防災 FRONT LINE

防災 FRONT LINE

記事コンテンツ

揺れを感じなくても「津波」が発生することも…改めて確認しておきたい「津波避難の心得」

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。11月4日(土)の放送では、東北大学 災害科学国際研究所の今村文彦(いまむら・ふみひこ)さんに「津波避難の心得」について伺いました。


※写真はイメージです



◆11月5日は“津波防災の日”

11月5日は“津波防災の日”と制定されています。その背景について、今村さんは「2011年3月11日に東日本大震災が起き、犠牲者の約9割が津波によるものでした。そこで、同年に津波に関する法律ができ、その年から11月5日は『津波防災の日』になりました」と説明。そして、2015年12月22日におこなわれた国連総会本会議で日本をはじめとする142ヵ国が共同提案国となり、11月5日が「世界津波の日」に制定されました。

では、なぜ11月5日なのでしょうか? これは、1854年に発生した安政南海地震(あんせいなんかいじしん)で津波が和歌山県を襲った際、濱口梧陵(はまぐち・ごりょう)という人物が、暗闇のなかで逃げ遅れた村人を稲むらに火をつけることで高台に避難誘導し、命を救った逸話「稲むらの火」にちなんでいます。

◆海の近くで地震が起こったら…

津波は海が深いほど速度が速くなり、陸地に近づき、水深が浅くなるほど速度が遅く伝わります。ちなみに、水深5,000メートルでの津波の速度は時速800キロと飛行機に匹敵するほど速く、水深500メートルでは、新幹線と同じくらいの時速250キロ、水深100メートルでは約110キロと、水深が浅くなるほど遅くなります。ですが、陸地に到達した時点でも時速36キロほどあると言われているため、波が来るのを見てから避難を始めても間に合いません。

海の近くにいたときに地震が起こった場合、また津波警報が発令された場合は目視で津波が確認できなくても、できるだけ高台など安全な場所に逃げることが大切です。そして、“より遠く”ではなく“より高い場所”に避難することを心がけ、避難したら絶対に戻ってはいけません。

津波は、1回だけでなく繰り返し発生します。さらに、波の高さも第2波、第3波と高くなることがありますので、津波警報・津波注意報が解除されるまでは、絶対に安全な場所を離れずに留まりましょう。

また、津波は“地震が発生したら起こる”というイメージがあるかもしれませんが、今村さんは、「現在、さまざまな要因で津波が発生しています。もちろん海底での地震によるケースが一番多いですが、昨年2月にトンガで起きた海底火山噴火によって、遠く離れた日本で津波が大きくなり、津波注意報から津波警報に変わりました。このときには、地震の揺れはなかったです。また先日も、地震(の規模)は小さかったですが、鳥島付近で津波が観測されて、津波注意報が出ました。そのようなさまざまなタイプの津波がありますので、仕組みをしっかり調べて予測、対応できるようにしておきましょう」と警鐘を鳴らします。

体に揺れを感じなくても、津波警報・津波注意報が出ていることを知ったら避難しましょう。また、地震発生後は、建物の倒壊や火災によって道路がふさがれて通れない可能性もありますので、数パターンの避難場所や避難経路を考えておくことが大切です。実際に避難経路を歩いてみて、いざというときに備えましょう。

----------------------------------------------------
11月4日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年11月12日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

コンテンツ一覧

非常用持ち出し袋を オフィスにも 音声

非常用持ち出し袋を オフィスにも

臨時災害放送局=災害FMって知ってる? 音声

臨時災害放送局=災害FMって知ってる?

危険度分布=キキクルって知っていますか? 音声

危険度分布=キキクルって知っていますか?

6月 土砂災害防止月間 音声

6月 土砂災害防止月間

降水量と災害発生の目安 音声

降水量と災害発生の目安

防災・自治体の取り組み 新宿区 音声

防災・自治体の取り組み 新宿区

梅雨の時期に注意したいトラッキング火災 音声

梅雨の時期に注意したいトラッキング火災

災害が起きた時のキッチンカーの役割 音声

災害が起きた時のキッチンカーの役割

東京建物のユニークな防災の取り組み 音声

東京建物のユニークな防災の取り組み

日本全国“約70万区域”で発生する恐れが…「土砂災害」から身を守る“3つのポイント”を紹介 記事

日本全国“約70万区域”で発生する恐れが…「土砂災害」から身を守る“3つのポイント”を紹介

今年の梅雨は「大雨災害」に警戒…どのくらい降ると危険!? 1時間の降水量に応じた“災害発生の目安”を解説 記事

今年の梅雨は「大雨災害」に警戒…どのくらい降ると危険!? 1時間の降水量に応じた“災害発生の目安”を解説

“コンセント付近のホコリ”が火災の原因に…梅雨の時期に気を付けたい「トラッキング現象による火災」防ぐためのポイントを解説 記事

“コンセント付近のホコリ”が火災の原因に…梅雨の時期に気を付けたい「トラッキング現象による火災」防ぐためのポイントを解説

被災地に“温かい食事”を提供、全国から駆け付けられる…災害が起きたときの「キッチンカー」が担う役割とは? 記事

被災地に“温かい食事”を提供、全国から駆け付けられる…災害が起きたときの「キッチンカー」が担う役割とは?

「防災リュック」を全戸に配布、「防災カードゲーム」を開発…東京建物のマンションブランド「Brillia」がおこなっている“防災対策”とは? 記事

「防災リュック」を全戸に配布、「防災カードゲーム」を開発…東京建物のマンションブランド「Brillia」がおこなっている“防災対策”とは?

災害時は一時的な避難場所として“約9,000人”収容可能…東京都豊島区にある防災公園「イケ・サンパーク」の機能を解説 記事

災害時は一時的な避難場所として“約9,000人”収容可能…東京都豊島区にある防災公園「イケ・サンパーク」の機能を解説

「マンション防災の基本」も学べる!東京都が毎年おこなっている「東京防災学習セミナー」を紹介 記事

「マンション防災の基本」も学べる!東京都が毎年おこなっている「東京防災学習セミナー」を紹介

地震や台風によって「下水道」が使えなくなったら…私たちが事前にできる“備え”を紹介 記事

地震や台風によって「下水道」が使えなくなったら…私たちが事前にできる“備え”を紹介

“地域防災力”強化のために…誰でも無料で体験できる防災訓練「渋谷防災キャラバン」とは? 記事

“地域防災力”強化のために…誰でも無料で体験できる防災訓練「渋谷防災キャラバン」とは?