開発期間が“3分の1”に!? AGC株式会社が6月から運用開始した「ChatAGC」のメリットとは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。10月21日(土)の放送は、前回に引き続き、AGC株式会社 デジタル・イノベーション推進部 部長の太田宏志(おおた・ひろし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)太田宏志さん、笹川友里


太田さんは、1990年4月に旭硝子株式会社にエンジニアとして入社。ベンチャー企業への出向後、自動車ガラス向け設備開発のグループリーダー、FPDガラス向け設備開発及び工場建設のプロジェクトリーダーに従事。以降、経営企画室統括主幹、エンジニアリングセンター企画管理グループリーダー、電子部材事業本部企画室長、人事部人財開発統括担当部長を経て、2023年1月に現職に就きました。

◆AGCにおけるDXの現在地

AGC株式会社は、現在30を超える国・地域で事業を展開。197社ある連結子会社数のうち160社が海外にあり、グループ社員は約6万人(約8割が日本以外の国・地域)という世界最大級のガラスメーカーです。

そんなAGCでは、データドリブン(収集したデータに基づいて意思決定をおこなうこと)の経営を目指しており、「ERP(企業資源計画)の標準化やデータ分析のプラットフォームの整備、データマネージメントの仕組みづくりなどを進めています」と太田さん。

また、社内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化についても「いろいろなデータを紐づけ、加工、分析して経営に活かすことが大切と考えており、まさに今は解析のエンジンを作り、プラットフォームの整備を進めている段階」と語ります。

これまでは現場ごとにデータの量や種類は膨大で、それが紐づけされていないがゆえに“新しい価値が生まれない”という側面がありましたが、紐づけが進むことによって「人間が見ている側面だけでは分からない面が見えてくることがあると思う。(ゆくゆくは)社内データだけでなく、社外のデータもリンクさせて、新しい発見ができるといいなと思っています」と言及します。

◆6月から運用開始した「ChatAGC」とは?

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの進歩が目覚ましく「おそらくこの5~6年で、仕事の仕方、働き方が大きく変わるのではないか」と予見。そこで、同社が6月に運用を開始した「ChatAGC」の話題に。

こちらは、従業員が安心・安全にチャットAIを業務に活用することを目的に構築された社内向け対話型AIで、ChatGPTはユーザーが入力したデータをAI(人工知能)学習によって再利用されますが、ChatAGCの特徴として、ChatGPTと同等の対話機能を持ちつつも、「社内の機密や社内情報を入力しても社外に漏れない、学習に使われないような形になっていて、社内情報をインプットできる環境を整えています」と太田さん。

また、運用を開始したタイミングに合わせて「生成AI活用探索プロジェクト」を始動させ、「全部署からメンバーを集めて“生成AIとはどんなものなのか”を学ぶとともに、各部署の業務でどう使えるかを検討している段階」と話します。

ちなみに、太田さんが所属するデジタル・イノベーション推進部のケースでは「我々はプログラミング作業が多いので、プログラミング業務で使うことが多いんですけど、(ChatAGCを取り入れたことで)開発期間が3分の1になるなど、成果が上がってきていると実感しています」と語ります。

この結果に笹川が「(業務における生成AIの活用が)いち早く実装できたら、社内の働き方が変わるでしょうね」とうなずくと、太田さんも「大きく変わると思いますね」と同意します。

◆「まずは行動に移す」のメリットは?

1990年4月に入社して以降、30年以上にわたってさまざまな部署を経験してきた太田さんに、仕事をする上での“モットー”を伺うと、「まずやりたいことを自分で見つけて、素早く行動に移そうと思っています」と言います。

とはいえ、何も考えず闇雲に行動してしまうと、予期せぬ方向に進んでしまうことがあるため、「広い視野で大きなフレームで考えて“こうだな”と方向性を見出したら、あまり細かいことは気にせずに初動を早くする。そうすることで、選択肢が増えますし、時間も味方にできると考えています。さらに、どこに障害があってどの情報が足りないのか、ということも分かってくるので、目指す目標までの地図が見えるというか、最短で目標に向かえるのではないかと思っています」と力説。

ただ、なかには、自分のやりたいことが見つかっても、すぐに行動に移せずに躊躇してしまう人も少なくありませんが、「僕は、行動に移さないとデメリットのほうが大きいと思う」と断言。

というのも、「うまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もありますけど、(行動することで)何かしらの結果が出て、そこから学ぶことができます。でも、悩んでいるだけで行動に移さないと学ぶこともできないので、それはもったいないと思う。なので、もし仕事に悩んだときに“どうしようかな”と考えるぐらいだったら、思い切り動いてぶつかってみてはどうでしょうか?」との助言も。

ちなみに、AGCは一人ひとりが課題や目標を見つけて自走する社風だと言い、「自分で動く人たちって、やはり生き生きとしていますから。そういう人たちがどんどん良い職場風土を作り、組織全体が強くなっていくんだと思います」と力を込めていました。

次回10月28日(土)の放送は、双日株式会社・常務執行役員CDO兼CIO兼デジタル推進担当本部長の荒川朋美(あらかわ・ともみ)さんをゲストにお迎えしてお届けします。大手総合商社・双日株式会社のDXの取り組みについてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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10月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年10月29日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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