昨年の救急車の出動件数「約723万件」…“119番通報”判断に迷ったときに利用したい「#7119」「Q助」を解説

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。9月3日(日)の放送では、消防庁 救急企画室の小味啓人(こみ・ひろひと)さんに、「その行動で命を救う 適切な救急通報と応急手当」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、小味啓人さん、足立梨花



◆昨年の救急車の出動件数は過去最多

2021年のデータによると、119番通報を受けてから救急車が現場に到着するまでにかかる時間は全国平均で9.4分です。これは10年前と比べて1.2分ほど延びてしまっている状況で、その背景には“救急車の出動件数が増えていること”も影響しているそうです。

昨年の救急車の出動件数は約723万件で、集計を開始してから最多です。救急車や救急隊員の数は限られているため、近くの救急車が出払っていると、遠くから駆けつけなければいけなくなり、それも到着時間に影響していると言えます。

また、2022年は新型コロナの陽性者が増えたことも要因の1つと考えられますが、高齢化が進んでいることも大きな要因です。救急車で搬送される方の年齢別の内訳を見ると、約6割が高齢者です。さらには、日本の人口は2008年をピークに年々減っている一方で高齢者数は増えており、2030年には国民の約3割が高齢者になる見込みで、この状況からも、救急車の出動件数はまだまだ増加が続きそうです。

◆119番通報の前に「#7119」「Q助」の活用を!

ただ、救急車で搬送された方のなかには、必ずしも救急要請が必要な方ばかりではないという現状もあるそうで、特に困ったケースでは「歩けるけれど、どこの病院に行ったら良いかわからないので救急車を要請した」「救急車で病院に行けば優先的に診てもらえると思った」「眠れなくて……誰かに話を聞いてほしかった」などの理由から救急車を要請する人もいるそうです。

そこで今回、みなさんに覚えてもらいたいのが「#7119」と「Q助(キュースケ)」です。

「#7119」は、急な病気やケガをしたとき、救急車を呼んだほうが良いか、今すぐに病院に行ったほうが良いかなど、判断に迷ったときに利用していただきたい電話相談窓口です。

「電話相談には、看護師などの資格を持つ相談員が対応し、病気やケガの症状を把握して、緊急性や救急車を要請した方がいいかどうかについて助言をしてくれます」と小味さん。

そして、緊急性が高い場合は、119番に電話を転送するなどして救急車の要請を支援してくれるほか、診察が可能な医療機関の電話番号を教えてくれたり、症状に応じた応急手当の方法もアドバイスしてくれます。現在は全国22の地域で展開、国民の約5割をカバーしている状況で、「今後“日本全国どこにいても『#7119』がつながる体制”の実現を目指しています」と声を大にします。

一方「Q助」は、急な病気やケガをしたとき、症状の緊急度を素早く判断するために消防庁がウェブ版とスマホ版で提供している全国版救急受診アプリです。

画面上で当てはまる症状を選択していくと、緊急度の目安が分かり、必要な対応が表示されます。そして、緊急度が高いと判断された場合は、アプリからなら119番に電話できます(スマホ版のみ)。また、緊急度が高くない場合は、受診できる医療機関のほか、移動手段などの情報をアプリから検索できます。

小味さんは「突然の病気やケガにおそわれると、誰しも慌ててしまうものです。必要なときにすぐ利用できるように、事前にアプリをインストールしておくと、より安心だと思います」とオススメします。なお「Q助」はAndroidとiPhoneのどちらにも対応しています。

◆いざというときのために「応急手当講習」の受講を

次に深掘りしたのは、命を救うために大切なもう1つの備え“応急手当”についてです。119番通報してから救急車が到着するまでは、どうしても時間がかかります。その場に居合わせた人の適切な応急手当によって、命が助かることも少なくありません。

特に心臓や呼吸が止まってしまった場合、「その場に居合わせた人が心肺蘇生やAED(自動体外式除細動器)による電気ショックをおこなえば、救急車が来るまで何もしなかった場合と比べて、命が助かる可能性は高まります。心肺蘇生は、早く始めれば始めるほど助かる確率は上がります」と小味さん。

急性心筋梗塞や脳卒中を発症すると、何の前触れもなく心臓と呼吸が止まってしまう場合があります。また、プールや海で溺れたり、のどに食べ物を詰まらせることも、心臓と呼吸が止まる原因です。「いつ誰が、どのような場面に遭遇するかは予想がつかないため、誰しもが“もしもの場合”に備えて応急手当ができるように備えておくことが大切です」と強調します。

心肺蘇生をするときは、胸が約5cm沈み込むようにしっかり圧迫します。その力加減は実際に体験すれば体で覚えることができるため、「皆さんぜひ、学校や職場、身近な消防署などが開催する応急手当講習を積極的に受けて、応急手当を身に付けていただきたいです。応急手当講習では(心肺蘇生のやり方を)ダミーの人形を使って練習することができます」と話します。

小味さんによると、現在、消防署などが実施している応急手当講習では、地域によって内容など若干の違いはあるものの、約3時間の講習で、心肺蘇生法、AEDの使い方、止血法、異物除去の方法など最新の応急手当を学ぶことができます。

また、「消防本部によって、土日・祝日の実施の有無が違っていたり、講習の際にテキストや備品代の費用がかかる場合もあります。詳しくは地元の消防本部にお問い合わせください」と補足します。

最後に小味さんは、「救急車を呼ぶかどうか迷ったら、『#7119』または『Q助』を活用して、救急車の適時・適切な利用にご協力をお願いします。また、日ごろから応急手当の方法を身に付けて、もしものときに備えてください。9月9日は『救急の日』、また9月3日(日)~9日(土)は『救急医療週間』です。これをきっかけに、救急医療および救急業務に対して理解を深めていただければ」と呼びかけました。

今回のテーマで「#7119」と「Q助」を初めて知ったという足立は、「『#7119』は、まだつながらない地域もあるということですが、『Q助』はスマホアプリで誰でも簡単にできるので、(救急車を呼ぶかどうかを)迷ったときは、こういったものを活用してみるといいと思う」と話します。

一方、青木は心肺蘇生の大切さを実感したようで、「実際に、そういった場に遭遇したときに、少しでも早く自分で応急手当ができるようにしておかなければいけないことなので、機会があれば、応急手当講習を受けたい」と話していました。


(左から)青木源太、足立梨花



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9月3日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年9月11日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花

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