「ふるさと納税」“隠れ経費”含む返礼品・運用見直しへ…人気返礼品がなくなる可能性も!? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。7月13日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「ふるさと納税の返礼品基準や運用方法の見直し」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。

※写真はイメージです



総務省は6月27日(火)、「ふるさと納税」の運用方法や返礼品の基準について、変更・見直しをおこなうと発表しました。

吉田:毎年、「ふるさと納税」の専用サイトを眺めながら、「どの自治体から、どんな返礼品を受け取ろう?」と、“納税先選び”を楽しみにしている方にとっては気になる発表です。いったい、どんな変更見直しがなされるのでしょうか? 塚越さんに解説していただきます。

◆「ふるさと納税」制度とは?

吉田:そもそも、どのような制度なのか改めて教えてください。

塚越:ふるさと納税は2008年に開始された制度です。「納税」と名付けられているのですが、実際は自治体への寄付です。寄付した金額のうち、自己負担額2,000円を除いた額が、翌年の住民税や所得税から控除の対象となります。

さらに、寄付者には返礼品が贈られ、実質的に2,000円で各自治体の高価な特産品などをもらえるというものです。寄付できる限度は、年収や納税額で人によって異なります。つまり総額としては払う税金の額は変わらないけれど、ふるさと納税をすることによって返礼品がもらえるので、“お得な納税方法”ということで、近年急速に普及しています。2021年度の寄付総額は過去最高の8,302億円となりました。

◆今回の見直し…私たちへの影響は?

吉田:今回、総務省が発表した「ふるさと納税」に関する変更見直しとは、どのような中身だったのでしょうか? まずは、運用方法の変更について教えてください。

塚越:総務省によるルールでは、返礼品の調達にかかる費用の割合は寄付額の3割以下で、送料や事務なども含めた経費の総額を寄付額の5割以下と定めています。寄付額の半分以上は自治体のために活用されるべきという考え方に基づき、こうしたルールがあります。

しかし、実際には総務省が把握していない、寄付金の受領証の発行や、住民税の控除に必要な情報を自治体間で共有するための費用といった「隠れ経費」があります。総務省は今回、これらの隠れ経費も対象にして報告を求めるように、運用方法を変えました。

ユージ:この変更は「ふるさと納税」をする側にとって、どういう影響があるのでしょうか?

塚越:2021年度の自治体の平均経費率は46.4%と、すでに高水準で、5割を超えてはいけないというルールです。そうすると、先ほどの「隠れ経費」を含めると5割を超える自治体が出ることになります。

実際、2021年度のふるさと納税額上位20の自治体のうち、隠れ経費を含めると13の自治体で基準の5割を超えていると朝日新聞は伝えています。多くの自治体は返礼品の中身などを見直すことになると考えられています。そうなると、例えば、これまでふるさと納税で500gの肉を返礼品としてもらっていたとして、今後は同じ納税額で300gになるかもしれない、ということです。

ユージ:もう1つお聞きしたいのですが、「返礼品の見直し」とは、どのような内容ですか?

塚越:こちらは、返礼品として認められる「地場産品の基準を見直す」というものです。加工や製造の主要部分を自治体でおこなっていれば原則として認めますが、「熟成肉」と「精米」については、原材料についても同一の都道府県内産であることを求めるとします。

例えば、熟成肉は、これまで他県や海外から仕入れたものを、地元で熟成しても“地場産品”として返礼品にできたのですが、これは本当に付加価値のある加工がされたかどうかが分からないので、今後は熟成前から一貫して「地元の肉を地元で作りましょう」ということになります。これまで曖昧だったものがルール化されるので、いままで返礼品とされていたラインナップがなくなる可能性もあります。

◆かえって自治体間の格差拡大につながってしまっている!?

ユージ:ふるさと納税は、頻繁に制度の見直し・変更がおこなわれている印象があります。なぜ、そうした変更が繰り返されるのですか?

塚越:松本剛明総務大臣は先月の記者会見で、「この改正によって、ふるさと納税が本来の趣旨にあった運用がされる」と述べています。自治体が返礼品を豪華にする競争が起きているのですが、それは結局、誰のためになっているのか分からなくなっている、という問題があります。もともとは地方活性化や税制の公平性確保に効果があるとして始まった制度ですが、むしろ「自治体の格差を拡大させているのではないか」と指摘されています。

例えば、東京都世田谷区では100億円近くの税収が減っているということです。税は公平に渡るものなのですが、自治体ごとにいろいろな格差が生まれてしまうということで、それはどうなのか、と言われています。

制度がある以上、利用者として使う分には全く問題ありません。今、話しました公平性や格差の問題を考えるといろいろありますので、例えば今後はもう少し基準を厳しくしたり、納税できる額も減らして返礼品を高くしたりすると、本来の意味で「応援」できますし、「自分の生まれ故郷を応援する」制度にしていくことが求められるのではないかと思います。そうした意味で、少し運用を変えていくべきだと議論になっているので、さらなる見直しが必要だと思います。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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聴取期限 2023年7月21日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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