青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。8月20日(日)の放送では、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 食品製造課 基準認証室長の進藤友寛(しんどう・ともひろ)さんを迎えて、「定番だけじゃない! 多様化するJASの世界」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、進藤友寛さん、足立梨花
◆「JAS」が生まれた背景とその歴史
「JAS(=Japanese Agricultural Standards/日本農林規格)」とは、食品や飲料、油、農産物、林産物、畜産物、水産物といった製品の品質・成分などの基準について、農林水産大臣が定めた国家規格です。国が認めた第三者機関がチェックして認証されると、その証として製品にJASマークを表示することができます。
例えばソーセージは“太さ”または“使われている腸の種類”によって違いが定められており、ウインナーは羊の腸を使用したもので製品の太さが2cm未満のものは「ウインナーソーセージ」、豚の腸を使用したもので製品の太さが2cm以上3.6cm未満のものが「フランクフルトソーセージ」、牛の腸を使用したもので太さ3.6cm以上のものが「ボロニアソーセージ」になります。
このように、種類ごとに材料などが定義されていると、国内市場に出回る食品・農林水産品の品質や仕様を一定の範囲や水準に揃えることができることからJASができました。
JASに関する法律が初めて制定されたのは1950年、戦後間もない当時は市場に粗悪品が出回っていたため、それらを排除し、品質を一定の範囲に揃える平準化を目的に定められた、という背景があります。その後、時代が変化するなかで、JASも法律の改正を繰り返し、現在は92の規格が定められています。
進藤さんは、「時代に合わせた法律改正によって、JASの対象は『品質・仕様』だけでなく、『製品の生産や流通プロセス』『事業者による製品の取扱方法』『事業者の経営管理の方法』などにも拡大しました」と説明。
ちなみに「特色JAS」は、高い付加価値やこだわりのある製品を対象にした特色のある規格のことを言います。規格に適合していると認証されれば、その内容が一見して分かる標語つきの特色JASマークを表示することができます。
◆「ベジタリアン・ヴィーガンJAS」とは?
JASは、ここ5年で新たに30の規格を制定しました。そこで今回、新たに制定されたもののなかで特色のあるJASとして「ベジタリアン・ヴィーガンJAS」をピックアップしました。
ベジタリアンやヴィーガン(完全菜食主義者)の方は、欧米諸国を中心に毎年増加傾向にあるそうで、2018年度は訪日外国人約3,000万人のうち167万人ほどがベジタリアンやヴィーガンの方でした。ところが、日本には専門店が少ないことから、食材を変更してもらいたくても対応してもらえないことなどが課題になっていました。
そこで、インバウンドを見据えた規格として「ベジタリアン・ヴィーガンJAS」が制定されました。これは、ベジタリアン料理やヴィーガン料理を提供する飲食店を対象に、「使用してはならない食材や添加物」「ベジタリアンやヴィーガンに適さない食材や添加物の混入を防ぐ対策」「情報の提供方法」などを明確に規格化しています。
ただし、単にベジタリアンやヴィーガンといっても食べられる食材は人によって違うため、「料理に使われている食材や添加物について、お客さんにしっかりとお伝えすることなども定めています」と新藤さん。そして、認証されると「ベジタリアン」「ヴィーガン」などと書かれた特色JASマークを、お店の看板やメニューなどに表示することができます。
これにより、「ベジタリアンやヴィーガンの方々にとっては、お店を探しやすくなると思いますし、逆に飲食店の方は、ベジタリアンやヴィーガンの方々にお店の特色をアピールしやすくなります」とメリットを挙げます。
◆新たに定められた「ノウフクJAS」とは?
さらにもう1つ、新たなJASとして紹介したのは「ノウフクJAS」です。
ノウフクJASとは、障がい者が携わって生産した農林水産物や、これらを原材料とした加工食品の生産方法の基準を定めた規格です。例えば、「主要な生産工程に障がい者が携わっていること」「障がい者が携わった主要な生産工程を回答できること」などの基準が定められています。
そして「ノウフクJAS」が認証されると、基準に基づいて生産した農作物や製品などに「ノウフク」と書かれた特色JASマークを表示することができ、「これにより、障がい者が生産に携わった食品であることがひと目で分かるので、いわゆる“エシカル消費(人・社会・地域・環境に配慮した消費行動)”を望む方々の商品選びに役立てていただくことができます」と解説します。
最後に新藤さんは、「JASは、食品や農林水産品の品質や生産方法などの特性を適切に評価するための国家規格です。事業者にとっては、製品の品質やこだわり、特色のある取り組みなどをアピールすることにもつながり、消費者にとっては『確かなもの』『求めているもの』を調達する際の判断基準として役立てることができます。ぜひ、進化しているJASについて理解を深め、暮らしに役立てていただければと思います」と呼びかけていました。
今回の話に、足立は「『特色JAS』というJASマークがあるのを初めて知りました。これまであまり気づかなかったので、これからは(店頭などで)意識して見つけてみたい」と話します。
一方、青木は「ノウフクJAS」が印象に残ったようで、「素晴らしい取り組みだと思う。ノウフクJASの表示があるものを積極的に購入して、農福連携の取り組みを応援したい」と語っていました。
(左から)青木源太、足立梨花
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8月20日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年8月28日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花