義務づけられていますが、「こうした防止措置はフリーランスの方については対象となっていませんでした」と堀さん。
そこで今回の新法では、フリーランスの方がハラスメントによって働きにくくならないように、発注事業者にフリーランスからの相談に適切に対応するための体制を整備することなどが義務づけられます。
◆中途解除等の事前予告義務
最後は「解除の予告義務」について。フリーランスに一定期間継続的に業務委託をしている場合、その契約を途中で解除しようとするときは、原則として、その30日前までに予告しなければならないことになります。
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堀さんは「もし今、契約や取引に関するトラブルを抱えてしまったり、悩んでいたりするフリーランスの方は、ぜひ
『フリーランス・トラブル110番』を利用していただきたい」と声を大にします。
「フリーランス・トラブル110番」は、フリーランスと発注事業者等との契約や取引上のトラブルに関して、弁護士が無料で電話やメールで相談に乗ってくれるサポート窓口です(※電話相談の場合:0120-532-110/受付時間11:30~19:30 土日祝日を除く)。相談内容によっては、対面やWeb相談も可能で、一緒に解決策を見つけてくれます。
最後に「フリーランス新法は、フリーランスのみなさんが安心して働ける環境を整備するために設けられた新しい法律です。発注事業者、そしてフリーランスのみなさんによく理解していただき、いきいきと働ける社会を目指していきましょう!」と呼びかけました。
今回の話を受け、足立は「(フリーランス新法を)多くの方に知っていただきたい」とコメント。また、運用がスタートするまでの準備期間として、「フリーランス新法に関する正しい知識を得て“フリーランスは守られる立場”だということを、みんなが理解するのが大事だと感じました」と語ります。
一方、青木が着目したのは「フリーランス・トラブル110番」について。「フリーランスと発注事業者等との契約や取引上のトラブルに関して、弁護士が無料で相談に乗ってくれるのは心強い」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2023年7月17日(月・祝) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/