今回お話を伺ったのは、山形県天童市で
〈DEWA Valley Farm〉という果樹農園を営む東海林和哉さんです。
生まれ育った天童市を離れ上京。
その後、18年過ごした東京を離れ、4年前に天童市にUターン。
農業について修行し、2021年に正式に果樹農園をオープンしました。
〈DEWA Valley Farm〉では主に、春先にはさくらんぼ、秋には葡萄、ラフランス。
その他、ももやりんご、最近ではアーモンドの栽培をスタートしています。
国産のアーモンドは珍しく、さほど手のかからない品種であることから、シェアを拡大していこうと考えています。
2015年にお祖父様が他界されたことを機に、一度地元の天童市に戻った東海林さん。
代々農家を営む家系だったこともあり、土地の相続なども含め
「いずれ自分が継ぐことになるのでは?」と、自分ごととして考えるようになりました。
当時、日本オリンピック委員会のスタッフとして働いていました。
オリンピック開催を機に、スポーツ業界を退くことを考えていたこともあり
就農について今一度考えるようになります。
様々な面から農業に未来を感じ、実家を継ぐことを決めました。
修行を積み、2021年に〈DEWA Valley Farm〉をオープンするに至ります。
農業とスポーツは文字通り、畑違いの仕事。
しかし、その2つには意外にも共通点があると話します。
「農業をスポーツに置き換えると分かりやすいと思っています。
農業も果樹経営も、すぐに結果が出たり、植えてすぐに実が獲れる訳ではありません。
長期を要し、投資であると考えています。
例えば、果樹をアスリートに置き換えてみます。
良い実を作ることがハイパフォーマンスなのであれば
いい実をつけさせる樹体を育てること=アスリートの体づくりになります。」
つまり、東海林さんは今、トップアスリートを育成しているということになります。
今後、東海林さんが思い描く農業についても伺いました。
「持続可能性という意味で、環境問題はもちろん意識しています。
地球温暖化対策としては、剪定枝を燃やさずにチップにして土に還しています。
また耕作放棄地については、鳥獣害につながることから土地に果樹を植えることで、
鳥獣の隠れ蓑を減らす取り組みをしています。」
11月に毎年天童市で行われる「天童ラ・フランスマラソン」の
コース整備に携わりたいと考えていらっしゃいます。
一見、農業とはあまり関わりがなさそうに思えますが、コースの約半分は農道。
高齢化も相まって、耕作放棄地も目立つようになってきました。
そこに果樹を植えることで整備し、ランナーにはより良い環境で走ってもらいたい、と話します。
また、農業を通して「ふるさと納税」など、他の事業にも好循環を生み出せるようにしたいと話す東海林さん。
天童市が活性化していくことを目標に、日々活動していらっしゃいます。