青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。8月6日(日)の放送では、消費者庁 取引対策課の川崎豊(かわさき・ゆたか)さんに、「気をつけて! 身近なところにマルチ商法」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、川崎豊さん、足立梨花
◆「20代」に被害が多いマルチ商法
マルチ商法とは、商品やサービスを契約して、次は自分が新しい会員を勧誘して紹介料や成功報酬といった利益を得る商法です。ピラミッド式にネットワークを拡大していくのが特徴で“ネットワークビジネス”とも呼ばれますが、法律上は「連鎖販売取引」と言います。
しかし、多くのマルチ商法では「新しい会員を勧誘して入会させたら、紹介料などの利益が得られる」などと言って勧誘し、その利益を得るための条件として、高額な入会金の支払いや商品の購入などをさせることが多いのが実情です。
そして、実際に利益を得られることが保証されているわけでもないため、そのまま借金が残ってしまう人もいます。また、自分が勧誘・販売などをおこなうことで身近な人にも借金をさせてしまうなど、トラブルが非常に生じやすい取引形態です。
国民生活センターがまとめたマルチ商法に関する相談件数は、2022年度では約6,800件あり、年齢別で最も多いのは20代で、続いて70代以上、50代となっています。ただし、この数字はあくまでも相談件数のため、実際にはもっと多くの方がトラブルに巻き込まれていると見られます。
なお、マルチ商法に関する相談で2022年度に最も多かったのは「健康食品」を対象としたもので、続いて「化粧品」、「内職・副業などの誘い」、「ファンド型投資商品」などです。また、近年の特徴として“投資用のUSBメモリ”“FX投資用の自動売買ソフト”といった情報商材を高額な値段で購入させる手口や、暗号資産や海外事業などへの投資を契約させられるケースも目立っています。
投資用の商品の場合、「システムにAIが入っているから簡単に稼げる」などと言って信じ込ませるケースがあります。しかし、実際にあった携帯用のUSBメモリを使ったマルチ商法のケースでは、AIは搭載されていませんでした。最近はAIが飛躍的に進化していることが話題になっていることもあり“AIが搭載されているなら……”と儲け話を信じてしまうようです。
◆友人や知人からマルチ商法に誘われるケースも…
マルチ商法は友人や知人から「儲け話がある」「すごく稼いでいる人がいる。話だけでも聞いてみない?」などと誘われるケースが非常に多く見られます。勧誘される場所については、カフェなどで会うケースが多く、なかにはタワーマンションの共用スペースで会うケースもあるそう。
そして、話を持ちかけた人が高級腕時計や豪華なアクセサリーをつけて羽振りが良い様子だと“本当に儲けられるかも”と惑わされてしまったり、事務所や住居など密室になる場所に訪問してしまうと、話の途中でマルチ商法だと気づいても心理的にアウェイな状況となり、早く帰りたいがために契約してしまうケースもあります。
川崎さんは「たとえ友人や知人からの誘いでも、『儲け話がある』『高収入の副業がある』などの話はきっぱり断ることが大切なんです。実際に営業担当者に会ってしまったら、ますます断りづらくなり、トラブルに巻き込まれてしまいます」と強調します。
◆「SNS」や「マッチングアプリ」が勧誘の入り口に
続いて「『SNS』や『マッチングアプリ』が、勧誘の入り口になっているケースが目立っています」と言います。例えば、出会いを求めてマッチングアプリを利用し、実際に相手と会ってみたところ、株の勉強会に誘われ、行ってみたらマルチ商法の勧誘だった、というケースも。
マッチングアプリは“真剣な出会いの場”として存在感を高めている一方、マルチ商法に勧誘する相手を探している人も紛れ込んでいるため注意が必要です。さらに最近は、食事会や社会人サークルが勧誘の入り口になるケースも増えています。
川崎さんは「会った際にすぐマルチ商法の話がでる場合もあるようですが、徐々に距離を詰めた後、タイミングを見計らって誘うパターンもあるようです。なので、SNSやマッチングアプリ、食事会、社会人サークルなどを通じて知り合った人からイベントやビジネスなどに誘われた場合は、その内容に注意してください。なお、しつこく勧誘を続けること、確実に利益が得られると誤解させて勧誘することは特定商取引法に違反します」と声を大にします。
また、断りきれずに契約をしてしまった場合でもクーリング・オフが可能です。法律上、マルチ商法は契約書面を受け取った日から20日以内であれば、原則として無条件で契約解除ができることになっています。
ただ、契約書に「クーリング・オフができない」と書いてある場合や、クーリング・オフ期間を過ぎているように見えても契約を解除できる場合もあるため、「クーリング・オフの対象となるかどうかの判断に迷ったときは、1人で悩まずに、まずは『消費者ホットライン(188=いやや!)』にご相談ください。身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します」と勧めます。
そして、改めて「身近なところでマルチ商法の勧誘はおこなわれています。『確実に儲かる』『高収入の副業がある』などの誘いは、きっぱり断ってください。もし高額な契約をするときは、一度周りの人に相談しましょう。そして、困ったときはお早めに『消費者ホットライン』にお電話ください」と呼びかけました。
今回の話を受けて、足立は「たとえ友人や知人からの誘いでも“誘われたときにきっぱりと断ることが大切”というのは、心のなかにちゃんと持っておきたいと思いました」と感想を口にします。
青木は、最近のマルチ商法では、SNSやマッチングアプリが勧誘の入り口になっていることに着目し、「『儲け話がある』と直球で誘われるのではなく、まったく別の目的での集まりが、やがてマルチ商法の勧誘につながることもあり得ることも心に留めておきたい」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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8月6日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年8月14日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花