「熱中症予防」「健康」目的で飲むのはNG!?“経口補水液”の正しい飲み方を解説!

杉浦太陽と村上佳菜子(※今回は村上がお休みのため、代演パーソナリティとしてハシヤスメ・アツコさんが出演)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

2月2日(日)の放送テーマは、「その飲み方NGです! 正しく知ろう経口補水液」。消費者庁 食品表示課 保健表示室 企画第ニ係長の挽地聡美さんに、経口補水液の用途や正しい飲み方について伺いました。


(左から)杉浦太陽、挽地聡美さん、代演パーソナリティのハシヤスメ・アツコさん



経口補水液と聞くと“熱中症対策の飲み物”というイメージを持つ人は少なくありません。しかし、喉を潤すためにスポーツドリンク感覚で飲んだり、“健康に良さそう”という先入観で日常的に飲み続けていると、逆に健康を害する可能性があります。今回は、経口補水液の正しい知識を学びましょう。

◆“経口補水液”について理解しよう

嘔吐や下痢、大量の汗などによって体から水分やナトリウムなどの電解質が失われた状態を脱水症といいますが、経口補水液は、その脱水症の治療に用いる“病者用”。つまり、病気の方のための飲み物です。

脱水症から回復するには、失われた水分や電解質を体に補給する必要があります。その補給する方法として点滴のほかに挙げられるのが、世界保健機関(WHO)が提唱する「経口補水療法」です。

経口補水療法は、点滴の代わりに水分や電解質を口から補給する治療法で、「“失われた水分や電解質を体に素早く吸収させるために”考えられた飲み物が経口補水液です」と挽地さん。つまり、経口補水液は脱水症状が出ているときに飲むもので、熱中症予防のために飲むものではありません。

◆経口補水液に書かれたラベルを確認しよう

「赤ちゃん用ミルク」「飲み込みが困難な人」「病気にかかっている人」など、特定の人に向けた食品であることをパッケージに表示する場合には、国の許可が必要で、この許可を取得した食品のことを「特別用途食品」と言います。国が審査し、規格や要件を満たしていれば許可を得ることができます。

経口補水液も「病気の方のための飲み物」であるため、特別用途食品の許可を得る必要があります。また、挽地さんは「2023年5月に制度を改正して許可を得るようになりました。『経口補水液』と書かれた食品のラベルには、主に“感染性胃腸炎による下痢・嘔吐の脱水状態に適する”と書かれています」と補足。感染性胃腸炎というのは、ノロウイルスなどへの感染が原因の胃腸炎のことを指します。

ちなみに、経口補水液のなかには「熱中症による脱水状態に適した食品」であることを表示しているものもあります。購入する際は、ラベルの内容をよく確認しましょう。

◆経口補水液使用時の注意点

経口補水液は、医師や管理栄養士など医療関係者からの指導による使用が推奨されている飲み物です。そのため、誤った飲み方をしないように正しい使い方を知っておくことが大切です。

経口補水液は、スポーツドリンクよりも塩分やカリウムが3~4倍多く含まれています。そのため、塩分やカリウムを制限されている方が飲み方を誤ると、健康に大きな問題を引き起こすおそれがあります。

スポーツドリンクは“日常の水分補給”に、経口補水液は“脱水症状が出ているときの水分や電解質の補給”に使用するものと意識してください。さらに、経口補水液には糖質も含まれていますので、糖質制限を指示されている場合も注意が必要です。使用前に必ず医師に相談しましょう。

もし、医療関係者から経口補水液の使用を指導された場合、購入時は「経口補水液」と表示されていることに加えて、「特別用途食品」の許可マークがあるものを選びましょう。認可マークの特徴について、挽地さんは「アルファベットの“e”のなかに丸と三角が描かれています。特別用途食品には、この許可マークが表示されています」と説明します。

そして最後に、「経口補水液は特別用途食品であり、脱水症を治療するための飲み物です。ノロウイルスなどを原因とする、感染性胃腸炎による下痢・嘔吐に伴う脱水状態のときに使用できるものもあれば、熱中症による脱水状態のときに使用できるものもあります。経口補水液の正しい知識を持ち、ラベルの内容をよく見て使用してください」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦とハシヤスメさんが今回学んだ「経口補水液」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。ハシヤスメさんは“経口補水液は熱中症の予防で飲むものではない!!” とスケッチブックに書き、「“熱中症になってから飲む”ことが正しいんですね」と学びを得た様子。続いて、杉浦は“経口補水液は「病者用」です!”とポイントを挙げ、「あくまで病気の方が飲むものですので、医師に相談してから飲んでください」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、代演パーソナリティのハシヤスメ・アツコさん



----------------------------------------------------
2月2日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年2月10日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/

コンテンツ一覧

まなびより Vol.45 【買う前に知ろう!家選びの新しい基準】 音声

まなびより Vol.45 【買う前に知ろう!家選びの新しい基準】

まなびより Vol.44 【その飲み方NGです!正しく知ろう経口補水液】 音声

まなびより Vol.44 【その飲み方NGです!正しく知ろう経口補水液】

まなびより Vol.43 【そのイメージを変えていこう!新しい認知症観】 音声

まなびより Vol.43 【そのイメージを変えていこう!新しい認知症観】

まなびより Vol.42 【生きる力を育む!金融リテラシー】 音声

まなびより Vol.42 【生きる力を育む!金融リテラシー】

まなびより Vol.41 【食べて!泊まって!体験して!いま海業が熱い!】 音声

まなびより Vol.41 【食べて!泊まって!体験して!いま海業が熱い!】

まなびより Vol.40 【みんなで守る地域交通!「交通空白」の解消に向けて】 音声

まなびより Vol.40 【みんなで守る地域交通!「交通空白」の解消に向けて】

まなびより Vol.39 【考えよう、原子力発電によるゴミの最終処分】 音声

まなびより Vol.39 【考えよう、原子力発電によるゴミの最終処分】

まなびより Vol.38 【もうすぐスタート!マイナ免許証】 音声

まなびより Vol.38 【もうすぐスタート!マイナ免許証】

まなびより Vol.37 【あなたの知識をアップデート!クレジットカード不正利用対策】 音声

まなびより Vol.37 【あなたの知識をアップデート!クレジットカード不正利用対策】

今後“省エネ基準”の古い家は“資産価値”が落ちる!? 「建築物省エネ法」改正による“新しい家選びの基準”を専門家が解説 記事

今後“省エネ基準”の古い家は“資産価値”が落ちる!? 「建築物省エネ法」改正による“新しい家選びの基準”を専門家が解説

「熱中症予防」「健康」目的で飲むのはNG!?“経口補水液”の正しい飲み方を解説! 記事

「熱中症予防」「健康」目的で飲むのはNG!?“経口補水液”の正しい飲み方を解説!

「認知症」「認知症予備群」合計“1,000万人超”…認知症の人が希望を持って暮らせるような“取り組み”とは?専門家が解説 記事

「認知症」「認知症予備群」合計“1,000万人超”…認知症の人が希望を持って暮らせるような“取り組み”とは?専門家が解説

日本は「お金」に苦手意識を持つ人が多い!?最低限身につけたい“お金の知識"とは?専門家が解説 記事

日本は「お金」に苦手意識を持つ人が多い!?最低限身につけたい“お金の知識"とは?専門家が解説

「漁村」に行って海の恵みを堪能しよう!バラエティ豊かな「海業」を展開する漁港を紹介 記事

「漁村」に行って海の恵みを堪能しよう!バラエティ豊かな「海業」を展開する漁港を紹介

存続危うい“地域交通”を活性化!「交通空白」 解消に向けて国土交通省がおこなっている取り組みを解説 記事

存続危うい“地域交通”を活性化!「交通空白」 解消に向けて国土交通省がおこなっている取り組みを解説

“最も長期的で困難な社会課題”の解決に向けて…「高レベル放射性廃棄物の処分」における日本と世界の現状を解説 記事

“最も長期的で困難な社会課題”の解決に向けて…「高レベル放射性廃棄物の処分」における日本と世界の現状を解説

「マイナ免許証」2025年3月24日から運用開始…従来の免許証との違いは?専門家が解説 記事

「マイナ免許証」2025年3月24日から運用開始…従来の免許証との違いは?専門家が解説

“クレジットカードの不正利用”2023年度は「被害額541億円」…私たちができる対策は? 専門家が解説 記事

“クレジットカードの不正利用”2023年度は「被害額541億円」…私たちができる対策は? 専門家が解説