声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。9月10日（日）の放送は、2021年全日本女子ロードレースチャンピオンの植竹海貴（うえたけ・みき）選手をゲストに迎えてお届けしました。

（左から）パーソナリティの野島裕史、植竹海貴さん

◆野島もビックリ、日本チャンプは一見普通の女の子!?

野島：今回は素敵なゲストをお迎えしました！ 実業団チーム「Y's Road」所属、2021年全日本女子ロードレースチャンピオンの植竹海貴選手です。はじめまして～。よろしくお願いします。

植竹：よろしくお願いします。

野島：チャンピオンということで、どんな女性がいらっしゃるのかと思ったら……こう言ったら何ですけど特別ガッチリしているわけではなく、普通のかわいらしい女の子という感じなんですが、普段ロードレーサーって言われないですよね？

植竹：そうですね。立ち姿勢も猫背なので、運動ができない人なのかなって思われていると思います（笑）。

野島：失礼な話ですが、めちゃめちゃ運動をされる方にはあまり見えないんですよね……ですが、自転車に乗ったら日本の女子で一番速いと。すごいですよね～。たぶん一緒に走ったら1分とついていけないです（苦笑）。

植竹：そんなことはないと思います（笑）。

野島：（植竹選手は）一般の人とは次元が違う速さで走ることができるわけですが、身長は何cmですか？

植竹：169cmくらいです。

野島：女性にしては大きいですね。ですが、座った雰囲気はなぜか小柄に見えます。これは“脳ある鷹は爪を隠す”みたいな感じなのかもしれませんね。そして、先ほど伺ったのですが、ラジオ出演は今回が初めてだとか。

植竹：そうなんです。だから、すごく緊張しています（苦笑）。

野島：この番組は全然緊張する必要はないので、リラックスして、雑談する感じで大丈夫です。ちなみに、今回スタジオには愛車でもあるCOLNAGO（コルナゴ）のロードバイクをお持ちいただいたのですが、これで数々の成績を収めているんですね……。本当にかっこいい自転車です。

◆きっかけは…クロスバイク通学で自転車にハマる

野島：ここで、植竹選手のプロフィールを簡単に紹介させていただきます。1996年生まれ、東京都板橋区出身。専門学校を卒業後、保育士として働きながらロードレースに参戦。その後、ロードレースでもっと成績を残したいとの思いから保育園を退職し、レースに専念できる環境作りとしてスポーツ自転車専門店「Y's Road」を運営する株式会社ワイ・インターナショナルに入社。

「Y's Road新宿本館」に勤務しながらトレーニングを積み、実業団レースの「JBCF（全日本実業団自転車競技連盟）」に参加。2021年にJBCF個人総合ランキング1位。同年、第89回全日本自転車競技選手権ロードレース優勝。2022年JBCF個人総合ランキング1位と大活躍。本当にすごいです！

最初は、保育士として働きながらロードレースに参戦していたとのことですが、そもそもなぜロードレースに参戦しようと思ったんですか？

植竹：私の母が保育士をやっていて、「私も保育士をやりたい！」と思って目指していたんですけど、保育士になるための専門学校にクロスバイクで通学していたんです。そのときに「自転車って楽しい」みたいな（笑）。休日にサイクリングしたりしていて、そのまま自転車にハマってしまいました（笑）。

野島：ということは、近くにロードレースをやる方がいたり、外部的なきっかけではなく、自分で乗り始めたと。

植竹：そうですね。高校の通学はママチャリだったんですけど、（専門学校に入って）もう少しいい自転車に乗ればもっと速く、楽に走れるんじゃないかと思ってクロスバイクを買ったんです。

野島：それ、すごくわかります。僕も恐れながら全く同じでして。通勤のためにクロスバイク的なものを買って乗ってみたら、「自転車ってこんなに楽しんだ！」と思って、徐々に遠くに行くようになったんですよね。

でも、（スタートが）同じなのに、なぜこんなに差が生まれたんだろう（苦笑）。あとは、学生時代はバスケや剣道をされていたんですよね。もともと体を動かすことが好きだったんですか？

植竹：スポーツは好きでしたし、そもそも体育の授業も好きでした。ただ、あまりうまくはなかったんですけど（笑）、バスケは身長が高いからやっていた感じで、剣道を始めたのは猫背が治るかなと思って（笑）。

野島：そんな理由で！ でも、ロードバイクはあえて猫背気味に乗りますから。もともとロードバイクに向いていたのでは？

植竹：そうですね。（姿勢が）ピシッとなるのは剣道をやっているときだけで、日常生活は猫背のまま。結局治らなかったですね（笑）。でも、今となってはそれがよかったのかなと思います。

◆甘いものが好き、食べることが好き…日本チャンプの素顔

野島：その後、保育士を辞めて自転車の世界へと入っていくわけですが、保育士を辞めることに不安や迷い、家族などからの反対はなかったんですか？

植竹：母親は「自分のやりたいことをやればいいよ」っていう感じの教育方針だったので、応援してくれました。

野島：当初、同じ仕事を継いでくれる嬉しさがあったかと思いますが、やはり本当にやりたいことを見つけてやるというのは、お母さんとしては嬉しかったのかもしれませんね。

そして、今はY's Road新宿本館にお勤めになっているということですが、僕、そこにめちゃめちゃ行っています（笑）。

植竹：ありがとうございます（笑）。

野島：最近は消耗品などを1ヵ月に1回は必ず買いに行っているので、もしかしたらすれ違っていたり、接客もされているということなので、会話もしているかもしれないですね。

植竹：かもしれないです（笑）。

野島：お店でお会いしたときにはいろいろとよろしくお願いします（笑）。そして、選手としてのお話も伺いたいのですが、トレーニングは主にどこで、どのようにやっていらっしゃるのですか？

植竹：大体、荒川の上流に行ってから（埼玉県の）鳩山を超えて、ときがわ町あたりの峠を走っていることが多いですね。

野島：なかなかの距離を走りますよね。それを週にどれくらい？

植竹：ロングライドは週に1、2回、大体150kmぐらいを走る感じですね。

野島：普段は食生活にも注意しているのですか？

植竹：そんなにアスリートっぽい感じではないかなと思います。ちゃんと食べているので。それに甘いものが好きで、すぐに食べたくなっちゃうんですけど、食べ過ぎは良くないなと思って、頑張った日とかにご褒美的に食べています。

野島：大きいレースの前はどのように？

植竹：（レース前は）油が多いもの、揚げ物とかは食べないようにしていますね。でも、基本的に私は食べることが好きなんですよ、常においしいものが食べたい（笑）。

野島：それは僕も一緒です。共通項がいっぱいあって嬉しいな～（笑）。でも実力の差が……って感じなんですが（笑）、休日はあるんですか？

植竹：あります。でも、休みの日には走りに行ったりしていますね。

野島：ということは、自転車に触れない日はない？

植竹：そうかもしれないですね（笑）。

野島：それって自転車好きとしては幸せなことですよね。

◆チャンピオンになった秘訣は“負けず嫌い”、“諦めの悪さ”

野島：脚質的にはどうなんですか？ スプリンターやヒルクライマーとかありますが。

植竹：私はたぶん“パンチャー”（パンチ力・スプリント力のある選手）じゃないですかね。

野島：なるほど！ 明らかにスプリンターではない感じで、スリムなのでヒルクライムが得意なのかなとも思いましたが、パンチャーなんですね。

性格は“負けず嫌いでマイペース”ということですが、メンタルやフィジカルも含めて他の選手に「ここだけは負けない！」という長所は何でしょう？

植竹：それはあまりないかなと思うんですけど、結構諦めが悪いかなと。粘り強い走りをしていると思います。

野島：それが強さの秘訣であり、僕が超えられない壁になっているわけですね。僕は諦めがいいので（笑）。

植竹：基本的には負けず嫌いで、諦めるのが嫌いなんです。1歳上の兄がいて、小さい頃から「兄にできることは私にもできる！」と思っていて。それが負けず嫌いの根源かなと思っています。

野島：それは2番目に生まれた強みをフルに活用していますね。僕は3人兄弟の長男で、下にできることは僕にもできると思っていたんですけど、それは当たり前ですね（笑）。一方でここはもっと鍛えなきゃと感じているところはありますか？

植竹：登りがちょっと弱いと思っていて。登りの長いレースとかだとちょっと部が悪い感じなので、練習も頑張っているんですけど、なかなかタイムが伸びなかったり。

野島：具体的にどんなトレーニングをなさっているんですか？

植竹：目標タイムを決めて峠を登るとかですかね。

野島：やはりひたすら峠を攻めるしかないんですね。

植竹：あとは、自分よりも強い人に頑張ってついていくみたいな。

野島：それは大事ですね！ そんなトレーニングを重ねてチャンピオンになった植竹海貴選手ですが、残念ながらここでお時間になってしまいました。当初は緊張しているとおっしゃっていましたが、今はどうですか？

植竹：最初に比べたらだいぶ楽になりました。ありがとうございました。

野島：それはよかったです。今後も応援していますので頑張ってください！ そして、また何か機会がありましたらぜひ番組にいらしてください。今日はありがとうございました！

次回予告：9月17日（日）の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、「野島裕史のサイクルライブラリー」をお届けします。お楽しみに！

＜番組概要＞
番組名：サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア：TOKYO FMをはじめとする、JFN全国23局ネット
放送日時：TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00～5:30（JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee（オーディー）」でご確認ください）
パーソナリティ：野島裕史