男性の“昭和の価値観”…意識改革が必要!?「男は仕事、女は家庭」からの脱却、今後の課題は? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。7月12日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「政府が目指す『昭和モデル』から『令和モデル』への転換 課題は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです



◆「昭和モデル」「令和モデル」とは?

内閣府は6月に、2023年版の「男女共同参画白書」を発表。目指すべき社会像を「令和モデル」と提唱しました。長時間労働などを前提とした「昭和モデル」からの脱却を促すということです。

吉田:塚越さん、まずは「男女共同参画白書」とは何なのか、改めて教えてください。

塚越:こちらは、1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」に基づいて、内閣府が毎年作成する年次報告書になります。名前から分かる通り、男女平等の実現を促進するためのもので、毎年、時代に適した社会のあり方を提示してきたものです。

吉田:「昭和モデル」から「令和モデル」への転換。これは、どういうことなのでしょうか?

塚越:去年の白書では「結婚と家族」をテーマとして、「もはや昭和ではない」と訴えたのですが、今年はさらに進んで「令和モデル」を立ち上げ、昭和との比較をおこないます。

「昭和モデル」とは、“サラリーマンの夫と専業主婦の世帯”が前提となっている制度や、「男性は仕事、女性は家庭」という考え方に基づくものです。さらに、「昭和モデル」では長時間労働や転勤が当たり前の雇用慣行でした。

これらから脱却するために「令和モデル」は、誰もが希望に応じて家庭でも仕事でも活躍できる社会、能力を最大限発揮できる職場を整備し、人々の希望が満たされることを目指します。その結果、仕事と家事や育児のバランスがとれる生活を送ることができる……というものになっています。

時代は昭和、平成、令和と進んでいるのですが、昭和にできた「男性は仕事、女性は家庭」といったモデルは、いまだに社会に大きく影響しているということで、今回はそこからの脱却を訴えるため、あえて昭和と令和の2つのモデルを出して対比させました。この「令和モデル」を実現させることが、国の成長につながるとされています。

◆人々の意識は変わりつつあるものの…

ユージ:目指すべき社会像を「令和モデル」にしたのは、どういう背景があるのでしょうか?

塚越:社会的な価値観が大きく変わっていることが挙げられます。18~34歳の未婚男女が描く、結婚後の女性のライフコースについて、1987年は「専業主婦」を選ぶのが主流でしたが、平成時代には結婚・出産で退職するも、子育て後に再び働く「再就職コース」が中心になりました。さらに2021年には、結婚出産後も仕事を続ける「両立コース」が、結婚後の女性のライフコースで初めて最多となりました。

また、子どもを持つ20~39歳の男性のうち、家事育児の時間を増やしたい方も約3割になっています。人々の意識が変化しているのですが、昭和期にできた長時間労働といった雇用慣行が続き、女性の家事育児の負担が依然として高いことが問題で、令和モデルの実現が叫ばれています。

社会全体の労働力不足が叫ばれるなかで、特に女性に「仕事か家庭かの二者択一」を迫るのはおかしく、またコロナ禍によってテレワークなど、働き方も多様化した今、男性の家庭や育児への参加も増えています。男女共同参画局の担当者は、今こそ変革のチャンスだと指摘しています。

◆男性側の意識改革が必要

ユージ:「令和モデル」への転換について、塚越さんはどのような印象を持たれましたか?

塚越:この提案は、非常に重要だと思います。課題は人々の意識、個人的には男性の意識の問題が大きいように思います。性別役割意識は依然として大きく、内閣府が昨年おこなった世論調査でも、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」と考える方は33.5%です。減少傾向にあるとはいえ、18~29歳でも2割の方がそう思っているということです。

さまざまな選択肢のなかで役割が決定されるのは問題ないですが、「~すべき」という考え方は、やはり時代に合わないかなと思います。選択肢が狭いと、誰にとっても不幸なものになってしまいます。

また、女性による仕事と家庭の両立支援は進んでいるのですが、男性の家庭や育児参加に対する意識が醸成されていないとも指摘されています。そうなると、女性は「母親でもありビジネスマンでもある」ということで、やることがたくさんあって大変になってしまいます。

男性の育児への参加が少ないとなると、男女平等のなかで女性にとって厳しい社会になってしまい、本末転倒です。個人的には、男性の意識の問題があるのではないかと思います。さらにいえば、「ジェンダーギャップ報告書」の最新版で、日本は146ヵ国のうち125位と圧倒的に低いです。世界的にも出遅れているということを、特に男性が意識する機会を増やす必要があると思います。

ユージ:いずれにしてもこのような話が積極的におこなわれることによって、男女境目なくどのようにしたらいいのか、ベストな方法を探っていくことが大事だと思います。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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聴取期限 2023年7月20日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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