「こんなにポテンシャルの高い会社はない」三菱ケミカルグループ・市村雄二がCDO就任後に最も感じたこととは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。1月25日(土)の放送は、三菱ケミカルグループ株式会社 執行役シニアバイスプレジデントCDOの市村雄二(いちむら・ゆうじ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)市村雄二さん、笹川友里



市村さんは、大手ICT企業にて国内外の営業・企画・事業開発・ベンチャー投資に携わった後、2012年にグローバル製造業に入社。M&Aや事業変革を進め、全社の新規事業開発、さらにはインダストリー事業を担当。「DX改革」をグローバルに統括し、マネジメントをおこないます。そして、2022年9月より三菱ケミカルグループにて現職に就いています。

◆CDO就任後に取り組んだこととは?

まずは市村さんに、三菱ケミカル株式会社、田辺三菱製薬株式会社、日本酸素ホールディングス株式会社などからなるグループ企業・三菱ケミカルグループの事業内容について伺うと、「SDGsやサステナビリティといった言葉が広く語られる前から、“人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードすることを目指して展開しています」と説明します。

また、現職のチーフデジタルオフィサー(CDO)には2022年に就任しましたが、就任当時は「とにかく、プロセスやシステムの統合ができていなかった。メールサーバーや基幹システム(ERP)と呼ばれるものが50以上あったり、MRP(資材所要量計画)に至っては国内だけで108もあったり(笑)。とにかくシステムがバラバラでした」と振り返ります。

そこで笹川から「CDOに就任されてからの2年間で一番取り組んだことは何ですか?」との質問が飛ぶと、市村さんは「まずは“部門をまたごう”と。各部門の人たちは地頭も良く、非常に真面目にやっているのですが、デジタルやデータを使ってプロセスを標準化し、そこから価値を生んでいこうとすると、やはり、自分がおこなっているプロセスの前後にも気を配らないといけない。そこで、個別最適ではなく全体最適を目指し、会社全体の変革を進めていく。そのマインドチェンジでした」と答えます。

その変革は順調に進んでいると言い、「最初の半年ぐらいは、とにかく現場を回らせていただいて、いろいろな方と話をしたなかで“こんなにポテンシャルの高い会社はない”と感じました」と市村さん。

さらに、「その人たちにデジタル戦略を(錦の)御旗として掲げて、“デジタルケミカルカンパニー”“スマーター人材(スマーター・エンプロイー/スマート人材)”が(我が社が目指している)2つのキーワードなのですが、その正しい課題に向き合っていけば効果はでるだろうと。また、現場の人は“価値を生むために何をすべきか”について真面目に取り組んでいるので、そこにデジタルツールやデータの利活用の仕方などの方法論を紹介していくことで、皆さんがどんどん進化している状況です」と力を込めます。

そのなかで、市村さんがおこなった変革の1つが“やっていることの可視化”です。「真面目にコツコツやっている人たちに対して、“経営から見たらどんな価値を生んでいるのか”という尺度や時間軸の尺度など、まずはいろいろな尺度をスコア化して公開しています。そうすることで、スコアを上げるために“ここはこうしないといけない”ということが分かり、(周りの人が)いちいち言わなくても、一人ひとりが自分で考え出していく。そういう仕組みができています」と市村さん。

加えて、「(会社のために)“コストを下げよう”“在庫を落とそう”“バランスシートを改善しよう”“キャッシュフローを良くしよう”などといったことは、もう当たり前のようにできています。なので、これからは自分が生み出す価値や自分自身の価値、ないしは部門の価値の集合体が会社の価値になるので、それを上げるために何をするのかが大事になってくると思います」と言及します。

◆“スマーター・エンプロイー”とは?

続いて、市村さんが変革するうえでの課題として挙げた“スマーター・エンプロイー(スマート人材)”について伺うと、「まず社員には、一人ひとりに少し勇気を持ってもらって前に進んでもらいたい。そのために、会社も勇気を持って社員が動き出せる環境や制度、文化を作っていく責任がある」と言及。

さらには、「(仕事をするなかで)会社の業績を良くすることを目的にしがちですが、社員一人ひとりがスマーターになれば、結果として会社の業績は良くなる。デジタルに関しても“データサイエンティストを何人雇うか”“AIのユーザーを何人にする”とか、そこが目的ではなく、あくまで社員一人ひとりのマインドを変え、その人たちの価値を上げていく。そこに焦点を絞るという考え方です」とも。

そんな取り組みを推し進めた結果、「社員のなかにも非常に変わった人材が出てきていて、デジタル部門でもベンダーでもないのに、社員自らソフト開発をおこなうといった“市民開発”をする人が2,000人を超えてきています。これができている日本の製造業メーカーはあまりないと思います」と話していました。

次回2月1日(土)の放送は、引き続き三菱ケミカルグループ株式会社の市村雄二さんをゲストに迎えてお届けします。三菱ケミカルグループのデジタル戦略や市村さんの仕事術についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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1月25日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年2月2日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里

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