脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 8月26日(土)、9月2日(土)の放送ゲストは、落語家・立川志らくさんです。
26日(土)の放送では、“寅さん博士”としても知られる志らくさんが手がけた著書「決定版 寅さんの金言 現代に響く名言集」(ART NEXT)を22日(火)に出版した志らくさんが、映画「男はつらいよ」シリーズや寅さんへの熱い思いを語ってくれました。
立川志らくさん、茂木健一郎
1963年生まれ、東京都出身の志らくさん。1985年に立川談志さんに入門し、1988年に二つ目昇進。その後、1995年に真打に昇進。創意あふれる古典落語に加え、名作洋画と古典落語をミックスした「シネマ落語」でも注目を集め、落語界きっての論客としても知られています。落語家のほかにも、日本映画監督協会所属の映画監督として、また、映画評論家やエッセイスト、昭和歌謡曲博士、劇団主宰と幅広く活動しています。
また、“寅さん博士”としても知られる志らくさん。山田洋次監督の映画「男はつらいよ」シリーズ48作ごとの名ゼリフ=金言をチョイスし、作品の見どころ解説とともに、名ゼリフに凝縮されたエッセンスを語り尽くした著書「決定版 寅さんの金言 現代に響く名言集」(ART NEXT)を8月22日(火)に出版しました。
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茂木:今回、僕が志らく師匠の著書「寅さんの金言」を拝読して、実は一番心を打たれたのが、「誰かを好きになる、愛するってことは、その人の幸せを願うことだ」みたいなことを寅さんが言っていると。これは、現代だとすごく新鮮ですよね。
志らく:そうなんです。要は“犠牲愛”ということなので、今はもう本当に、それこそストーカーになってでも、自分の好きな人を自分のものにしたい。下手すりゃ殺してしまうこともあるわけですよね。寅さんの場合は、「その人が幸せになるために、自分は何ができるか」。それで最終的にその人が他の素敵な男性と一緒になっても、自分は顔で笑って、腹で泣いて、消えていく。それが、本来は当たり前といえば当たり前なんですよね。だから、今の世の中はそれが新鮮に感じるんですよね。
茂木:寅さんには、日本人が忘れてしまっている、いろんなことが詰まっていますよね。例えば、“インテリ”という言葉が出てくるのですが、今の時代は「かしこく、うまくやる」みたいなことが褒められたりしますが、寅さんはインテリは嫌いなんですよね。
志らく:嫌いです。何かあると、「お前、さしずめインテリだな」と言って、インテリをものすごく毛嫌いするんですけど、インテリにもちゃんと心があって、そこに悲しみがあったり喜びがあると。それが分かると、寅さんはそのインテリを応援するようになっていくんですよ。ちゃんと人間の、裸同士で付き合うと。それが寅さんの魅力だし、この作品のなかには、今の日本人が忘れてしまっているものがいっぱい詰まっていますね。
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番組ではほかにも、師匠・立川談志さんとのエピソードや落語への思いを語ってくれました。
次回9月2日(土)放送も引き続き志らくさんをゲストにお迎えしてお届けします。
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8月26日放送分より
聴取期限 2023年9月3日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00~22:30
パーソナリティ:茂木健一郎