株式会社クレディセゾン・小野和俊“キャッシュレス化”の現在において重視している“取り組み方”とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。6月8日(土)の放送は、前回に引き続き、株式会社クレディセゾン 取締役 兼 専務執行役員CDO 兼 CTOの小野和俊(おの・かずとし)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)小野和俊さん、笹川友里



小野さんは1999年に大学卒業後、サン・マイクロシステムズ株式会社(現:Oracle Corporation)に入社し、アメリカ本社にてJavaやXMLでの開発を経験。ベンチャー企業代表、さらに経済産業省「未踏ソフトウェア創造事業」に参画後、2015年6月にセゾン情報システムズ(現:セゾンテクノロジー)の取締役 CTOに就任。2019年3月にクレディセゾンに入社、CTO に就任し、2023年3月より現職に就いています。

◆DX化を推進するうえで陥りがちな“課題”とは?

前回の放送では、クレディセゾン社の事業内容やグローバル時代のマネジメントなどについて語ってくれた小野さん。今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていくうえで必要なことを伺います。

まず、大企業が社内でのDX化を推進しようと、外部から人材を割り当てた場合、陥りがちな課題があると言います。「日本の企業って、これまで(社会で)勝ってきた方法に敬意を払い、今後それらを守るべきルールとして明文化していたりすると思うのですが、問題なのは、その方法が今のデジタルな時代のやり方と逆なんですね」と小野さん。

本来は、昔と今の考え方の良いところをうまく掛け合わせて進めていくことが理想ではあるものの、それが真逆なゆえにぶつかり合ってしまうことも多いため、そこをいかに解決するかが一番重要であると強調します。

また、スタートアップ企業は「お客さまに価値を届けること」を最優先に取り組むことが多いのに対し、大企業はガバナンス(企業統治)や立てた計画に対する評価などを重要視することが多いとし、「我を通そうとして相手のやり方を頭ごなしに否定するよりも、相手をリスペクトして『そうですよね』と(お互いを認め合いながら)進めていければうまくできる」と持論を展開します。

◆進むキャッシュレス化…クレディセゾンとしてやるべきことは?

キャッシュレス化が進み、決済システムが多様化するなど“お金”を取り巻く環境にさまざまな変化が生じているように感じますが、小野さんは「大きくは変わっていない部分もまだまだあるかなと思っています」と言及。

その理由を伺うと、「“不正利用からお客さまを守る”“お客さまそれぞれに合った適切な限度額を設定する”などといった取り組みは、カードに限らず昔から決済手段全般(の課題)であって、これからもあり続けるような変わらない部分だと思うんです。なので、デジタルな技術を身に付けた我々が(取り組むべきは)その変わらない部分を“より磨いていくこと”」と声を大にします。

そのため、審査や与信、不正利用(からお客さまを守ること)などをいかにインテリジェント(知的)に磨いていくかに重きを置き、「一見地味で不易なところに流行・トレンドを取り入れながら、アップデートをかけ続けるのも大事なんじゃないかなと思います」と言います。

またここで、笹川が「決済の選択肢が増えてきたなかで、クレディセゾンが新たに挑戦していることってありますか?」と質問を投げます。

これに対して、小野さんは「国内は“(不易なところを)いかに磨いていくか”という局面だと思いますが、例えば、グローバルサウス(南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称)の銀行口座を持っていないような方たちに対して“いかに与信していけばよいのか”という試みって、すごく難しい挑戦なんです。なので現在は、グローバル事業において“クレディセゾンがそれをやるの!?”みたいな真新しい取り組みが多いと思います」と語ります。

そして最後に、「特に我々の分野は、新しいものが生まれては消え……というサイクルがものすごく早いんですけれども、逆にそういう時代だからこそ、新しいものに振り回されすぎずに、昔から変わらないものをしっかり見つめ続けることが(選択を)間違わないための道だと思います。一見地味で不易な部分を磨くことこそ社会の関心も高く大事になってくるんじゃないかなと思います」と話していました。

次回6月15日(土)の放送は、オルビス株式会社 代表取締役社長の小林琢磨(こばやし・たくま)さんをゲストに迎えてお届けします。リブランディングにより快進撃を続けるオルビスのデジタル戦略やDXの取り組みなど、貴重な話が聴けるかも!?

----------------------------------------------------
6月8日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月16日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

コンテンツ一覧

DIGITAL VORN Future Pix #213 音声

DIGITAL VORN Future Pix #213

DIGITAL VORN Future Pix #212 音声

DIGITAL VORN Future Pix #212

DIGITAL VORN Future Pix #211 音声

DIGITAL VORN Future Pix #211

DIGITAL VORN Future Pix #210 音声

DIGITAL VORN Future Pix #210

DIGITAL VORN Future Pix #209 音声

DIGITAL VORN Future Pix #209

DIGITAL VORN Future Pix #208 音声

DIGITAL VORN Future Pix #208

DIGITAL VORN Future Pix #207 音声

DIGITAL VORN Future Pix #207

DIGITAL VORN Future Pix #206 音声

DIGITAL VORN Future Pix #206

DIGITAL VORN Future Pix #205 音声

DIGITAL VORN Future Pix #205

「最小限の労力で産業が回るプロダクトを生み出したい」スマートロック市場のパイオニア・フォトシンスが描く未来の風景とは? 記事

「最小限の労力で産業が回るプロダクトを生み出したい」スマートロック市場のパイオニア・フォトシンスが描く未来の風景とは?

「鍵」もデジタル化の時代!? 「スマホ」で入退室可能になる法人向けスマートロック「Akerun」を紹介 記事

「鍵」もデジタル化の時代!? 「スマホ」で入退室可能になる法人向けスマートロック「Akerun」を紹介

「ニチレイグループが“生活者の食を支えるセントラルキッチン”に…」デジタルと冷凍食品が創る“食の未来” 記事

「ニチレイグループが“生活者の食を支えるセントラルキッチン”に…」デジタルと冷凍食品が創る“食の未来”

「DXを“自分ごと化”してもらうこと」全社員にDXを浸透させるための“高いハードル”とは?ニチレイ情報戦略部長が語る 記事

「DXを“自分ごと化”してもらうこと」全社員にDXを浸透させるための“高いハードル”とは?ニチレイ情報戦略部長が語る

「“取るリスクは何か?”を考えながら」急速に進む“デジタル社会”において必要な考え方とは?ニュートン・コンサルティング代表取締役社長が解説 記事

「“取るリスクは何か?”を考えながら」急速に進む“デジタル社会”において必要な考え方とは?ニュートン・コンサルティング代表取締役社長が解説

“企業の不祥事”を防ぐためには? リスクマネジメントのプロが解説「社長自らがごまかしのない組織風土をつくり続けることが不可欠」 記事

“企業の不祥事”を防ぐためには? リスクマネジメントのプロが解説「社長自らがごまかしのない組織風土をつくり続けることが不可欠」

これからの日本が“世界と戦うために”必要なことは? 味の素社CDOが指摘 記事

これからの日本が“世界と戦うために”必要なことは? 味の素社CDOが指摘

世界35ヵ国・地域に展開するグローバル企業!味の素株式会社の“DX”に向けた取り組みをCDOが言及「“デジタルを使って何をするか”が重要」 記事

世界35ヵ国・地域に展開するグローバル企業!味の素株式会社の“DX”に向けた取り組みをCDOが言及「“デジタルを使って何をするか”が重要」

日本が“デジタル先進国”になるための活路とは?三菱マテリアル株式会社CIOが言及「“IT+人”の組み合わせになると“世界ナンバーワン”」 記事

日本が“デジタル先進国”になるための活路とは?三菱マテリアル株式会社CIOが言及「“IT+人”の組み合わせになると“世界ナンバーワン”」