防災 FRONT LINE

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約55%が「情報の種類が多すぎて分かりにくい」と回答…現在検討中の「防災気象情報」の“見直し”について解説

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。12月16日(土)の放送では、「防災気象情報の見直し」について取り上げました。


※写真はイメージです



河川の氾濫や土砂災害などから身を守るために、気象庁などが発表する「防災気象情報」の見直しが検討されています。

気象庁が2022年に全国2,000人を対象に実施した、防災気象情報に関するWebアンケートによると「住民の避難行動に直結する情報なのに分かりにくい」という意見が多かったことが分かりました。

また、情報ごとに理解度を尋ねたところ「詳細に理解している」との回答が最も多かったのは大雨警報で68.5%。ただし、「大雨警報として『大雨警報(土砂災害)』『大雨警報(浸水害)』と、区別があることを知っている」と答えた人は27.2%に留まりました。情報全体の印象については、「情報の種類が多すぎて分かりにくい」が55.1%と最も多く、次に多かったのが「避難を判断するのにどれが参考となる情報なのかが分かりにくい」でした。

自治体が、避難情報を出すのに戸惑うケースもあります。現在、内水氾濫を知らせる浸水害の情報において、避難指示に相当するものが設定されていません。今年7月に記録的な大雨に見舞われた秋田市は、避難指示を出せないまま、警戒レベルで最高(レベル5)の「緊急安全確保」を発令した事例もあります。

そこで、気象庁と国土交通省は、12月6日(水)に有識者による検討会を開いて改善点を示しました。見直しの対象は、河川の氾濫を示す「洪水」や排水できずに住宅地に起きる内水氾濫の「浸水害」、そして「土砂災害」「高潮」に関する情報です。

土砂災害を例にすると、最高レベルは「大雨特別警報」、その下は「土砂災害警戒情報」、さらにその下は「大雨警報」と言いますが、このばらつきのある名称を、今後、統一感のあるものに変える方向です。さらに、大雨警報の発表基準を引き下げて信頼度を高めます。

また、情報が混じっているものもあります。洪水では、同じ警戒レベルに市町村単位の「洪水警報」と河川単位の「氾濫警戒情報」があります。さらに「高潮特別警報」と「高潮警報」も同じ警戒レベルにあり、いずれも整理し直すということです。

情報が複雑なのは、災害が起きるたびに(防災気象情報を)新しく作ってきたことが挙げられます。1999年の広島豪雨がきっかけで「土砂災害警戒情報」ができ、「特別警報」は、2011年に発生した紀伊半島の大水害を教訓に生まれましたが、複雑さが増したため、内閣府は2019年に5段階の警戒レベルを導入しました。

しかし、情報の分かりやすさは改善されず、今まで精査する時間もなかったため、情報がいびつになったまま運用されてきたという背景があります。今後は、よりわかりやすい名称の付け方がポイントになりそうです。

気象庁の担当者に話を伺ったところ、名称に数字を入れるなどして、分かりやすい表記にする予定とのことです。なお、検討会は2024年6月頃に改善案をまとめる予定で、運用が始まるのは数年後になる見通しです。

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

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