「デジタル化」を成功させるために大切なことは?ADKホールディングス・柴﨑貴志「手段と目的をはき違えないこと」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。8月19日(土)の放送は、前回に引き続き、ADKホールディングス 執行役員グループCIOの柴﨑貴志(しばさき・たかし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)柴﨑貴志さん、笹川友里


柴﨑さんは、1996年からIT業界に入り、外資系企業を中心にインフラから基幹業務システムまで幅広いソリューションの企画、導入、運用及びマネージメントを経験した後、2017年にWalmart傘下の株式会社西友に入社。そこで楽天西友ネットスーパー事業の立ち上げ、社内大型プロジェクトの立て直し、M&A後のシステム全刷新の計画策定などを担当。そして、2022年5月に現職に就任し、IT体制の抜本的な立て直しと並行して社内業務プロセス改革をリードしています。

◆柴﨑貴志の思う“リーダー論”

IT業界からキャリアをスタートし、これまで数社を渡り歩いてきたなかで、国籍や性別を問わず、優秀なリーダーと仕事をする機会に恵まれてきたという柴﨑さん。そんな経験を通して感じたこととして、「組織は人の集まりであり(リーダーは)その集団をまとめて、みんなが同じ方向を向いて一番良い結果を出していかなければならない。そのうえで、個々のメンバーが安心して気持ち良く働ける環境をきちんと作ってあげることがリーダーとして非常に大事」と“リーダー論”について言及。

続けて、「日本では“リーダーシップやマネージメントはセンスのある人ができるもの”みたいなイメージが結構あると思いますが、外資の会社でやらせていただいたときに感じたのは、マネージメントもリーダーシップも基本的に学問なんです。“勉強して実際に試す”を繰り返して(スキルを)身に付ける、ということがすごく大事だと思っています」と持論を展開します。

◆手段と目的をはき違えない

そんな柴﨑さんは、社内でデジタル化を成功させるために大切なこととして「手段と目的をはき違えないこと」と言います。というのも、これまでいろいろな会社でデジタル化を見てきたなかで、「(デジタル化をスタートさせた)当初は具体的なイメージを持って進行するものの、途中から“デジタル化をすること”が目的に変わってしまい、デジタル化が完了しても、できあがったものが当初のイメージと全然違ってしまい“何で(デジタル化を)進めたんだっけ?”となってしまう場面を結構目にしてきた」と振り返ります。

そのうえで、「そもそも“当初の計画”が意外と緩い」との指摘も。「最初に“何をどのくらいやったらデジタル化と言えるのか”ということをちゃんと決めておかないと、途中でグダグダになってしまい“何でやったんだっけ?”となりがちなので、最初の計画はきちんと立てる。特にビジネスで使うものであれば、“何が目的でデジタル化をおこなうのか”を常に頭に置いてやっていくことが大事」と協調します。

さらには、デジタル化と事業を並走させることの難しさについても、「ビジネス側が期待しているスピードにちゃんと合っていないと、デジタル化だけが先に進んでもうまく噛み合わなくなってしまうし、逆に全然遅いのも駄目なので、そこは本当に難しいと思います。“作ったけれども使われない”というのがIT屋として一番残念なことなので、それをなくすためにも、きちんと計画を立て、目標を決めて、ちゃんとその方向に進むようにコントロールすることが、とても大事だと思います」と言及します。

◆広告業界において大切なこと

改めて柴﨑さんは、広告業界のデジタル化がどんどん進んでいると感じているものの、「“広告会社が存在している意義”については、どんなにデジタルが入ってきても変わらない」と言います。

その理由として、今後も新しい技術がどんどん出てくることを挙げ、「メタバースなどもそうですが、新しい技術が出てくるたびに新しい広告のチャンスがやってくる。そして“そこで何をやっていくのか”ということが常に付いて回ります。そのため、試行錯誤しながら世の中のコミュニケーションのパス(通り道)をいかに使っていくかが大切」と言います。

そして、「テクノロジーをフル活用しなければならない広告の業界、マーケティングの領域は本当に面白いですし、一方、長年やられている方でも、新しく参入された方でも、差がなくなってしまう世界でもあると思います。(クリエィティブやひらめきなどの)経験が活きる領域も存在しますが、メインの部分を占めてくるテクノロジーの領域はどんどん入れ替わっていきますので、新しいことにどんどんキャッチアップしなければならない。そこもまた面白いところ」と話していました。

次回8月26日(土)の放送は、株式会社レグミン代表取締役CEOの成勢卓裕(なるせ・たかひろ)さんをゲストに迎えてお届けします。同社が手がけている自律走行型農業ロボットについてなど、貴重な話が聴けるかも!?

----------------------------------------------------
8月19日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年8月27日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

コンテンツ一覧

DIGITAL VORN Future Pix #200 音声

DIGITAL VORN Future Pix #200

DIGITAL VORN Future Pix #199 音声

DIGITAL VORN Future Pix #199

DIGITAL VORN Future Pix #198 音声

DIGITAL VORN Future Pix #198

DIGITAL VORN Future Pix #197 音声

DIGITAL VORN Future Pix #197

DIGITAL VORN Future Pix #196 音声

DIGITAL VORN Future Pix #196

DIGITAL VORN Future Pix #195 音声

DIGITAL VORN Future Pix #195

DIGITAL VORN Future Pix #194 音声

DIGITAL VORN Future Pix #194

DIGITAL VORN Future Pix #193 音声

DIGITAL VORN Future Pix #193

DIGITAL VORN Future Pix #192 音声

DIGITAL VORN Future Pix #192

「バブルが弾けて以降30年以上に渡って…」三菱ケミカルグループCDOが指摘する“日本企業の弱点”とは? 記事

「バブルが弾けて以降30年以上に渡って…」三菱ケミカルグループCDOが指摘する“日本企業の弱点”とは?

「こんなにポテンシャルの高い会社はない」三菱ケミカルグループ・市村雄二がCDO就任後に最も感じたこととは? 記事

「こんなにポテンシャルの高い会社はない」三菱ケミカルグループ・市村雄二がCDO就任後に最も感じたこととは?

近い将来“都心一極集中”は解消する!? AIST Solutions・Vice CTOが見据える“日本の未来”とは? 記事

近い将来“都心一極集中”は解消する!? AIST Solutions・Vice CTOが見据える“日本の未来”とは?

産総研が100%出資する会社・AIST Solutions…社会と研究の橋渡しをする重要な役割とは? Vice CTOが解説! 記事

産総研が100%出資する会社・AIST Solutions…社会と研究の橋渡しをする重要な役割とは? Vice CTOが解説!

AI、自動運転タクシー、エネルギー問題…IoTNEWS代表・小泉耕ニが2025年のデジタルシーンを予想! 記事

AI、自動運転タクシー、エネルギー問題…IoTNEWS代表・小泉耕ニが2025年のデジタルシーンを予想!

2024年は“生成AI”がさらに進化! 笹川友里「すごい時代がきましたね!」IoTNEWS代表・小泉耕ニがデジタルシーンを総括 記事

2024年は“生成AI”がさらに進化! 笹川友里「すごい時代がきましたね!」IoTNEWS代表・小泉耕ニがデジタルシーンを総括

「データサイエンティストが扱うデータはとてつもなく雑…」北里大学未来工学部長が指摘する“データサイエンス教育における課題”とは? 記事

「データサイエンティストが扱うデータはとてつもなく雑…」北里大学未来工学部長が指摘する“データサイエンス教育における課題”とは?

“未来に起こりえる問題”を先回りして解決!? 北里大学に新設された「未来工学部」とは? 学部長が解説! 記事

“未来に起こりえる問題”を先回りして解決!? 北里大学に新設された「未来工学部」とは? 学部長が解説!

リリースから11年…ゲームアプリ「モンスターストライク」への思いを語る「20年、30年と続くようなサービスにしていきたい」 記事

リリースから11年…ゲームアプリ「モンスターストライク」への思いを語る「20年、30年と続くようなサービスにしていきたい」