サハラ砂漠にもWi-Fiが!? 世界を自転車で巡る友竹亮介が振り返る「2万5,000kmの旅」

声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。10月1日(日)の放送は、ユーラシア&アフリカの2大陸、2万5,000kmを走破したサイクリスト友竹亮介(ともたけ・りょうすけ)さんをゲストに迎えてお届けしました。


(左から)友竹亮介さん、パーソナリティの野島裕史



◆営業マンからバックパッカー、そして旅人へ…

野島:自転車で世界を旅する方は、この番組ですと小口良平(おぐち・りょうへい)さん以来となるのですが、2人とも共通して“謎のオーラ”を感じます。世界を巡ってきたみたいな……そう言われることはありませんか?

友竹:“落ち着いているね”とか“穏やかだね”みたいなことは言われますが(苦笑)。

野島:そう、なぜか“穏やかさ”があるんですよね。世界中の過酷な道を走ってきたから精悍な顔つきになるかと思いきや、「笑顔がかわいらしい」と言ったら失礼かもしれないですけど、穏やかですよね。

現在は神奈川県在住ということですが、自転車乗りは必ず聞かれるであろう質問をさせていただきます。今日は(スタジオまで)自転車でいらっしゃったんですか?

友竹:「そうなんですよ!」って言いたいところなんですが、今日は公共交通機関を使って来ました(笑)。日常生活は仕事に行くのにも、買い物に行くにもロードバイクを使っています。今日は久しぶりに電車に乗った感じです。

野島:そうなんですね。では、ここで友竹さんのプロフィールを紹介させていただきます。

1988年生まれ、広島県出身の友竹さん。大学卒業後、営業マンとして3年間メーカー勤務をされた後、英語講師を経てバックパッカーに。世界の魅力に圧倒された20代を過ごし脱サラ。2018年に世界を巡る自転車旅に出発します。

30歳からサイクリスト、旅人として歩み出し、中国・上海からアフリカ喜望峰へと至る約2万5,000kmの道のりを573日かけて走破。その旅の様子を追体験できる著書「二輪一会 二度と出会えない人」(みらいパブリッシング)が絶賛発売中です。

昨年10月に「サイクルライブラリー」のコーナーでこの本を紹介した際、放送を聴いていた友竹さんから番組宛にメールをいただき、来年4月からは新たなプロジェクトに挑戦されるということで、ぜひスタジオにお迎えしたいと思ったわけですが、プロフィールを読ませていただくと、まずはバックパッカーになったんですね。

友竹:20代の頃にフリーター期間があって、初めてインドに1人旅をしたらハマってしまって。(その後)アメリカ、カンボジアなどにバックパックを背負って旅をして、いつか世界一周したいなと思っていたんですけど、同時にこのままいわゆるバックパッカーのスタイルで旅をしても同じことの繰り返しになるなと感じて。もっと面白い旅の方法があるんじゃないかなというところで、ふと思いついたのが自転車でした。

野島:ふと思いついてやるにしては、かなりハードルが高いイメージがありますが(苦笑)。やはりそこはバックパッカーとしての経験があったからですかね。

友竹:海外って、特に1人旅だとトラブルが多いものですが、経験を重ねていくなかで“なんとかなるな”と思うようになって、そのまま勢いで(旅に)出てしまいました(笑)。

野島:そのモチベーションというかメンタル、そこが普通の人とは違うなと思ってしまいますが(苦笑)。自分はちょっと特別なところがあるなって思ったりしますか?

友竹:「どういう子ども時代を過ごしたのか?」とかよく聞かれるんですけど、特別何もないんですよ。

例えば、親が山好きでよく山に行っていたとかもないですし、釣りとかもしないですし、特別なことは何もしていないと思います。どこにでもいる普通の子どもだったと思います。

◆大事な自転車選び、ポイントは修理のしやすさ!?

野島:営業マンだった友竹さんが、バックパッカーとして旅をすることになり、最初に行かれたのはインド。そもそもインドを選んだ理由は?

友竹:僕は海外の音楽が好きで、特にビートルズが好きなんです。彼らはインドに影響を受けていて、メンバー全員でインドに滞在していたこともあり、そうした好きなミュージシャン、好きな作家がみんなインドに行っているんですよね。

「インドって何かあるんだろうな」っていう神秘的なものを感じていて。それで自分も行ってみたら見事にハマっちゃいました(笑)。

野島:その後、脱サラして自転車旅に出るわけですが、その決断はかなり勇気が必要だったと思うのですが。

友竹:(自転車旅に)行くぞ! と決めたときは楽しみのほうが勝って、計画を練るごとにどんどんのめり込んでいったんですけど、勇気が本当に必要だったのは出発直前ですね。(出発日に)近づくほど怖くなっていきました。

野島:自転車旅は前もってコースを決めて、ある程度のルートは決めていたんですか?

友竹:ざっくりですね。この国を回ろうかなくらいで。

野島:では、世界を旅するには自転車選びは? 相当悩んだんじゃないですか?

友竹:そうですね。(自転車の)知識もほとんどなかったので、ネットや本をいろいろ読み漁って。そこで見つけたのが「Randonneur(ランドナー)」という自転車好きの人には馴染みがあるかもしれないですけど、見た目は普通のスポーツバイクながらタイヤのサイズが小さく(26インチ)、いわゆるママチャリと一緒。

あとは車体がクロモリ(鉄)で頑丈。何かあっても途上国の鉄工所で溶接ができるので、長旅に応じた自転車を手に入れました。

野島:修理しやすいというのは大事なんですね。

友竹:(今回の旅のなかでは)大きなアクシデントはなかったんですけど、もし何かあったときに、それこそアフリカや中央アジアとか、あまりモノが豊かじゃない国でも対応できることは大事。気持ちの面でも大きかったと思いますね。

野島:一番多いマシントラブルといえば“パンク”ですけど、パンクは日常茶飯事でした?

友竹:もう数えきれないですね(苦笑)。

野島:道も日本ほど整備されていないでしょうからね。あとはチェーンが切れたりとかは?

友竹:チェーンは切れなかったんですよね。ただ、大きな街に行って、自転車屋さんを見かけたら(チェーンを)常に変えるようにしていました。

野島:ブレーキワイヤーとかは?

友竹:ブレーキワイヤーは変えていなかったですね。他に大きなマシントラブルはなく、それこそ日本の自転車屋さんで出発前、スポークの直し方とかを聞いて、専用の道具も持っていたんですけど、結局1回も使いませんでした(笑)。

◆まさかのWi-Fiが!? 実は快適な“サハラ砂漠”の旅


自転車で旅する友竹さん



野島:荷物はどれくらいの重量があったんですか?

友竹:基本的には30kgぐらい。人が少ない場所に行くときには食料や水などが加わって、40kg~50kgぐらいですね。荒野や砂漠では水が手に入らないので。

野島:その他は着替えや寝袋、テントとかですか?

友竹:そうですね。野宿の道具、調理道具とかで、一番かさばるのは洋服です。あとは(旅の間に)ブログなどを更新していたので、パソコンやカメラ。そういう道具も合わせて30kg程度でした。

野島:友竹さんのブログを読んでいて、僕が一番ビックリしたのがサハラ砂漠。(サハラ砂漠にも)Wi-Fiがあるんですね(笑)。

友竹:世界を旅していて(サハラ砂漠が)一番信じられない光景だったかもしれないですね。サハラ砂漠って普通、砂の大地を想像すると思いますが、本当にその通りなんですけど、1本アスファルトの道が何百kmと通っているんですよ。そして、100kmごとぐらいに集落があって、そこにはWi-Fiもお湯の出るシャワーもあって。

野島:それは面白いですね。どういうインフラになっているのかな(笑)。

友竹:そこに住んでいる人もいるんですけど、あまり信じられないですよね。あとは、大きな街にはマック(マクドナルド)もありました。

野島:そうなんですか! それを聞いて、僕にもサハラ砂漠の縦断ならできるんじゃないかと思っちゃいました。

友竹:ぜひぜひ。行けますよ。全然キツくないし、むしろ(サハラ砂漠が)一番快適な旅ができたかもしれないですね。

◆自転車旅を終えて…「世界地図を見るのが楽しくなる」

野島:旅を終えて、友竹さんが学んだこと、自分のなかで変わったなと感じたことはありますか?

友竹:旅以外でもそうなんでしょうけど、やっぱり“自分の目で見ないと何もわからない”っていうことをすごく感じました。

海外はどうしても悪いニュースや、怖いニュースばかり情報として入ってきますが、実際に自分の足で旅をするとそんなことは少ないし、それを自分の足を動かして自分の目で見るという経験は大事だなと思いました。

野島:本を読んでいると、すべての国が魅力的に描かれていて、人々のやさしさ、ドラマティックな出来事などが綴られ、友竹さんは人間が好きなんだなと感じました。

友竹:旅を通じてどんどん人が好きになっていったっていうほうが正しいのかもしれません。それこそ日本よりも豊かではない、経済的にも苦しい国でも僕が野宿の場所を探していたら「今夜は寝ていいよ」と言ってくれたり、水浴び用の水を持ってきてくれたり、食べ物をくれたり。人ってどこまでやさしくできるんだろうと思いました。

野島:ただ過酷な自転車の旅が書かれた本ではなく、人々の出会いなどノンフィクションなのにフィクション的な、感動を与えてくれる本だったと思います。世界の旅を終えて感じた自転車旅の魅力とは? どんなことを感じましたか?

友竹:普通の旅と違うのは、観光地を巡るばかりではなく、むしろ観光地と観光地の間のなんでもない村や街、その国で暮らしている人や動物を近い距離で眺められるというのはひとつの魅力だと思います。そして、人からやさしくしてもらったり、そういう経験すべてが自転車旅ならではですね。

野島:世界を旅したことはないですけど、僕もそう思います。車や電車、飛行機の旅というのは点になってしまうんですけど、自転車は線と線がつながるイメージがあって。それを世界規模でするとなると、それは素晴らしい経験なんでしょうね。

友竹:そうですね。世界地図を見るのがすごく楽しくなります。(世界地図を)指でなぞって「ここにあの人がいる」「ここはあんな風景があったな」とか、野島さんが言った通り、点ではなく線で感じられるのは一生モノだなと思います。

野島:今、(旅のゴール地点)アフリカ喜望峰に到着したときの写真を見せてもらっていますが、このときはどんな気分でした?

友竹:(ゴールに)着く直前に涙が流れてきて、あの涙はなんだったんだろうと今でも振り返るんですけど、嬉しいばかりじゃないし、旅が終わる悲しさでもないし。(旅を)助けてくれた人たちの顔が走馬灯のように……というのは言い過ぎですけど、いろいろな人の顔が浮かんだりして。旅が終わるんだなっていう寂しさ、充実感、達成感もあり、もう全部の感情がウワッと。

野島:それが涙としてあふれ出たということですね。(お話を聞いていて)本当に魅力的な旅だなと改めて思いました……が、僕は旅のお話を伺いすぎて、今後の自転車旅、新たな挑戦について聞けなかったので、それは次週に。来週もよろしくお願いします。

友竹:よろしくお願いします。

10月8日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」も引き続き、友竹亮介さんをゲストに迎えてお届けします。お楽しみに。

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▶▶この日の放送内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!
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<番組概要>
番組名:サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国23局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ:野島裕史
番組Webサイト:http://www.jfn.jp/toj

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