住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生ワイドラジオ番組「Blue Ocean」。7月13日(木)放送の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんが登場。夏に感染が増える「ヘルパンギーナ」について解説していただきました。
(左から)森田豊さん、住吉美紀
◆ヘルパンギーナって何?
暑い日が続く昨今。毎年、夏になるとヘルパンギーナという感染症にかかる人が増加します。ヘルパンギーナとは、発熱と口のなかの粘膜に水疱(すいほう)ができる感染症のことで、夏風邪の一種と考えられますが、「お子さんの場合、(見た目では)なかなか症状が分かりません。喉が痛くて水が飲めない、あるいは飲む量が(普段よりも)少ないことから判明することもあります」と森田さん。
ヘルパンギーナは、例年6月頃から流行の兆しが見え、7月~8月にピークを迎えます。また、患者のほとんどは4歳以下ですが、大人でも感染する可能性があり、一度かかったあとも何度もかかる可能性があります。
なお、ヘルパンギーナ感染経路のメインは、通常の風邪と同様、飛沫感染と接触感染です。感染の機会があってから2~4日の潜伏期間を経て、突然38度~40度の高熱を発症します。
その後、のどの粘膜が赤くなり、上あごの粘膜や、のどの奥に直径1~2ミリほどの小さな水疱が現れるのが特徴です。そして、小さな水疱は痛みを伴うことが多く、飲食が難しくなり、脱水になってしまうケースもあります。
感染期の食事について、森田さんは「柑橘系のジュースなどは刺激があるので避けたほうがいいです。水分やのど越しのよい食事を摂ることが大切なので、冷たい麦茶、牛乳、冷めたスープ、ゼリー、プリン、冷めたおじやなど、柔らかくて薄味の少し冷えたものがいいです」と言います。
なお現在、ヘルパンギーナに対する特効薬や確立された治療法がないため、現状は対症療法(病気によって起きている症状を和らげたり,なくしたりする治療法)のみとなりますが、通常は2~3日間程度で解熱し、1週間ほどで治るケースがほとんどです。
また、回復したあとも2~4週間の長期にわたって、便からウイルスが排出されるため、「感染している人との密接な接触を避けること、そして、手洗い・うがいが予防の基本となるかなと思います」と注意を促します。
◆新型コロナ治療薬を活用しよう
続いては“新型コロナウイルスの現状”について。5類感染症に分類が変わって約2ヵ月が経過しましたが、ここ数週間で感染拡大の可能性が高くなっているそうで、「すでに沖縄などでは入院ベッドが足りなくなり、医療がひっ迫しつつあるのが現状かと思います」と森田さん。
現在流行しているのは、オミクロン株の派生株である「XBB」。毒性は強くないものの、これまでのオミクロン株に比べて感染力がやや高く「XBB系統に置き換わるまで感染が拡大するのではないか」と分析します。
また、5類となったことで、初診料や検査費用などの自己負担を支払う必要が生じるため、重症化リスクの高い人でも受診を控えてしまう人も。一方、外来で処方される薬剤費は9月末まで全額公費支援となり、自己負担で支払う必要はありません。
そのため、森田さんは「高齢者や持病がある方は、医療機関に連絡をして診療を受け、状況によって投薬を受けるのが大切かと思います。それに、今後の感染拡大による医療ひっ迫を避けるため、コロナ治療薬をもっと活用すべきだと思っています」と声を大にします。
外来で処方される薬は「ゾコーバ」「ラゲブリオ」「パキロビッドパック」の3種類。なかでもゾコーバは、ほかの薬と違って重症化リスクがない軽症から中等症の一部の患者にも服用することができ、けん怠感、発熱、鼻水や鼻づまり、のどの痛み、せきの症状が軽減できると報告されています。また、ラゲブリオ、パキロビッドパックは重症化予防のために使う薬で、重症化リスクの高い人に処方される薬です。
改めて森田さんは、「薬のなかには、ほかの薬と飲み合わせが悪いものもあるので、いま自分が何の薬を飲んでいるのかを医師に伝えることが大切です」と話します。
◆いびきの改善法を伝授!
リスナーからの相談に答えるコーナーでは、「夫のいびき」に関するメッセージが寄せられました。
<リスナーからのお悩みメッセージ>
「夫のいびきに悩まされています。先日もいびきが激しくて寝られず、別の部屋に避難して寝たほどです。私が先に寝てしまえば、いびきも気にならないのですが、夫が先に寝ているときはすごく気になります。いびき問題の解決法を教えてください」
森田さんいわく、就寝時は喉まわりの筋肉が緩んでしまうことが多く、狭まった気道に空気が通るときに粘膜の振動音が生じることで、いびきとなることがあります。
また、喉が狭まる原因は、太りすぎ、口呼吸、飲酒、女性ホルモンの急激な減少、扁桃腺などの腫れや炎症などで、太りすぎによっていびきが出るケースの場合は、ダイエットで改善することが多いです。
ただ森田さんは、相談者の「私が先に寝てしまえば、いびきも気にならない」とのことから、いびきの症状は軽度だと予想し、そういう方は2つの方法で解消される可能性が高いと言います。
◆いびき解消法①「抱き枕や、ぬいぐるみを使って横向きで寝る」
横向きになることで気道が広がり、いびきをかきにくくなります。
◆いびきを改善する方法②「鼻呼吸がしやすいようにテープを活用する」
森田さんによると、鼻腔を広げて呼吸を楽にするテープや、口に絆創膏を貼る方法も普及しつつあるようで、「いびきをかいているときは口呼吸になっていることが多いので、口を閉じて鼻呼吸にすることができ、それでいびきが止まることも多いです」と解説します。
なお、いびきがきっかけとなり、睡眠中に呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸症候群が見つかるケースもあり、ひどくなると心筋梗塞や脳卒中などを発症するリスクが高まります。最後に森田さんは「横向き、絆創膏などでいびきが改善しない場合や、睡眠中に呼吸が止まるなどの場合は、睡眠外来などで専門医による診断・ケアをおすすめします」と呼びかけました。
----------------------------------------------------
7月13日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年7月21日(金) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月~金曜9:00~11:00
パーソナリティ:住吉美紀