電動キックスケーター、電動オートバイ…「自転車(二輪)戦国時代」に言及 栗村修「歩行者にとって危険の対象になってはいけない」

声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。12月17日(日)の放送は、一般財団法人『日本自転車普及協会』の理事であり、UCI公認、日本最大の国際自転車ロードレース『ツアー・オブ・ジャパン』組織委員会委員長の栗村修(くりむら・おさむ)さんをゲストに迎え、2023年の自転車業界を振り返りました。


(左から)パーソナリティの野島裕史、栗村修さん



◆スペシャルゲストは“新しい自転車業界のリーダーズ”

野島:本日のスペシャルゲストをご紹介しましょう! 最近は肩書きがさらに立派に、そして長くなられて、いい意味で近寄り難い存在になっているんですかね(笑)。“新しい自転車業界のリーダーズ”をお迎えしました。

栗村:自転車界の壁を打ち破れ、丸メガネの栗村修でございます。

野島:今日はよろしくお願いします。

栗村:よろしくお願いします。

野島:2022年末から2023年の年始にかけては、栗村さんとJ SPORTSサイクルロードレースの実況解説コンビであるDJ・ナレーターのサッシャさんを迎えた豪華メンバーでお送りしましたが、あれからもう1年も経つんですね……。

今回は超売れっ子の栗村さんとサッシャさん、2人のスケジュールを合わせるのがもう無理ということで、泣く泣く栗村さんのみの出演となりました。

また、どこかのタイミングで2人揃ってご出演いただければと思っていますが、栗村さんは番組的には今年6月に放送された『ツアー・オブ・ジャパン 2023』の大会総括回以来の出演となります。今はもう落ち着いていらっしゃるんですか?

栗村:そうですね。ただ、もう次年度の準備が始まっています。この番組名と同じ国際自転車レース『ツアー・オブ・ジャパン』の仕事をかれこれ10年くらいやっていますけど、これは1年間つながっているんですよね。なので、もう頭は2024年に向かっていますが、一方でプライベートというか仕事というか、最近、自転車通勤を本格的に始めまして、その話もどこかでしていきたいなと思います。

野島:楽しみにしております。そんな栗村さんは12月30日が誕生日。おめでとうございます!

栗村:ありがとうございます。

野島:差し支えなければ、おいくつに?

栗村:52ちゃいです(笑)。

野島:52ちゃいですか(笑)。以前、僕のほうから50歳前後になって体調を崩すことが多くなったと相談させていただきましたが、栗村さんの体調はいかがでしょうか?

栗村:やっぱり50歳の壁が大きいので、そこで自分というものをもう一度見つめ直す、しっかりとアジャストすることが大事で、50歳を超えてしまうとそんなに変化はないんですね。49歳から50歳になるときの変化にみんな驚いてしまうんです。

野島:なるほど! そのうちの1人が僕なんですね。

栗村:ちなみに、野島さんはアジャストはできましたか?

野島:ようやくここ3ヵ月くらいでできた感じです、なんとか1年くらいかけて(苦笑)。

栗村:そうですか。だいぶかかりましたね(笑)。

◆栗村修の学べる自転車ニュース「ツアー・オブ・ジャパン2023」

野島:では本題にいきたいと思います。年末に栗村さんをお迎えしたということは、恒例の企画に参りましょう! 『栗村修の学べる自転車ニュース 2023年振り返り編』。

毎度おなじみ“自転車業界の池上彰”を目指す栗村さんに2023年の自転車に関するニュース・トピックスのなかから、特に印象に残っている3つの出来事を1分間で解説いただきます。それでは早速参りましょう、『栗村修の学べる自転車ニュース 2023年振り返り編』、1つ目のテーマは?

栗村:『ツアー・オブ・ジャパン2023』でお願いします。

野島:では、解説をお願いします。

栗村:『ツアー・オブ・ジャパン2023』は、4年ぶりに待望の全8ステージが戻ってきました。(2020年は)コロナ禍で開催中止、その後(2021年は)3ステージの短縮開催、(2022年は)4ステージの短縮開催ときて今回フルスペック開催となりました。

国内の多くのレースが2019年以来の有観客、通常開催が始まっているんですけど、そんななかで今年は『マイナビ ツール・ド・九州2023』というビッグレースが文字通り九州で開催され、この主催者が九州経済連合会という今までとは毛色の違う方々が自転車業界に進出してくれたということで新時代を迎えました。

自転車業界はコロナで1回停滞しましたけど、また新しい盛り上がり、新しい風が吹き込んできた、そんな2023年になっております。

野島:見事1分ピッタリで収めた素晴らしい解説ですね!

栗村:パーフェクトです。

野島:すごいドヤ顔になっていますけど(笑)、やはりコロナを完全に超えての(『ツアー・オブ・ジャパン2023』)フルスペック開催というのは大きな出来事でしたね。

栗村:そうですね。『ツアー・オブ・ジャパン』だけでいうと、やはりまだまだコロナ禍前には戻れない、継続するためにはいろいろな逆風のなかもがいているんですけど、そんななかでも新しい息吹というか新しい芽が出てくることで、我々にとっても上昇志向に変わっていくんじゃないかと期待が持てた2023年でした。

野島:僕は九州に10年くらい住んでいたことがあり、趣味で九州横断とかをやっていたので『マイナビ ツール・ド・九州2023』はすごく注目しておりまして、2024年も期待していきたいですね!

◆栗村修の学べる自転車ニュース「グランツールをユンボ・ヴィスマが全制覇」

野島:『栗村修の学べる自転車ニュース 2023年振り返り編』、2つ目のテーマは?

栗村:世界最大級の自転車ロードレース“グランツール”と呼ばれる『ジロ』、『ツール』、『ブエルタ』を“ユンボ・ヴィスマ”が全制覇です。

野島:そうですね。解説をお願いします!

栗村:私のもうひとつの仕事は世界自転車ロードレースの解説者なんですけれども、自転車ロードレースの世界では、イタリアを1周する『ジロ・デ・イタリア』、フランス1周の世界最大のレース『ツール・ド・フランス』、スペイン1周の自転車レース『ブエルタ・ア・エスパーニャ』、この3つを“グランツール”と言うのですが、なんと今年はその全てのレースをオランダの“ユンボ・ヴィスマ”というチームが勝利。しかも、全部違う選手で優勝するという、前代未聞の偉業が成し遂げられました。

『ジロ・デ・イタリア』はログリッチ選手、『ツール・ド・フランス』はヴィンゲゴー選手、そして『ブエルタ・ア・エスパーニャ』はアシストのクス選手が優勝したんですが、クス選手は勝つ予定ではなかったんですけど勝ってしまったということで、2023年はドラマに溢れたシーズンになり、解説者としては非常に思い出深い1年でした!

野島:やはりこれは大きな出来事ですよね。

栗村:そうですね。あと、私は各レースの優勝予想をしているんですけど、今年は予想をした選手が軒並み不調で、落車、予期せぬパンクなどで脱落することが尋常じゃないくらい多かったんですよね。

視聴者の間では“クリノート”と呼ばれているんですけど、春先には私のブログに「10大ビックリ予想」として、「ユンボ・ヴィスマがグランツールを全部落とす」って書いていたんですよ(苦笑)。

野島:(笑)。本当にすごいですよね。全部逆。

栗村:もうこれは何かお仕事をいただけないですかね(笑)。逆のことを言えば当たるわけですからね。今、私が解説しているスポーツ専門チャンネルでは、視聴者が優勝予想をするオフィシャルクイズがあるのですが、皆さん私の予想を聞いてから応募するそうです。これは喜んでいいのでしょうか?

野島:いいと思いますよ(笑)。視聴者の皆さんの役に立つのが一番嬉しいことじゃないですか。

栗村:なるほど!前向きですね(笑)。

◆栗村修の学べる自転車ニュース「自転車(二輪)戦国時代」

野島:それではラスト、『栗村修の学べる自転車ニュース 2023年振り返り編』、3つ目のテーマはなんでしょうか?

栗村:“自転車(二輪)戦国時代”でお願いします。

野島:お~、これはなんでしょう。それでは解説をお願いします。

栗村:昨今、私は自転車通勤を始めたんですが、路上も歩道上も含めて、車輪が2つ付いているけれど自転車ではない乗り物が、特に都内でギャインギャインに走り回っています。これは2023年に始まったわけではないんですが、自転車普及という意味では少し考えていかなければいけないなと思いました。だいぶカオスな状態になってきていますよね。

自転車なのか、電動キックスケーターなのか、さらには電動オートバイなのか。自転車風なんですけど、法的には電動オートバイのようなものがノーヘル、ノーナンバーで歩道を走っていたり(完全に違法です)、乗り手の誤解も生まれていますので、この辺りは早急に取り締まらないといけないと思う2023年でございます!

野島:確かに“戦国時代”と言われてみればそうですね。

栗村:私は日本自転車普及協会に籍を置いておりますし、“自転車おじさん”を自称しておりますので、やはり自転車というものが乗りやすい乗り物、そして車に乗っている方や歩行者にとって危険の対象になってはいけないと思っております。

今は新しいカテゴリーの乗り物が出てきたような過渡期。それらを否定するわけではありませんが、僕自身、歩行者として歩道を歩いているときに怖い思いをすることが増えてきたと感じることが多かった1年でした。

野島:確かに新しいものが出てくると、そのルールが完全に周知されないまま普及してしまうこともありますよね。

栗村:そうですね。あとはやはり“電動”。電気の力によって走行できたり、アシストされることはいいことなんですけど、昔に比べて速度が歩道上でも上がっているんですよね。なので、事故が起きたときのケガも昔より大きくなっていますから、やはり交通整理が重要になってくる。これは非常に危機感を感じております。

野島:いわゆるシティサイクル、ママチャリもアシストのあるものとないものでは車重が全く違いますもんね。

栗村:歩道上を自転車が走るというのは日本独特の文化で、今までは歩行者の延長上に、いわゆるお買い物用自転車=ママチャリがあったんですけど、今の自転車の性能を考えるともはやそれは歩行者の延長ではなく車両の仲間ですね。そういう意味では、この2023年がひとつのターニングポイントなのかなと感じました。

野島:そういう意味でもヘルメットの努力義務化を進めてきたというのもあるんでしょうね。

栗村:そうですね。自転車は一足先にヘルメットの努力義務化がおこなわれましたが、一方でキックスケーターは高出力型かどうかなどでいろいろなルールがあります。しかし、乗り手の皆さんが法律を全然理解できていない。法律が非常に入り組んでいますからね。この辺りの周知も大事になってくると思っています。

野島:そういった法整備に関しても栗村さんの力をぜひ発揮していただいて。

栗村:微力なところはありますが、ここは真面目に取り組んでいかないといけないと思っております。

野島:というわけで、今回は2023年の振り返りトークをお届けしましたが、振り返りがあればこの先も……ということで、栗村さんには来週も引き続きお付き合いいただきたいと思います。

栗村:自転車通勤のことをしゃべり忘れましたので、ぜひお話をさせていただければと思います(笑)。

12月24日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、一般財団法人「日本自転車普及協会」の理事で、UCI公認、日本最大の国際自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」組織委員会委員長の栗村修さんをゲストに迎え、2024年の自転車業界の展望について伺います。お楽しみに!

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▶▶この日の放送内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!
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<番組概要>
番組名:サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国23局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ:野島裕史
番組Webサイト:http://www.jfn.jp/toj

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