「水道料金」は何に使われている?地域ごとに料金が異なる理由は?専門家が解説!

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。9月24日(日)の放送では、大人の社会科見学企画第8弾として、厚生労働省 健康・生活衛生局水道課 水道事業基盤強化専門官の向川美樹(むこうがわ・みき)さんを迎えて、「当たり前じゃない! 日本の水道」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、向川美樹さん、足立梨花



◆水道料金が地域によって違う理由

私たちが生きるために絶対に必要な水は、何もしないで手に入るものではありません。私たちのもとに水を届けてくれる「水道」がなければ、私たちは安心して飲んだり、使用することはできません。

家庭内では、炊事、洗濯、トイレ、お風呂、洗面などで水を使っており、家庭内で1日に使用する水の量を1人あたりに換算すると約230リットル、そのほか、職場など家庭外で使用する水道水の使用量を家庭内の使用量と合わせると、1人あたり1日約300リットルにもなります。

私たちが払っている水道料金は、全国平均で水1リットルあたり約0.2円ですが、水道事業は法律により、原則として地域の実情に通じた市町村が経営することになっています。つまり、水道事業に必要な費用は、その水道を使っている人たちで負担することになっています。

水道料金が地域によって異なるのは、水道事業にかかる費用が地域によって違うからです。例えば、水道の水は、川や地下などの水源から集めた水を浄水場できれいにしてから届けられますが、その水源の水質が悪いと、きれいにするのに費用がかかります。また、水源からの距離が遠いと、水を届けるために長い水道管が必要となり、そのぶん余計に費用がかかることになります。

さらに、水道料金に大きく関係していることとして、向川さんは「人口密度」を挙げます。「家や商業施設などの多さに関わらず、水を届けるためには水道管が必要です。そのため、人口密度が低い地域では、1人あたりが負担する費用がどうしても大きくなります」と解説。そうした地域ごとの違いが、水道料金にも影響しています。

◆水道料金はどんなことに使われている?

では、私たちが払っている水道料金は、どんなことに使われているのでしょうか? 向川さんは、「水道で水を届けるためには、浄水場や水道管などの施設が必要です。そのため、水道料金の半分以上が施設のために使われています」と説明します。

現在、水道を利用できない地域はほぼなく、水道施設の整備は終わっているものの、これらの施設を維持するためのメンテナンスや取り替え工事に莫大な費用がかかります。そこで私たちが支払う水道料金が使われていたり、ほかにも、水をきれいにして届けるための費用、水質の検査費用、薬品代、電気代などにも使用されています。

◆水道管を更新するために…

水道施設は、明治時代から何十年にもわたって膨大な整備がされてきましたが、「更新し続けていかなければ、今後、老朽化がどんどん進んでしまいます」と向川さん。

例えば、古い施設を使い続けていると、「(水道管などから)水が漏れてしまって、最悪の場合は断水するかもしれません。また、昔の水道管は地震に弱いものが多いので、災害に強い新しい水道管に更新する必要もあります」と言います。

水道管の更新はとても大切なことですが、そのためには費用が必要です。そこで、最近では水道事業のコストを削減するべく、「複数の市町村などで施設の管理や事務を共同でおこない、重複するコストを削減するなどの取り組みもされています」と実例を紹介。

さらに、浄水場見学の企画、資料館などを運営している水道局もあり、例えば、東京都水道局が運営している「東京都水の科学館」では、地下にある本物の水道施設「有明給水所」を見学できるガイドツアーがあるそうです。また、水道施設には、水管橋(すいかんきょう)という川などに架けられた水道管の橋もあります。日本一長い水管橋は、埼玉県にある全長1,101mの荒川水管橋で、その水管橋を歩いて渡るツアーも人気とのことです。

最後に、向川さんは「蛇口の向こう側には、水道管や浄水場などの施設や水源があります。水道料金には“消費した水の代金”だけではなく、水道施設(の維持・更新)という、みんなの共有の財産に投資して“将来へ引き継ぐ”という意味があります。私たちの前の世代がそうしてくれたように、水道というシステムを次の世代に引き継ぐために、これからも日本の水道をみんなで守っていきましょう!」と呼びかけました。

今回のテーマを通して、足立は水道料金が地域によって違うことに驚いたと言い、「(向川さんの)お話を聞いて、確かに(地域によって)整備にかかる費用なども異なるので、そういったところで水道料金が変わってくるんですね」と納得した様子。

一方、青木は、私たちが支払っている水道料金が、水道施設を維持するためのメンテナンスや取り替え工事などに費用が使われていることに着目し、「私たちの世代だけでなく、子や孫の世代も安心して(水道を)使えるように、(私たちの)お金を有効活用してほしいですね」と話していました。


(左から)青木源太、足立梨花



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9月24日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年10月2日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花

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