AGC株式会社が掲げる“デジタル戦略”とは? デジタル・イノベーション推進部長・太田宏志が言及「経営の大きな柱として進めています」

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。10月14日(土)の放送は、AGC株式会社 デジタル・イノベーション推進部 部長の太田宏志(おおた・ひろし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)太田宏志さん、笹川友里


太田さんは、1990年4月に旭硝子株式会社にエンジニアとして入社。ベンチャー企業への出向後、自動車ガラス向け設備開発のグループリーダー、FPDガラス向け設備開発及び工場建設のプロジェクトリーダーに従事。以降、経営企画室統括主幹、エンジニアリングセンター企画管理グループリーダー、電子部材事業本部企画室長、人事部人財開発統括担当部長を経て、2023年1月に現職に就きました。

◆AGCにおける“DX”は「大きな柱」

AGC株式会社は、1907年創立と歴史の長い世界最大級のガラスメーカー。そのため、“AGC=ガラス”のイメージが強いものの「それ以外にも、化学製品や半導体関係の最先端部材、あと薬の原料みたいな事業もやっておりまして、現在(トータルの)売上の半分以上は、ガラス以外のもので占めています」と太田さん。

また、30を超える国・地域で事業を展開しており、「現在、連結子会社数は197社ありますが、そのうち160社が海外にあります。また、グループ社員は約6万人で、その約8割は海外で働いています」と説明します。

そんなAGCにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)について伺うと、「我々の業界は、お客さまも多岐に渡っていますので、マネジメントもそうですが、お客さまに求められるものを開発し、作って届けるには、デジタルの力が必須と考えています。そのため、AGCの中期経営計画(AGC plus-2023)の柱の1つとして“DXの加速による競争力の強化”を掲げて推進しており、デジタルの力でお客さまと社会、そして、新たな価値を提供していけるよう、経営の大きな柱として進めています」と語ります。

◆各従業員が自立的にDXを進められるように…

エンジニアとして入社以降、現在はデジタル・イノベーション推進部の部長として手腕を振るう太田さんは、「技術の進歩が本当に早いので、それをいち早くキャッチアップし、先を見越して手を打っていくことがとても大切」と声を大にします。

そこで、笹川が「大きな母体の会社として、いろいろな分野でDXが進んでいるそうですが、現在どんな分野で進んでいますか?」と質問すると、「当初は物作りの領域で取り組みが先行していましたが、その後は研究開発、調達、経理、人事、さらには、ベンダー(製造元)さまと連携したビジネスモデルを作るときなど、本当に幅広い分野でDX化が広がっています」と太田さん。

その一方で、「AGCには、いろいろな事業、いろいろな製品があり、グローバルなお客さまがいるというなかで、そこにDXを展開していく難しさがありました」との苦労も。

とはいえ、多くの社員は新しい価値を創造するためにDXや新たな技術を使っていくことを非常に前向きに捉えていると言い、「今は各従業員が自立的にDXを進められるように教育することと、それに併せた最先端のデジタル技術を皆さんが使えるためのプラットフォームを整備に注力して進めています。そして、各従業員が(DXを)自主的にどういうふうに使えるかを考え、ボトムアップ(下意上達)的にどんどん広がっていくといいなと思っています」と展望を語ります。

◆DX化の導入によるメリットは?

続いて、笹川が“現場におけるDX化、デジタル技術の導入によるメリット”について問うと、太田さんは「メリットはいろいろあって、例えば、製造現場では、モノを調達する、生産する、品質をちゃんとしたものにする、納品するという一連の流れがあるんですけど、これを全体で最適化することがとても大切になるのですが、この“最適化する”というのは、ある意味、計算によるものが大きい。つまり(この領域は)デジタルの得意とするところなんです」と語ります。

さらには、「これが最適化できると、非常に効率良く生産できますし、データとしても残りますので、品質のトレーサビリティ(製品の原料の調達から生産、消費や廃棄までの各工程が追跡可能な状態)が向上します。そうすると、お客さまから問い合わせがあったときに、いつ、どんな状況で、どのラインで、どういう生産状況で作ったものなのかがすぐに分かって、きちんとお答えできる流れが作れるんです」と言います。

また、デジタル化が進むにつれて現場も変わりつつあり、「これまでは熟練の作業者でないと判断やオペレーションできなかったことがありましたが、デジタルの力を借りることで、若者や経験の少ない作業者も(熟練の人と)同じような判断や作業ができるようになってきています」と太田さん。

とはいえ、今もなお人間でないとできないこともたくさんあると言い、「デジタル技術は、新たに課題を設定したり、新しいアイデアを創出することは苦手」と言及。そんなデジタルを使いこなすうえで熟練のエンジニアが必要であることも課題に挙げつつ、「今まで苦手だった課題の設定や新しい価値を創造することを克服するのも、時間の問題だと思っています。(それに伴い)仕事の仕方も変わってくると思います」と予見していました。

次回10月21日(土)の放送も、太田宏志さんをゲストに迎えてお届けします。社内で進んでいるDXの話や太田さんの仕事術についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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10月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年10月22日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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