TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。1月25日(木)のお客様は、精神科医・名越康文さんと常連客の東京藝術大学学長・日比野克彦さん。ここでは、日比野さんがオススメする“美術館での楽しみ方”とは?
(左から)名越康文さん、日比野克彦さん
◆心の根底が見える? 対話型鑑賞のススメ
日比野:普通、美術館では「絵は静かに見ましょう」みたいなのがあるけど、「対話型鑑賞」っていう、絵を見ながら数人で対話する楽しみ方もあるんですよ。対話しながら鑑賞していくと「気分が結構スッキリした」みたいな、絵を通して「私はこう思う」っていうような自分の言葉が出てくるんですよね。
名越:絶対にあると思います。実は僕、1人でも美術館に行くんですけど、友達と行ったときに感動した作品があったら、その友達にしゃべりたくて仕方がなくなるんですよ。それで、話してみると「自分はこう思うよ」って返ってきて“こいつのほうがすげぇ!”って感じたりして(笑)。そういうことって、見に行った後の喫茶店でしゃべっても、なんかちょっと違うんですよね。
日比野:そうなんですよ。(絵を)見ながら「どこ?」「あそこがさ」「そうかなぁ」っていう現場感がね。
名越:それです! 日比野さん、そういうのをやってくださいよ!
日比野:いま「対話型鑑賞」を結構いろんな美術館でやっていて。
名越:そうなんですか!
日比野:やっています。きっかけは、“キャプションを読みながら”だったり、“前もって勉強してから”っていう人がいたりして、「絵を見るのに正解があるのか?」っていうような先入観がなんとなくあるんだけど、そうじゃなくて、見る人によっていろんな見方がありますよっていう、絵の楽しみ方をもっと伝えていこうってことで(推奨しています)。
でもやっぱり「静かに見たいのに……」みたいな人もいるから(笑)。そのために“今日は対話型鑑賞日です”とか“ここでは、こういうことをやっています”っていうことを、きちんとアナウンスしています。
名越:なるほど、日によって違う?
日比野:そうです。でも「この絵……分からないな」と思ったら、ちゃんと「分からない」っていうのを口にして、それを分かる人がいたら「この絵のどこが好き?」「こういうところが好きなんだ」「そうやって言われると、そうかな」みたいな時間があると、自分のなかで“こうでなければならない”っていうものをちょっと揺らがせてくれる、みたいな(きっかけになれば)。
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00